85巻5号

研究論文

YOLOv3を適用したニホンナシにおける花芽検出システムの開発

LEE Jaehwan・佐藤 聡・森本英嗣・中谷真太朗・西山正志・山口武視・野波和好

キーワード: ニホンナシ,花芽検出システム,RTK-GNSS,YOLOv3,クリギング

 

 本研究では,ニホンナシの摘蕾作業を支援することを目的に画像処理による花芽検出システムを開発した。試作した画像取得システムはCCDカメラとRTK-GNSSから構成され,動画像は24fps,緯度経度は4Hzで取得した。画像処理にはYOLOv3を適用し,学習データとして1800枚,評価データとして360枚を用いた。画像処理の結果,花芽検出システムが推定した花芽数と目視での実測値の判定精度(Accuracy)は85.6%であった。さらに推定した花芽数は,GNSS情報と統合してクリギングによる補間後,1m×1mメッシュのグリッドマップを作成した。その結果,グリッドの花芽数は最大,平均,標準偏差はそれぞれ84,32,19個/m2となった。


不整地を走行する履帯車両の挙動に関する研究

石塚 駿・松井正実・青柳悠也

キーワード: 農作業安全,自脱コンバイン,不整地,安定走行,シミュレーション

 

 自脱コンバインは走行環境・履帯形状によって機体姿勢や走行振動が変化し,転倒事故や作業者の快適性に影響を与える。また,自脱コンバインの転輪は直接フレームに固定されているものも多いため不整地走行の際には振動が大きくなる。本研究では,安定した走行条件を整理するために,ISO規格に基づく路面粗さや走行速度を変化させた不整地走行シミュレーションを行った。その結果,路面粗さや走行速度が大きくなるにつれ,機体が路面から離れる時間が増加することが明らかになった。また,機体が浮き上がる境界となる走行速度を求めることで,各路面粗さにおいて安定走行を維持できる速度を求めることができた。


技術論文

マルチセンサ統合による作業機自動装着のためのトラクタのガイダンス手法

趙 元在・ヌウェン ヴァン ナン・元林浩太

キーワード: 位置合わせ、標準マーカ、装着位置、経路生成・追従、ヒッチカプラ

 

 本研究では、作業機を装着するためのGNSS、IMU及びビジョンを用いたトラクタガイダンス手法を提案する。カメラとマーカを含むビジョンシステムは、トラクタに対する作業機の相対姿勢を推定した。トラクタの後進経路の計画のための正確な作業機の装着姿勢を判定するために、作業機の相対姿勢をGNSSとIMUのデータと融合した。自律走行トラクタとブロードキャスタを用いてコンクリート上で自動装着試験を行った結果、提案したガイダンス手法は経路計画及び追従は正確に実行可能であった。横方向、縦方向及びヨーの平均誤差はそれぞれ0.015±0.010m、0.011±0.010m及び2.3±1.3°であった。


速    報

排水管埋設装置を用いて施工した本暗きょおよび落水口の効果

川原田直也

キーワード: 排水管埋設装置,本暗きょ,落水口,作業性,排水性,好適播種可能日数率,収量,小麦,大豆,水田転換畑