76巻1号

研究論文

エタノール生産のための稲わらのペレット化

瀬戸利嗣・長谷川文生・山崎裕介・佐賀清崇・海津 裕・芋生憲司

 

 稲わらのペレット化による酵素糖化性の向上と減容効果を明らかにした。稲わらペレットは高温・高圧下で磨砕されることで,その糖化率は36%となり,粗粉砕のみの糖化率13%よりも向上した。また,ペレットのかさ密度は0.64g/cm3になり,ロールベールのかさ密度0.14g/cm3より4倍以上も圧縮減容された。収集運搬コストを算出した結果,稲わらの減容効果により,2次輸送と積込・積下ではコスト削減が認められた。しかしながら,ペレット化コストが梱包コストよりも大幅に大きいために従来の体系が14.4円/kg,ペレット化の体系が17.8円/kgとなり,全体ではコスト削減には至らなかった。

キーワード: 稲わら,ペレット,メカノケミカル反応,糖化,リグニン,減容化,収集運搬コスト

ロータリ耕うんの動的現象の解析研究(第2報)
――爪形状の土の投てきと耕うん軸トルクへの影響――

平澤一暁・片岡 崇・丹生秀和・久保孝之

 

 第1報では,ロータリ耕うんの土の投てき現象と所要動力を予測できるロータリ耕うんモデルを個別要素法で構築した。本報では,このモデルを用いて,形状の異なる2種類のロータリ耕うん爪による土の投てきと耕うん軸トルクを予測した。実測結果との比較から,本モデルはロータリ耕うん時の土粒子の速度分布を高い精度で予測できることが分かった。そして,耕うん軸トルクを81.9〜113%の範囲で予測できることが示された。

キーワード: ロータリ耕うん,土の投てき,ロータリ耕うん爪,土粒子の速度分布,耕うん軸トルク,個別要素法,高速度カメラ

技術論文

環境保全型耕うん法対応の播種深さ制御システムの開発

マルロー エドガー ブルセ・片岡 崇・岡本博史

 

 本研究の目的は,国産の施肥播種機が環境保全型耕うん法に対応できるような播種深さ制御システムを開発し,評価することである。ほ場表面の凹凸を追従し,適切な播種深さを維持するように,播種ユニット部を油圧システムで制御した。開発機の播種性能は,4年間ほ場試験を実施して検討した。開発した制御システムの応答遅れは0.3±0.16s,播種深さの平均二乗誤差は約4.79mm,作業速度1.0m/sにおいて±75mmの土壌表面の凹凸を追従することができた。播種深さについて,制御システムの有無により有意な差があることが示された。

キーワード: 精密農業,制御,播種,播種機,耕うん,土壌表面凹凸

イチゴの包装装置の開発(第2報)
――果柄把持パックとそのパック詰装置――

紺屋朋子・藤岡 修・大森定夫

 

 イチゴ果実の収穫・選別・包装・輸送工程における損傷低減と包装作業の省力化を目的として,個別容器および果柄把持パック(6果詰)を考案し,これにイチゴ果実を自動充填するパック詰装置を試作し,収穫から包装までを想定した試験を実施した。その結果,パック詰装置は6果を同時に,個別容器から取り出し,果柄把持パックのトレイへ充填し,フタをするまでの一連の作業を自動で行うことができた。一連の作業は果柄を把持して行い,果実に触れないため,果実の損傷を低減することが可能だと考えられた。試作したパック詰装置の充填成功率は9割以上であり,1パックを完成させるのに要した時間は約27秒であった。

キーワード: イチゴ,果柄,把持,パック詰め,品質

高効率ネギ調製機の開発(第1報)
――空気噴射量を節減できる皮むき用ノズルと皮むきと同時に行う太さ判別技術――

藤岡 修・大森定夫・紺屋朋子・本庄 求・松本 弘・木暮朋晃

 

 空気噴射量を節減し,小型のエアコンプレッサを用いて長ネギの皮むきが行えるネギ皮むき用回転ノズルを開発した。開発したノズルを試作機に搭載して性能試験を行った結果,普及型の慣行皮むき機と比べて皮むき作業能率が約20%向上し,かつ空気噴射量は約1/3に節減することができた。また,皮むきと同時に太さ選別が行える太さ判別装置を開発した。開発した判別装置を試作機に搭載し,性能試験を行った結果,正解率は80%程度と良好な判別精度が得られた。

キーワード: 長ネギ,皮むき,回転ノズル,太さ判別

高効率ネギ調製機の開発(第2報)
――現地実証による実用性の評価――

藤岡 修・貝沼秀夫・大森定夫・本庄 求・鵜沼秀樹・松本 弘・木暮朋晃

 

 従来と比べ小型のエアコンプレッサで皮むきができるネギ皮むき用回転ノズルと,皮むき時に太さ選別が行える太さ判別装置を搭載した試作3号機を製作し,現地実証を行ってその効果を確認した。その結果,皮むき作業能率は慣行機と比べて2〜31%向上し,空気噴射量は慣行機の46〜83%に節減された。圧縮空気を供給するエアコンプレッサの稼働に要した電力量は,慣行機と比べて33〜71%に節減可能であった。また,太さ判別装置を用いた機械判別は,熟練作業者による目視判別の選別精度と比較して概ね同程度であった。

キーワード: 長ネギ,皮むき,回転ノズル,太さ判別装置

光学式選別機を組み込んだ小麦の効率的な調製体系

原 圭祐・稲野一郎

 

 農産物規格規定の改正により,規格内小麦に許容される赤かび粒の混入率が厳しくなったことから,現状の調製体系では製品歩留が低下する。このため,赤かび粒を効果的に選別し,製品歩留を向上させるために光学式選別機の適応性を検討した。その結果,赤かび粒は整粒に比較して近赤外波長域の透過率が小さいため,近赤外センサを搭載した光学式選別機により選別可能であることが分かった。光学式選別機の赤かび粒選別特性を考慮して開発した比重選別機における中間品の再選別工程に光学式選別機を組込む体系は,製品歩留向上に有効であった。

キーワード: デオキシニバレノール,赤かび粒,光学式選別機,比重選別機,近赤外線,調製歩留

軽量性を考慮した刈払機の低振動化
――質量増加を伴わない刈払機高周波振動の低減――

吉田準史・植村将典・宮川 茂・大野照仁・石川大芽

 

 本研究では,安全性や作業性向上の為に開発された刈払機の振動低減を目的に検討を行なった。刈払機エンジン稼働時のハンドル振動測定の結果,当該刈払機は特に100Hz以下の低周波域よりも100〜250Hz帯域の高周波振動が大きく,手腕振動感覚を悪化させていることが判明した。さらに詳細解析の結果,ハンドルパイプ構造が高周波振動を増加させていることも明らかになった。そこで,本体質量を増加せずに高周波振動を低減するため,パイプ厚を薄肉化し,それにより低減した質量を高振幅部位に集中マスとして付加した。さらにラバーブッシュ特性も変更することで,質量や低周波振動は増加させずに高周波振動の大幅な低減を実現した。

キーワード: 刈払機,振動,軽量化,固有振動数,高周波