75巻3号

研究論文

飼料用米乾燥の高効率化

田中良奈・金城みのり・田中史彦・内野敏剛

 

 飼料用米の乾燥特性および乾燥熱効率について研究を行った。湿度を10%RH一定,温度を40,50,60,70,80℃に設定して,籾および玄米の高温での通風乾燥特性を調査した。さらに,乾燥時の試料に与える熱量と乾燥に要する熱量を算出し,乾燥条件ごとの乾燥熱効率の比較を行った。その結果,籾,玄米ともに乾燥温度が高いほど乾燥速度定数は大きな値をとること,および熱効率が大きくなることが明らかになった。

キーワード: 飼料用米,高温乾燥,乾燥熱効率

技術論文

循環式乾燥機を改良した穀物遠赤外線乾燥機の量産試作機の開発

久保田興太郎・日靖之・柏嵜 勝・市川友彦・小篠玲二・土門正幸・造賀和成・伊藤正人・大沼信彦

 

 実用的な穀物遠赤外線乾燥機の量産試作機の開発を行った。本乾燥機は,循環式乾燥機の穀物循環経路中に灯油バーナで加熱する方式の遠赤外線放射体を組込む構造とした。また本乾燥機は,遠赤外線放射体加熱残熱も再利用し,エネルギー効率を上げる構造とした。遠赤外線放射体の放射エネルギーの割合は投入エネルギーに対し平均48%で,放射される遠赤外線の中心波長は4.8〜5.1μmと計算された。
 遠赤外線放射体を循環式乾燥機のa)乾燥休止部,b)熱風路,c)集穀室内に組込んだ穀物遠赤外線乾燥機の試作を行い,乾燥試験を行った結果,遠赤外線放射体を組み込まない熱風乾燥機に比して,乾燥効率が向上するとともに品質も問題なく乾燥することができた。また,3型式について,それぞれ風量や穀物循環量の最適条件を明らかにした。
 最後に市販化の検討を行い,コストや取扱性などから,熱風路設置型と集穀室内設置型を採用することとした。

キーワード: 遠赤外線,循環式乾燥機,遠赤外線放射体

エクストルーダの稲わらおよび麦わら成形装置としての適用性

大西正洋・藤井幸人・長澤教夫・グエン キム クエン・手島 司

 

 稲わらおよび麦わらの成形にエクストルーダを用いた場合の適用性を明らかにするとともに,効率的な成形方法に資する知見を得ることを目的に,エクストルーダによる稲わらと麦わらの成形を試みた。その結果,稲わらは,穴の直径が6mm〜9mm,厚さ19mmの成形プレートを用いた場合,含水率30〜45%の未切断の状態で直接成形部へ投入しても,粉化率10〜30%で円柱状に成形できることを確認した。また,処理能率は成形部へ投入する稲わらの長さが短くなるに従って向上する傾向が見られた。一方,麦わらを直接投入すると円柱状に成形できず,ベントナイトもしくはとび粉を添加することにより成形できたが,処理能率が低下した。

キーワード: バイオマス,稲わら,麦わら,成形,エクストルーダ

車輪移動機構を持つ農用ロボットの自律作業用経路作成

田尻智紀・高田洋吾・川合忠雄

 

 本論文では,車輪型移動機構を持つロボットが移動できるような出発地点から目的地点までを結ぶ移動経路の作成を試みた。車輪型機構を持つ農作業用ロボットは,その機構的な要因から段差に進入することができない。そこで,地面の勾配を考慮した経路作成を行った。Q学習は経路作成によく利用される手法のひとつである。Q学習を用いて,ロボットに勾配の小さい最適な経路を学習させる。実際のロボットを用いて,段差やスロープのある実環境下で実験を行い,本手法の有効性を調べた。実験結果から,本手法の有効性が確認できた。

キーワード: 農作業用移動ロボット,Q学習,傾斜や段差のある地形,立体地図,経路作成

可搬型リアクタによる飼料用米からのバイオエタノールオンサイト製造

山ア裕文・北村 豊・藤枝 隆・元林浩太・重田一人

 

