85巻6号

研究論文

サイバーフィジカルシステムにおけるロボットトラクタの走行制御に関する研究

森田 豪・Sristi SAHA・野口 伸

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 クラウド基盤を用いたロボットへの操舵制御に際して,ネットワーク間のデータ伝播や膨大な計算に伴った,遅延時間が生じてしまう。本研究では,運動モデルを基にして,遅延時間の横方向移動距離を推定し,その推定値を用いて操舵制御を行う方法を考案した。考案した遅延補償による推定横方向偏差の精度は0.04 mであり,十分な推定精度が確保されていた。加えて,マシンビジョンによる操舵制御システムを,クラウド上に配置し,遅延補償を行ったところ,走行精度が最大 76%改善された。以上の結果から考案したロボットの運動モデルを基にした伝送遅延補償システムが有効であることを明らかにした。 [キーワード]ロボットトラクタ,サイバーフィジカルシステム(CPS),自動走行,遅延補償,ビジョンセンサ


ロゼット解析およびDEMを用いた子実コーン収穫時の汎用コンバイン脱穀部天板の負荷解析

大塚望実・平井康丸・岡安崇史・深見公一郎・高橋仁康

キーワード:

 

 汎用コンバインは稲,麦,大豆を主な対象作物とするため,子実コーン収穫時の脱穀部天板の強度不足が懸念される。本研究では,ロゼット解析とDEMを用いて,コーン収穫時の天板負荷を解析した。その結果,von Mises応力のピーク10点平均は,天板中間部やや前方寄りでピークを示し,手前側の88.5 MPaが最大であった。負荷方向はこぎ胴の周方向寄りであった。また,201 MPaのvon Mises応力が計測され,このときの天板の安全率は1.34~2.19であった。DEM解析より,大きな負荷を与えるコーンの衝突挙動は挟まれ衝突であり,天板手前側に集中することが示された。この結果はロゼット解析と対応した。 [キーワード]コンバイン,3軸ひずみゲージ,衝突,飼料用トウモロコシ,数値解析,脱穀部,DEM,負荷,ロゼット解析


技術論文

ヒートポンプを活用した太陽光型植物工場における夜間の冷房時の電力需要分析と通年のエネルギー管理指標の設定

花形将司・玉城 鉄・古橋賢一・海津 裕・本條 毅・芋生憲司

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 空気熱源電気式ヒートポンプを活用しトマトを栽培する太陽光型植物工場において,夜間の冷房時では月間電力使用量,月間最大電力ともに,暖房時より小さいことを実測に基づき示した。通年のエネルギー管理のための指標として,各月ごとに栽培施設内に求められる温度環境の実現を電力使用量から評価する日面積原単位を提案した。日面積原単位によれば,夜間の冷房時の電力使用量は暖房時の約40 %であった。収穫期間内の各月に対しては,可販収量増加と電力使用量削減との両立性を評価する日可販収量原単位を提案した。日可販収量原単位によれば,夜間の冷房時の単位可販収量あたりの電力使用量は,暖房時の約12 %であった。 [キーワード]太陽光型植物工場,ヒートポンプ,夜間の冷房,電力需要分析,省エネルギー,エネルギーマネジメント,エネルギー管理指標


速   報

農作業安全教育における危険体感型資材の活用に関する基礎調査

紺屋朋子,積  栄,皆川啓子 [キーワード]VR(仮想現実),危険体感型,農作業安全,教育,安全啓発