78巻1号

技術論文

自然吸気式ディーゼル機関の性能試験に関する実験研究(第1報)
――大気条件係数及び燃料温度が機関性能に及ぼす影響――

清水一史・西川 純・藤井桃子・手島 司・滝元弘樹

キーワード: ディーゼル機関,性能試験,大気条件係数,吸入空気温度,大気圧,燃料温度,機関出力,燃料消費量,燃料消費率,排出ガス

 

 温度や大気圧など試験環境条件の違いによる試験結果のばらつきが小さい,より公正な機関性能試験を実施するための試験手法の研究を行った。本報では,吸入空気温度と乾燥大気圧から算出する大気条件係数や燃料温度が,自然吸気式ディーゼル機関の機関性能,排出ガスに及ぼす影響を確認した。
 その結果,大気条件係数の違いが,機関出力や燃料消費率,粒子状物質,窒素酸化物,一酸化炭素の排出量などの試験結果に影響を及ぼすことが明らかとなった。また,常に変化する乾燥大気圧に対し,大気条件係数が一定となるよう吸入空気温度を変化させて試験を実施することにより,試験結果のばらつきを小さくできる可能性があるため,その可能性を確認する必要がある。
 

乗用管理機型ブームスプレーヤの機体の垂直変位に起因するブーム垂直変位低減装置の開発

水上智道・吉田隆延・田中庸之・宮原佳彦・伊藤達夫・稲田隆則・田中保雄・徳田宏紀・太田 淳・柴崎大樹・森 励輝

キーワード: ブームスプレーヤ,垂直変位,油圧装置,サスペンション,ロール

 

 単動油圧シリンダ,アキュムレータ,バルブブロックなどから構成されるブーム垂直変位低減装置を開発した。既存機のブーム昇降用油圧シリンダの代替として用いることで,両輪のタイヤから同時に入力される垂直変位を低減する。障害物設置路面の走行試験(両輪乗り越し,片輪乗り越し)および北海道の麦収穫後の畑および鹿児島県の水田走行において性能を確認し,以下の結果を得た。ブームの垂直方向の振幅は,両輪乗り越し試験で約65 %,麦収穫後の畑で約36 %低減した。しかし,開発した装置では車体のロールによって生じる垂直変位を低減することができず,別途車体のロール対策が必要である。
 

大規模トマト施設栽培における収穫コンテナの無人搬送システムの開発

大森弘美・黒崎秀仁・岩崎泰永・高市益行

キーワード: トマト,コンテナ,コンベア,傾斜,無人搬送,磁気誘導方式

 

 大規模トマト施設栽培での収穫コンテナ運搬作業を省力化するための無人搬送システムを開発した。システムは,収穫したトマトの入ったコンテナを作業者が置く集荷装置,通路に敷設した磁気テープに沿ってコンテナを輸送する搬送車両,調製出荷作業まで一時的にコンテナをストックする受入装置から構成される。各機器にはコンテナを移すプラスチックコンベアを備え,コンテナの受け渡しはコンベアを傾斜させることで行う。栽培面積1 haの施設で5 tのトマトを運搬するための所要時間は4.4~7.5 hと試算された。また,緩衝材を敷いてトマトを入れたコンテナ搬送時の加速度は最大6.9 m/s2 で,トマトに損傷を与える衝撃ではなかった。
 

携帯型植物水分情報測定装置の開発

中山夏希・山下貴史・重松健太・吉永慶太・小林 研・窪田陽介・星 典宏

キーワード: カンキツ樹,水ストレス,水ポテンシャル,水分状態,ヤング率

 

 高品質農産物の安定生産に求められる適切なかん水管理を行うため,植物の水ストレスを迅速かつ簡便に,測定可能な装置の開発を目的に研究を行った。本研究では,ウンシュウミカン葉のヤング率から水ストレスの指標となる水ポテンシャルを推定する手法を用いて,園地で簡易にヤング率の計測が可能な携帯型植物水分情報測定装置を開発した。開発した装置は,ヤング率計算までの計測動作を自動で行い,推定した水ポテンシャルにより植物水分情報を得る事ができる。性能試験の結果,開発装置によるヤング率とプレッシャチャンバ法による水ポテンシャルは,相関係数が0.81であった。
 

自脱コンバイン用稲わら圧砕装置の開発

重田一人・塚本隆行・小林有一・加藤 仁・薬師堂謙一

キーワード: 稲わら,自脱コンバイン,排わらカッタ,圧砕わら,乾燥

 

 稲わらの圃場乾燥に要する日数を削減する方法として,自脱コンバインの排わらカッタの回転刃を切断機構のないホイールと交換することで,稲わらを切断しないで圧砕する機構を開発した。室内実験では,圧砕わらは空間距離を広げただけのわらより初期の乾燥が早く進むことがわかった。稲収穫と同時に行った圃場実験では,圧砕わらは長わらよりも保存に適する水分まで早く到達し,途中で降雨があった場合でもより迅速に乾燥した。さらに,1日1回の反転作業との組み合せで最も早く水分が低下した。所要動力は細断時の約60 %であった。
 

籾米サイレージ調製作業システムの構築およびコストシミュレーション

井上秀彦・松尾守展・川出哲生・恒川磯雄・浦川修司

キーワード: 飼料用米,籾米サイレージ,調製コスト,飼料用米破砕機,コストシミュレーション

 

 籾米サイレージ調製作業を連続的に行なうシステムを構築し,その作業能率,必要人員数,調製コストの検討を行った。また,破砕機に飼料用米専用破砕機および籾殻処理装置を汎用利用する場合のそれぞれのコストを検討した。その結果,構築したシステムにおいて,作業能率3.5 t/hの籾殻処理装置利用で作業人員3人体制では全ての工程を連続して行なうことが可能で,2人体制では脱気・密封作業を破砕機停止後にまとめて行なうことで,連続調製が可能であった。また,専用機を用いる場合で5.1 ha以上,籾殻処理装置を汎用利用する場合で9.3 ha以上の処理面積で籾米サイレージの調製コストが玄米利用における乾燥調製委託料金の25円/kgを下回る結果となった。
 

水蒸気の凝縮熱を利用した環境保全型水稲種子消毒装置の開発(第2報)
――モデル予測制御に基づく制御手法の開発――

野田崇啓・日髙靖之・伊與田浩志・中村 透・軽部勇希

キーワード: 水稲,種子消毒,加熱殺菌,プロセス制御,モデル予測制御,ソフトセンサー

 

 筆者らは前報において,開発した水稲種子消毒装置は,穀温測定法に準じて測定した加熱直後の種子温度(以下,Tfin)を75±1℃に設定することで,発芽率を維持したまま温湯浸漬法と同等以上の病害防除効果が得られることを明らかにした。そこで本報では,開発機でTfin を管理するプロセス制御の構築を目的に,モデル予測制御技術の開発,具体的には,開発機の運転状況からTfin を予測する回帰モデルを作成し,その精度を評価した。その結果,気流の湿度や加熱時間などの運転条件を説明変数とした重回帰モデルは,Tfin=66.0~82.7℃の予測範囲において,標準誤差0.5℃以内でTfin を予測できることを示した。これより,作成したモデルは装置の運転制御に活用できる見通しを得た。