 軽量で動力源を要しない可搬型リアクタを試作して,飼料用米を籾のまま原料とする全粒糖化発酵法により,バイオエタノールの実験的製造を行った。積算発酵温度とエタノール生成率の間には正の相関(r=0.93)が認められた。ラボスケール実験において,3回までの蒸留残液の返し仕込みと籾の損傷処理により,高温浸漬におけるエネルギーおよび時間をそれぞれ約40%,1時間低減できることが示された。返し仕込みと籾の損傷処理を行った際のエタノール製造量は17.7L/50kg-籾となり,無水化過程の既往値を含めたEPRは0.99となった。新潟県佐渡市でのバイオエタノール生産を前提とした場合,原料製造から製品販売までの二酸化炭素排出量は20.9kg-CO2/GJと概算された。

キーワード: 全粒糖化発酵,可搬型リアクタ,二酸化炭素排出量,エネルギー収支,積算発酵温度

エアーアシスト条播における補助流作用の効果

Loan Nguyen Thi Thanh・帖佐 直・塚本隆行・東城清秀

 

 エアーアシスト条播機による水稲の湛水直播において,種籾を播種噴頭まで搬送し,播種する空気の流れ(主流)とは別の空気の流れ(補助流)を作用させて,種籾の運動を制御する手法について検討した。播種噴頭管内に補助流を作用させることによって,噴頭管から噴出する風速は最大で28.0m/sに達し,そのとき種籾の平均落下速さは6.9m/sとなった。播種深度も深くなり,平均値で7.2mmになった。補助流を作用させたことで,種籾の落下方向が広がり,条幅も広くなる懸念もあるが,補助流を作用させる方向を調整することで,解決できる課題であることを示した。

キーワード: エアーアシスト条播,補助流,風速,落下速度,播種深度,条幅

刈払機の飛散物防護カバーに関する研究(第1報)
――ISO 11806における飛散物防護試験の検証と飛散物測定装置の開発――

塚本茂善・森本國夫・高橋正光・小林太一

 

 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターで行っている農業機械の安全鑑定では,刈払機の一層の安全性確保を目指してISOに準拠した刈刃と飛散物防護カバーの強度試験をそれぞれ導入してきた。そこで飛散物防護カバーの防護性能の確認試験として,ISOの飛散物防護試験の導入について検討を行った。その結果,刈刃の種類によっては飛散自体が発生しない場合があったため,飛散物防護カバーの寸法要件の見直しも視野に入れつつ,刈払機での通常作業時に生ずる飛散を考慮した,各種刈刃により発生する飛散物の飛散方向を把握することができる装置の開発を行った。

キーワード: 刈払機,飛散物防護カバー,飛散物,ISO 11806,安全鑑定

刈払機の飛散物防護カバーに関する研究(第2報)
――飛散物の飛散方向測定――

塚本茂善・森本國夫・高橋正光・小林太一

 

 刈払機の一層の安全性確保を目指して,第1報ではISO 11806 : 1997に準拠した飛散物防護試験の安全鑑定への導入について検討を行い,その結果を受け,刈払機での通常作業時に生ずる飛散を考慮した新しい飛散発生方法の検討を行い,各種刈刃により発生する飛散物の飛散方向を把握することができる装置の開発を行った。本報では,その測定装置を用い,各種刈刃により発生する飛散物の飛散方向測定を行い,各種刈刃による飛散物の飛散方向の傾向が明らかになった。また,平成21年度までの安全鑑定基準に準拠した飛散物防護カバーでは防護されていない範囲があることも明らかとなり,安全鑑定基準への反映について知見を得ることができた。

キーワード: 刈払機,飛散物防護カバー,飛散物,ISO 11806,安全鑑定

可変径式細断物成形機構の開発(第1報)
――成形機構の検討と試作――

川出哲生・志藤博克・橘 保宏・高橋仁康

 

 筆者らは,TMRを異なる径のロールベールに成形・密封する可変径式TMR成形密封装置の開発を念頭に置き,バーチェーン式で成形室直径0.8mの細断型ロールベーラをベースに可変径式細断物成形機構を開発した。動作確認試験により,TMRを幅0.9m,直径0.8〜1.0m,質量248〜491kg,乾物密度380kg/m3以上のロールベールに成形できることを確認した。ロールベール形状は良好で,市販のベールラッパで密封できたが,各設定直径におけるベール質量の標準偏差は8〜16kgであった。また,直径1.0mの時に,試作機の成形室の開放動作が不完全で,改良が必要であった。

キーワード: 発酵TMR,高密度,細断型ロールベーラ,可変径式ロールベーラ