研究論文
横川 巧・上加裕子・大畑秀平・有馬誠一
キーワード: コンバイン,電動化,風選別,選別精度,異常検知
対象作物の多様化により,コンバインの汎用性向上が期待されている。その対策の一つとして,各作業部を独立したモータ駆動で,無段変速機構にすることで,微細な調整を可能にすることを考えている。従前の研究において,風選別部を対象とし,風選別ファンの負荷電流から穀粒量変化を検知し,風選別精度を検知するアルゴリズムを構築した。本研究では,このアルゴリズムに基づき,リアルタイムで変動する穀粒流量の変化を検知し,風選別精度の良悪を判別するシステムを構築した。また穀粒流量の変化量や変化速度を変えた複数のテストデータを用いて,本システムの精度評価も行った。
CO2排出量を基準としたイチゴ輸出におけるプレ・ポストハーベスト技術開発方向性の検討
渡邊高志・日高功太・田口善勝・中村宣貴・佐々木勇麻・曽根一純
キーワード: イチゴ,輸出,ロス率,CO2排出量,海上輸送,栽培時期
イチゴの輸出量増大と環境負荷低減を両立する技術開発の方向性の検討のため,マレーシアおよび中華人民共和国への輸出をモデルとし,主としてデータベースを用いたLife cycle assessmentを行った。輸出方法,ロス率,栽培時期の3つを変数とし,環境負荷はすべて二酸化炭素排出量へ換算し各条件で比較した。結果を統合すると,適切な包装および流通温度制御を行ってロスを減らしつつ,3~4月のイチゴを船便で輸出することが環境負荷の面で優れる可能性があった。今後は3~4月のイチゴを長期間海上輸送可能とするプレ・ポストハーベスト技術開発が求められると考えられた。
許 修瑜・飯田訓久・上森崇道・野波和好・石井真嗣・岡本賢史・村主勝彦
キーワード: 農業ロボット,全地球航法衛星システム,経路計画,経路追従制御,消費電力
バッテリ駆動車両とそれに取り付ける電動草刈機を開発した。本論文では,複数の目標経路を提案し,全地球航法衛星システムによって追従走行しながら草刈作業を行った。その結果,開発した電動農機では,1回満充電で100分間稼働して面積15 a以上の草刈りが可能であった。次に草刈機を旋回時に昇降させる場合とさせない場合で,異なる経路で走行精度を計測した。その結果,草刈機を昇降せずに旋回半径が大きいU字旋回を行う経路では横偏差と方向偏差のRMSEがそれぞれ4.7 cmと5.8°であった。草刈機を昇降して直角旋回する経路は,横偏差と方向偏差のRMSEがそれぞれ1.9 cmと2.0°で経路追従精度が最も高かった。
速 報
前田武己・平野健太郎・長野水揮
キーワード: 乳牛ふん,高水分,強制通気,空隙,静圧