研究論文
ロボットトラクタのためのリバーシブルプラウ自動反転装置の開発と無人耕起作業
──CANデータを利用したほ場内のエンジン出力分布の可視化──
藤本 与・佐藤禎稔
キーワード: ロボットトラクタ,大規模畑作,無人耕起,外部油圧取出し装置,CAN,自動制御
本研究ではロボットトラクタを対象にリバーシブルプラウの無人耕起作業を可能にする自動反転装置を開発した。開発した装置は供試したトラクタから出力されるCANデータを利用して枕地旋回中に自動反転を行う。動作実験では0.8 haの実験ほ場で34行程の連続無人作業を実施した。ロボットトラクタを2台同時に監視する条件で投下労働量(人・h/ha)を試算した結果,無人耕起は慣行の有人作業と比較して36 %削減可能であることを示した。また,一定の条件で連続して作業可能なロボットトラクタのエンジン出力分布をマップで可視化することで,簡便にほ場内の土壌の硬さなどの変化を定性的に示す手法を開発し,農作業情報の活用例を示した。
技術論文
荒井圭介・栗原英治
キーワード: グレンコンテナ,高水分穀粒,滞留,収穫,運搬,乾燥
高水分穀粒に適応した収穫作業体系の構築を目的に市販グレンコンテナの高水分穀粒に対する現状の適応性調査と,滞留発生条件の解明を行った。現状の適応性調査として,市販グレンコンテナを供試し穀粒排出試験を行い,排出に要する作業時間を測定した。鉄製コンテナでは穀粒の含水率28 %w.b.以上または夾雑物混入割合1 %以上で滞留が発生し排出が停止した。また,滞留発生条件の解明として,グレンコンテナ底部を参考に製作した室内試験装置を用いて,滞留の発生条件を調査した。安息角33°以上または圧縮度6.7 %以上でブリッジが発生する危険性があることを明らかにした。