技術論文
大西正洋・太田智彦
キーワード: 平棚栽培,ナシ,ブドウ,スピードスプレーヤ,騒音
棚面にノズル管を近づける構造で近接散布を行う平棚栽培果樹用ドリフト低減型防除機は,機関回転速度および送風量を減らしても慣行機と同等の付着性能を有するため,薬液散布作業によって発生する騒音も低減できると考えられる。そこで,平棚栽培果樹用ドリフト低減型防除機の騒音低減効果を定量的に評価した。その結果,散布作業時の耳元騒音レベルは82 dB(A)であり,慣行機と比較して6~9 dB(A)低かった。また,85 dB(A)以上の面積は慣行機が53~211 m2であったのに対して平棚栽培果樹用ドリフト低減型防除機では0 m2であり,騒音レベルの高い面積が小さかった。
湊 淳・大須賀祐樹・小松﨑将一
キーワード: センサ,距離計測,超音波,赤外線,草高,IoT
作物栽培評価の重要な指標である草高測定を目的とし,安価な距離センサの比較検討を行った。一般に距離センサは平面を対象とした計測に用いられるが,植物は複雑な凹凸構造を有している。PSD,ToF,超音波距離センサを用意して評価を行った。各種距離センサについて測定距離の範囲,誤差の大きさ,太陽光などの影響を評価した。超音波距離センサでは,屋内,屋外いずれも,誤差が1 cm以下の値となった。PSDとToFは,太陽光の影響を受けるが,夜間に一回の測定を行うことにより2 cmから3 cm程度の誤差で測定が可能であることを明らかにした。
山田龍太郎・廣野久子・三森 孝・中村義和・今村健太郎・山内英樹・鈴木昌文・永井唐九郎
キーワード: 茶,乾燥,含水率,水分移動,製茶
新製茶技術の開発を目的として,ライン構成中に複数回の揉捻工程を含む「多揉捻製茶法」を提案し,検討した。その結果,多くの揉捻工程の次工程において乾燥速度の向上が見られるとともに,減率乾燥期間第一段の延長効果が確認された。含水率が高い茶葉に対して揉捻工程を行った際に,茎葉間における水分の移動が確認され,効率的な乾燥が行われた要因の一つであると考えられた。官能審査では多揉捻区が高い評価を得られたが,粒度分布では収穫時期により評価が異なった。「多揉捻製茶法」は効率的な乾燥と歩留まり,品質の向上に繋がるが,使用時期や目的を考慮する必要のある技術であることが明らかとなった。