77巻3号

研究論文

ヨトウガの性フェロモンに対する触角電位応答

小林 充・片岡 崇・青沼仁志・柴田洋一

キーワード:害虫,防除,性フェロモン,触角,生体電位,バイオセンサ

 

 鱗翅目害虫のオス成虫はメス成虫の分泌する性フェロモンを触角で感知すると,触角内部に数mVの生体電位(以下,触角電位)が生じる。本研究では,害虫発生予察のために,ヨトウガを対象とし,性フェロモンに対する触角のセンシング機能を検討した。触角はヨトウガの頭部から切り離し,両端から脳波測定用ペーストを介して,計測器へ接続し,触角電位を計測した。この結果,切除した触角の寿命は最長200分程度であること,性フェロモン刺激は5秒以上の間隔を空けることが望ましいことがわかった。そして,メス性フェロモンの主成分である(Z)-11-ヘキサデセニルアセタート濃度に応じて触角電位の電位差は大きくなり,この変化を近似曲線で表すことができた。これより,オス成虫の触角電位応答を計測することで,メス成虫の発生動向の予察の一助になると考えられる。

逆音響解析を用いた音源モデルの構築と騒音伝達経路解析

明井政博・辻内伸好・伊藤彰人・山内貴之

キーワード:ディーゼルエンジン,コンバイン,騒音,音源同定,逆音響解析,伝達経路解析

 

 逆音響解析を用いて,普通型コンバインに搭載されるディーゼルエンジンの音源モデルを構築した。逆音響解析により同定されたエンジンの表面振動と実測結果を比較し,音源モデルを精度良く構築できることを確認した。さらに,構築した音源モデルと音響伝達関数の実測値を用いて,オペレータの耳位置における騒音伝達経路解析をおこなった。騒音伝達経路解析の結果に基づき騒音改善を実施し,構築した音源モデルの有効性を示した。

技術論文

イチゴパック詰めロボットの開発

山本聡史・林 茂彦・坪田将吾・落合良治・田中伸明・山田久也

キーワード:イチゴ,選果施設,フリートレイ,平詰めソフトパック,吸着ハンド

 

 イチゴのパック詰め作業の省力化を図るため,フリートレイ式のイチゴ選果ラインに組み込んで等階級に選別された果実を平詰めソフトパックに向きを揃えて並べるパック詰めロボットを開発した。開発機は6台の吸着ハンドを備え,トレイ上に水平に置かれた最大6果の果底部を同時に吸着し,パック詰めする。性能試験では,パック詰めした果実の95 %以上が目標方向の ±45°以内に収まった。しかし,果実の方向誤差の標準偏差は,サイズ別に12.6°~18.8°であり,慣行の4.8°~7.0°よりも大きかった。ソフトパック1枚の処理時間はサイズ別に45 s~59 sであった。開発機により選果ラインにて自動作業を行い,トレイ上の果実を吸着できない,あるいは,搬送途中で落下するといった失敗の割合を1 %未満にまで低減できた。

手腕振動感覚特性を考慮した刈払機振動低減

吉田準史・椊村将典・宮川 茂・大野照仁・石川大芽

キーワード:刈払機,振動,手腕振動感覚,定量化,固有振動数

 

 本研究では,刈払機振動感についての主観評価実験を通じて振動感を悪化させやすい刈払機振動の特徴を分析した。さらに得られた特徴を考慮し,刈払機振動感の改善をはかった。振動感における主観評価と振動測定結果を分析したところ,ハンドル前後,左右方向の50~500 Hz帯域振動が特に振動感に悪影響を及ぼすことが判明した。次に,実際に刈払機の振動感を改善するために,各部振動を測定したところ,エンジン高回転域において,振動感に影響の高い100~200 Hz帯の振動が増大していることが判明した。そこで,ハンドルパイプ長さなど計4か所の変更を行なうことで,該当領域の振動を大幅に低減させ,振動感を改善することができた。