77巻6号

研究論文

永久磁石同期モータによるロータリ式植付機構の車速連動制御

山田祐一・藤岡 修・小西達也\

キーワード: 田植機,永久磁石同期モータ,分散駆動,車速連動

 

 ロータリ式植付機構を対象に,低コストで車速連動制御が可能な駆動機構および制御システムを開発した。駆動機構は扁平型永久磁石同期モータと平歯車1段から構成し,植付機構2条の間に配置した。制御システムは目標値の生成とモータ制御を別々のマイコンに実装した。マイコン間はCAN通信で接続し,ホールセンサと電流センサのみの角度制御で車速連動制御システムを構成した。実験の結果,走行部の急加速を想定した植付速度5.0 Hzのランプ入力に対して停止状態から0.2 sで追従し,一定速度の走行を想定した等速制御では,7.5 Hzまで追従した。疎植を想定した不等速制御も可能で,平均植付速度5.0 Hzにおいて変速率30 %まで追従した。

自脱コンバインロボットによる隅刈制御

望月裕貴・飯田訓久・栗田寛樹・趙 元在・村主勝彦\

キーワード: 農業ロボット,自脱コンバイン,ロボット収穫,隅刈,GNSS,コンパス

 

 本研究では,自脱コンバインロボットによる隅刈制御手法の開発を行った。隅刈とは,コンバインが圃場の4隅で旋回するために必要なスペースを作るための刈取作業である。4条刈自脱コンバインロボットにより実験を行った結果,稲の踏み倒しや刈残しをせずに十分な旋回スペースを作ることが可能であった。目標経路に対する走行精度は,隅刈行程時の横偏差で最大0.102 m,旋回後に次刈取経路に対する横偏差で最大0.064 m,方位偏差で最大8.10°であった。

太陽光植物工場におけるマルチオペレーションシステムの開発
――害虫捕殺粘着シート撮影による害虫検知ユニット――

有馬誠一・上加裕子・ダナシュリ バラソ シンデ

キーワード: 農業ロボット,知的植物工場,マルチオペレーションロボット,生育診断,害虫検知,画像処理

 

 太陽光植物工場における生産性の向上と省力化を目的として,様々な作業を行うマルチオペレーションシステムを開発した。マルチオペレーションシステムは,走行ユニット,生育診断ユニット,害虫検知ユニット,受粉ユニットおよび収穫ユニットから構成されている。これらの内,本稿では害虫捕殺粘着シートの写真を撮影し,画像処理によって害虫発生数を監視する害虫検知ユニットについて報告する。太陽光植物工場内に設置した害虫捕殺粘着シートの画像に対して,捕獲した数百匹の害虫数を手動計測した正解データを用意し,画像処理の有効性を評価した。正解データと画像計数結果の差を母集団とする標準偏差は9.26となり,害虫発生数のマッピングデータ収集に十分活用できることがわかった。

湖沼環境モニタリングのための電動ロボットエアボートの開発

海津 裕・徳田治展・山田浩之・芋生憲司\

キーワード: global positioning system,水質マッピング,水深測量,自律航行,リチウムイオン電池

 

 湖沼のソナーによる深度計測や,水質の計測を効率的に行うため,自律航行可能な電動ロボットエアボートの開発を行った。プロペラの動力としてブラシレスモータを用いることで,ガソリンエンジンと比較して,軽量化や排気のクリーン化,騒音及び振動の低減,プロペラ回転数制御の容易化などが実現された。プロペラの回転数に対するボートの速度と消費電力を計測し,最大航行時間及び最大航行距離の推定を行った。基礎性能試験として,定点停留制御や直線追従制御の精度評価を行った。その結果,湖沼全体のマップを作成するための十分な精度が得られた。フィールド試験を,日本の北海道の阿寒湖チュウルイ湾とオンネトーで行い,試作ボートを用いた調査領域全体の深度や水質のマップの作成に成功した。

技術論文

センサベース可変施肥の小麦生産における評価

原 圭祐・須田達也・渡部 敢\

キーワード: 光学センサ,窒素追肥,秋まき小麦,窒素吸収量

 

 秋まき小麦を対象に,6年間延べ8圃場でトラクタ搭載型の光学式センサによる可変施肥実証試験を行った。可変施肥の施肥設計は,予め測定した窒素吸収量の圃場平均値との差を光学式センサで測定して施肥量を算出する方式とした。この方式により可変施肥した可変区の収量は定量で施肥する定量区と比較して平均で4 %上回った。増収効果は幼穂形成期の可変施肥で高く,止葉期では子実タンパク質含有率が平準化する傾向にあった。また,可変区の窒素収穫指数は定量区よりも高く,窒素施肥が効果的に利用されたと推察される。