77巻5号


研究論文



牧草サイレージの堆肥化処理における添加物の効果

小島陽一郎・阿部佳之・天羽弘一・井上秀彦・横江未央

キーワード: 牧草サイレージ,堆肥化処理,減量・減容化,セルロース分解,コマツナ発芽試験

 

 本研究では,牧草サイレージの堆肥化処理において,発酵促進を目的とした水酸化ナトリウム,牛ふん堆肥,廃菌床の添加効果および,堆肥化過程での原料性状の変化を明らかにすることを目的とし,60 L容器を用いた10週間の堆肥化試験をおこなった。その結果,添加物の有無によらず60 %以上の乾物減少率であった。また,実験期間における繊維画分および各種有機酸の減少程度は添加物による差が小さかったものの,pH,アンモニア態窒素,およびコマツナ発芽試験では添加物により差がみられた。特に発芽試験では,堆肥添加条件以外で顕著な生育阻害効果が認められ,その原因はアンモニア態窒素によるものと推察された。


十勝地域におけるバイオ燃料の自給利用に関する基礎的研究
――経済効果とCO2排出量の推定――

王  欣・柴田洋一・片岡 崇

キーワード: 産業連関表,生産誘発額,CO2排出量,バイオエタノール,バイオディ─ゼル

 

 北海道十勝地域において,バイオ燃料を地域内で製造・消費することを想定し,その経済効果とCO2排出量で示す環境影響を産業連関分析により定量的に算定した。具体的には,コムギ生産から発生する規格外コムギを原料にバイオエタノール燃料(BEF)を製造する場合と,新規栽培するナタネからバイオディーゼル燃料(BDF)を製造する場合という2つのシナリオを想定し,これらを比較した。その結果,両者とも自給・利用による経済的波及額は域外より域内の方が大きいことが示された。経済的波及額の総計は,新規栽培により経済活動が活発になるBDFの方が大きかった。CO2排出量は,BEF,BDFとも化石燃料を消費する現行システムより少ないことが明らかとなった。


技術論文




光源高さ可変並びにスライド式栽培棚を備えた栽培システムの開発

河﨑俊一郎・上原直子・渡慶次道安・川満芳信・上野正実

キーワード: 植物工場,人工光型,電力コスト,白色LED,DC電源,引き出し型栽培ユニット

 

 人工光型植物工場では生産コストとりわけ電力コストの削減が急務である。本研究では,直流電源で駆動し,光源の高さを植物の生育に合わせて自在に調節でき,かつスライド式栽培棚を備えた水耕栽培システムを開発した。この栽培システムを用いてリーフレタスを水耕栽培した結果,成長に合わせて光源高を調節した棚では,固定光源棚に比較して成長は促進された。さらに,移植後30日目の調査では,光源高を調節した場合,新鮮重および乾物重,葉面積,葉数が一定区に比べ有意に高くなった。この結果から,植物の生育に合わせて光源の位置を変更した栽培では,固定光源棚に比較して3日短縮され,生産コストを9.5 %削減できることが明らかになった。


インドネシアカンパー区の小規模米作農業における三種の耕うん機の経済的・機能的評価

ウジャン・パマン・稲葉繁樹・内田 進

キーワード: 作業性能,経済的比較,耕うん機,小規模米作

 

 インドネシア,カンバー地域において,3種類の耕うん機についてコストと作業性能についての現地調査を実施した。この地域の7つの地区の中からロータリ式22台,はつ土板プラウ式11台,フロート式耕うん機27台を調査対象とし,2012年および2013年においてこれらの機械の管理者・作業従事者・整備士に対するインタビューを実施してデータの収集を行った。その結果,フロート式耕うん機が,作業能率,運用コスト,利益において最適であるとの結論が得られた。耕うん機における損益分岐点は3.07 ha/1シーズンであった。それゆえ,性能面・経済面ならびに所有を正当化する理由として,本研究では該当農家に対しフロート式耕うん機の選択を提案する。


水蒸気の凝縮熱を利用した環境保全型水稲種子消毒装置の開発(第1報)
――処理条件の選定と病害防除効果――

野田崇啓・日髙靖之・伊與田浩志・越智昭彦・酒井和彦・薮 哲男・上垣陽平・三室元気・守川俊幸・磯田 淳・星野 滋・有江 力・中村 透・軽部勇希

キーワード: イネ,種子消毒,種子伝染性病害,過熱水蒸気,高温高湿度空気,加熱殺菌,熱療法

 

 農薬を用いない環境保全型水稲種子消毒技術の能率向上と低コスト化を目的に,水蒸気の凝縮熱により水稲種子を高温短時間で加熱して消毒するとともに,慣行の温湯浸漬法と比べ,水稲種子の冷却と乾燥を大幅に簡略化できる水稲種子消毒装置を開発した。開発機の処理条件を選定するため,穀物乾燥分野で用いられる穀温計測に着目し,種々の加熱条件下で加熱後の種子温度と発芽率を測定した結果,両者に相関性を認めた。加熱後の種子温度を75±1℃に設定することで,発芽率に悪影響を及ぼすことなく,温湯浸漬法と同等以上の病害防除効果を認めた。

速  報

NARO CAN BOARDを利用した播種機のGNSS速度連動化

加藤 仁・西脇健太郎・長坂善禎・建石邦夫・関 正裕

キーワード: 播種機,速度連動制御,GNSS,速度信号,NARO CAN BOARD