研究論文
コンバイン刈取部における切断負荷と作物量の相関
――準静的電動刈刃機構の消費電力に基づく考察――
廣田大地・上加裕子・大畑秀平・土居義典・有馬誠一・松井正実
キーワード: 汎用コンバイン,電動往復刈刃機構,作物量,切断エネルギ,消費電力,機械学習
近年,汎用コンバインの研究開発が進んでいるが,対象作物の拡大に伴い作業精度に課題が生じているため,各作業部を電動化し微調整可能にすることで汎用性向上が期待できると考えた。刈取部で作物量を検知し,制御パラメータとすることでより最適な制御システムの構築を目指す。本研究では,極低速で駆動する往復電動刈刃機構を作成し,準静的条件下での切断負荷と作物情報との相関を示す特徴的なパラメータ抽出や消費電力波形から切断負荷の特徴について考察した。その結果,消費電力と切断力の波形には相関性が見られ,作物量予測モデルのパラメータには最大曲げ荷重,切断エネルギ,茎径,茎の水分が抽出された。
ICTを活用したナシ栽培管理における継承技術の開発(第1報)
――3次元レーザースキャナを適用した樹木抽出手法の開発――
LEE Jaehwan・吉田 剛・野波和好・松村一善・谷野 章・森本英嗣
キーワード: 3次元レーザースキャナ,点群データ,樹木抽出,反射強度,Radius Outlier Removal
本研究では,ナシ園において3次元レーザースキャナを複数の器械点に設置するための測定治具の試作と点群データ収集ならびに樹木抽出手法を開発して樹の点群データの自動抽出を試みた。樹木抽出手法では,グリッド化,地表の点群除去,反射強度をしきい値としたワイヤ除去,Radius Outlier Removalを適用した微小ノイズ除去の4つのアルゴリズムを開発した。実験においてナシ14本を計測した結果,13,843,644点の点群合成に成功した。さらに樹木抽出手法を適用した結果,地表,ワイヤ,微小ノイズの除去率はそれぞれ100,99.6,87.6 %であり,樹木抽出精度は94.5 %であった。
近赤外ハイパースペクトルイメージングを用いたニホンナシ糖度分布推定方法の開発
関 隼人・柏嵜 勝
キーワード: ハイパースペクトルイメージング,近赤外分光法,ニホンナシ,糖度分布,PLS回帰
近赤外域(900~1700 nm)ハイパースペクトルイメージングを用いて,ニホンナシ「にっこり」の果実断面の糖度分布を可視化した。ハイパースペクトルデータを測定したナシ断面に格子状ゲージを設定し,格子に沿ってサンプルの糖度を測定するとともに,格子内の25×25画素(約11×11 mm)の平均吸光度スペクトルを求めた。説明変数を平均吸光度スペクトルの2次微分スペクトル,目的変数を糖度としてPLS回帰により定量評価が可能な糖度推定モデル(R2 p:0.73,RMSEP:0.68)を作成して糖度分布を推定した。推定した糖度分布の平均値と実測した糖度分布の平均値には高い相関(R2:0.91)がみられた。
技術論文
ディープラーニングにおける物体検出アルゴリズムを活用したブロイラーの個体検出
市浦 茂・森 智洋・孟 彤・松山裕城・堀口健一・片平光彦
キーワード: 精度評価,行動量,体重増加率,転移学習,物体検出,鶏,ブロイラー,YOLOv4,再学習
本研究は,ブロイラー(肉用鶏)の飼養管理の省力化に向けて必要となる個体検出方法を開発することを目的として,ディープラーニングによる物体検出アルゴリズムを用いた個体検出手法の試作と,その検出精度評価を行った。飼養施設には,監視カメラを天井に設置し,24時間連続で約5週間収録した生育画像を用いて,定期的に個体の容姿を再学習させることで新たな物体検出モデルを作成し,継続的に個体検出を行い評価した。その結果,5週齢の個体を検出するには,20 %以内の体重増加率を目処に,行動量を加味して再学習することが有用であることが示唆された。
速報論文
励起蛍光マトリクスを用いたアボカド(Persea americana)の脂質量予測
斎藤嘉人・美和佑香・倉本 誠・小長谷圭志・山本敦洋・橋口慎太郎・鈴木哲仁・近藤 直
キーワード: アボカド,脂質量,励起蛍光マトリクス,クチクラ,ワックス
ほ場内から畦畔越しに排水管を引き込むために必要となるトラクタ作業機長
川原田直也
キーワード: 農業用トラクタ,排水管,引き込み機,トラクタ作業機長,水田畦畔
農業用トラクタのみで落水口および本暗きょが新設できる排水管埋設装置の開発
川原田直也・岡 浩行・山口忠一
キーワード: 落水口,本暗きょ,農業用トラクタ,排水管,引き込み機,トラクタ作業機