78巻5号

研究論文

トラクタ搭載型土壌分析システムの多項目多変量回帰モデル推定と土壌マッピング

小平正和・澁澤 栄

キーワード: 土壌分析システム,可視・近赤外分光法,PLS回帰分析,土壌マップ,土壌管理情報

 

 トラクタ搭載型土壌分析システムを用いた多変量回帰モデル(MRM)推定と土壌マップは,化学性と生物性(有機物含有量)の12項目が報告された。本研究の目的は,交換性加里と乾燥密度を含む25項目のMRM推定と既往研究との比較および土壌マッピングである。
 MRM推定には,334データを用いて2次微分前処理とPLS回帰分析(Full Cross Validation)を適用した。25項目のMRM精度は,決定係数(R2Val)が0.82~0.90,Residual Prediction Deviation(RPDVal)は2.35~3.25を得た。肥料三要素と生物性および物理性を含む25項目の高精細な土壌マップを示し,土壌管理情報としての付加価値を高めた。

技術論文

バイオガストラクタの開発(第1報)
――二燃料運転の出力,トルク,排ガス特性について――

塚本隆行・ジャベル ニザール・木村義彰・野口 伸

キーワード: バイオガス,二燃料運転,エンジン性能,燃費性能,排ガス性能

 

 バイオガスプラントで生成したバイオガスのうち,発電や熱利用以外の未利用バイオガスについて,車両用燃料としての利用技術を検討した。バイオガスと軽油の二燃料で稼働するトラクタの開発を行った。出力,トルク,燃費性能試験の結果,バイオガストラクタはエンジン回転数,負荷に応じてバイオガス供給量を自動制御することで,軽油単味運転と同等の出力・トルク性能を発揮した。また,バイオガスによる軽油の代替率は,熱量換算で最大86 %に達した。動力計を用いた定置条件で排ガス性能試験を行った結果,CO2,NOx,黒煙濃度が減少し,HCとCOが増加することが明らかになった。

バイオガストラクタの開発(第2報)
――二燃料運転による作業性能と低燃費効果――

塚本隆行・ジャベル ニザール・木村義彰・野口 伸

キーワード: バイオガス,二燃料運転,低燃費,燃料消費量,燃料代替率

 

 バイオガスプラントで生じた未利用のバイオガスの有効な利用技術が求められている。そこで車両用燃料としての利用技術を検討し,バイオガス・軽油二燃料で稼働する技術(バイオガストラクタ)を開発した。バイオガスプラントを擁する酪農家をモデルとして,バイオガストラクタによるほ場作業の実証試験を行った。試験の結果,すべての作業で軽油単味運転と同等の作業性能を発揮しながら軽油消費量を低減させた。作業ごとに軽油消費量の削減効果を検討した結果,ヘイレーキの作業では7割以上の軽油消費量を削減した。現地実証試験と動力計を用いた定置試験によって,バイオガストラクタの燃費性能を明らかにした。

排気タービン式過給ディーゼル機関の性能試験に関する実験研究(第1報)
――大気条件係数及び燃料温度が機関性能に及ぼす影響――

西川 純・清水一史・藤井桃子・紺屋秀之・滝元弘樹

キーワード: ディーゼル機関,性能試験,大気条件係数,吸入空気温度,大気圧,燃料温度,機関出力,燃料消費量,燃料消費率,排出ガス

 

 温度や大気圧など試験環境条件の違いによる試験結果のばらつきが小さい,より公正な機関性能試験を実施するための試験手法の研究を行った。本報では,吸入空気温度と乾燥大気圧から算出する大気条件係数や燃料温度が,排気タービン式過給ディーゼル機関の機関性能,排出ガスに及ぼす影響を確認した。
 その結果,大気条件係数の違いが,機関出力や燃料消費率,粒子状物質,窒素酸化物,一酸化炭素の排出量などの試験結果に影響を及ぼすことが明らかとなった。また,常に変化する乾燥大気圧に対し,大気条件係数が一定となるよう吸入空気温度を変化させて試験を実施することにより,試験結果のばらつきを小さくできる可能性があるため,その可能性を確認する必要がある。