80巻3号

研究論文

事故現場の地形に基づく田植機の挙動に関する研究

青柳悠也・松井正実・木村智之・三浦 秦・福島崇志

キーワード:田植機,事故現場地形,シミュレーション,挙動モデル,重心位置,走行速度

 

 田植機は機械特性上,圃場退出等で事故が発生し易く,その挙動の解明は農作業安全の観点から重要である。本研究では,植付部による機体振動と車輪取り付け構造を考慮した田植機の上下・ピッチング・ローリング・前後の運動方程式を立案し,同定したパラメータを用いて,実際の転倒事故現場における挙動シミュレーションを行った。前後進圃場退出時の前後方向の重心位置と走行速度の変化による転倒への影響について考察した。その結果,本供試条件で転倒防止には後進での退出が有効であり,走行速度0.09 m/s以下では前後転倒に対する走行速度の影響が少なく,最適重心位置は後軸から軸距の46~48 %前方の範囲であることが示された。

脈波ポアンカレ断面形成における心電信号の活用
──農作業中の疲労状態の可視化に向けて──

桐山水響・酒井憲司

キーワード:農作業,心電図,脈波,相互相関解析,ポアンカレ断面

 

 農作業中の疲労状態の可視化のための心身状態の診断手法の開発を目的として,心電-脈波同時計測信号に対する解析手法の検討を行った。座位安静状態の被験者による心電-脈波同時計測信号に対して,相互相関関数によって時間遅れを求めた。その結果,各被験者の心電-脈波信号の時間遅れは被験者間で有意な差を示した。また,脈波信号の特徴可視化の新たな手法としてポアンカレ断面の可能性を検討した。新たに心電信号をトリガーとして用いた脈波信号のポアンカレ断面の生成手法を検討した結果,脈波信号の平均周期を用いた従来法よりもポアンカレ断面の点のばらつきが少なく,提案手法は,脈波信号のダイナミクスの構造を明確に把握するのに有効と考えられた。