80巻1号

研究論文

携帯型分光分析装置を用いた傾斜地圃場の土壌成分マッピング

李 奇辰・有水賢吾,小平正和・梅田大樹,澁澤 栄

キーワード:傾斜地,土壌成分マップ,可視・近赤外分光法,RTK-GPS,局所樹木管理法,PLSR

 

 携帯型分光分析装置を用いて,0.12 ha傾斜地柑橘圃場における土中スペクトルデータを収集し,24土壌成分を推定した。RTK-GPS測位した位置情報(経度,緯度,標高)を用いて23成分の圃場マップ及び収量マップを作成した。圃場に採集した100地点の土壌サンプルは,トレーニングセット(75試料)とテストセット(25試料)に分割した。回帰モデルの構築にはPLS回帰分析を用いた。構築したモデルを用いてテストセットでの予測値を求めた。予測値と分析値の散布図から得られた検量線の決定係数(R2)及びRPD(Residue prediction deviation)で回帰モデルの評価を行った。その結果,13成分は推定可能(R2>0.5,RPD>1.4)であった。

ブロードキャスタを用いた水稲乾田直播播種(第1報)
──ブロードキャスタの散播への適用性の評価と最適な耕起および鎮圧──

宮浦寿美・村上則幸・春原嘉弘

キーワード:乾田直播,散播,ブロードキャスタ,水稲,鎮圧,苗立ち

 

 ブロードキャスタ(粒状肥料散布機)を水稲乾田直播栽培での播種作業に利用することを目的として,繰り出された水稲種籾の損傷程度,種籾での散布精度,実作業時の散布分布について調べた。損傷した種籾は,ほとんどみられなかった。散布幅8 mで,散布のばらつきが小さかった。作業速度の上昇にしたがい,繰出量が増加する傾向がみられたが,設定繰出量との著しい差はなかった。播種の前後に行われる耕起と鎮圧作業について,苗立ちの良否から検討した結果,チゼルプラウによる耕起とケンブリッジローラによる鎮圧の組み合わせでも,ロータリによる耕起とケンブリッジローラによる鎮圧の組み合わせと同等の結果が得られた。

技術論文

遠赤外線乾燥条件の違いがキャベツの品質変化および消費電力量に及ぼす影響

折笠貴寛・北舘奏子・渡邊高志・小出章二

キーワード:遠赤外線乾燥,積算温度,L-アスコルビン酸,色彩変化,消費電力量

 

 キャベツの遠赤外線乾燥において,遠赤外線放射パネル数およびその設置位置を数段階の条件に設定し,試料温度,L-アスコルビン酸含有量,色彩および含水率変化を測定した。積算温度を指標としたL-アスコルビン酸残存率の評価を行うとともに,乾燥過程における消費電力量についても検討し,遠赤外線乾燥条件の違いがキャベツのL-アスコルビン酸,色彩および消費電力量に及ぼす影響について考察した。その結果,高温短時間乾燥において高いL-アスコルビン酸残存率を示したものの,色彩および消費電力量削減率については,低温長時間乾燥の方が良好な結果が得られた。