74巻6号

技術論文

イチゴ高密植移動栽培における作業性の調査と適正規模の導出

齋藤貞文・林 茂彦・山本聡史・岩崎泰永・高橋信行

キーワード: イチゴ,移動栽培,高密植,作業性,適正規模

 

 イチゴの移動栽培装置における栽培ベッド移動に要する動作時間と作業能率との関係を明らかにすることで作業時間を制約条件として実用し得る最大の装置面積を導出した。収穫作業が最も大きな制約条件であり,栽培ベッド1台あたりの収穫作業時間は,収穫果数が少ない時期では装置のサイクル時間を必要とし,収穫果数が多い時期ではサイクル時間とは関係なく収穫果数と作業者の採果速度と収容動作時間により決定された。作業時間をシミュレーションした結果,収穫最盛期に作業者2名の導入を前提として,装置規模は770m2程度まで拡大可能であった。装置をより大規模化するためには,装置の稼働時間の短縮と同時に収穫作業時間の短縮が必要であった。

放射性物質の除染作業におけるはつ土板プラウの耕深と表層土埋没深さとの関係

後藤隆志・落合良治・小林 研・西村 洋・重松健太・吉野知佳・松尾陽介・手島 司・清水一史・西川 純・小澤良夫・下村 剛

キーワード: はつ土板プラウ,放射線,放射性物質,表層土,埋没,耕深,ジョインタ

 

 放射性物質を含む農地の表層土を埋没させる作業の参考とするため,22インチと14インチのはつ土板プラウを供試し,黒ボク土と灰色低地土の畑において,耕深を変えて表層土(深さ約3cm)の埋没深さを調査した。その結果,(1)表層土の平均埋没深さは,耕深にほぼ比例して深くなったこと,(2)整地と時間の経過により耕起された土が耕起前の位置まで沈下したと仮定した時の表層土の推定平均埋没深さは,耕深の約2/3であったこと,(3)同上沈下後における表層土の推定埋没深さの10パーセンタイル値は,耕深の約半分であったことが明らかになった。

トラクタ直装型培土機の培土性能について
――作業条件とPTO軸トルクの関係──

杉本光穗・井上英二

キーワード: サトイモ,培土機,耕深,耕うんピッチ,PTO軸トルク

 

 宮崎県が管理作業の軽労化を目的に検討したサトイモの栽培様式に供試するトラクタ直装型培土機を開発し,作業条件とPTO軸トルクの関係を明らかにするため試験を行った。その結果,培土高さと耕深とは直線関係にあり,耕深が深くなるほど培土高さは高くなった。一方,培土高さと耕うんピッチの長短との関係は認められなかった。PTO軸トルクは耕深,耕うんピッチおよび耕うん量と直線関係にあったが,PTO軸トルクを各々の一次式のみで表すことはできなかった。土壌密度,耕深および耕うんピッチを説明変数としたPTO軸トルクの重回帰分析の結果,耕深,耕うんピッチ,土壌密度の順に標準化偏回帰係数が大きいことが提示された。

食用きのこ増産用パルス高電圧発生装置の開発とその効果の検証

高木浩一・齋藤達也・日下智博・坂本裕一・高橋久祐・成松眞樹・長根健一・山口 諒

キーワード: 高電圧パルス,電気刺激,シイタケ,ナメコ,ハタケシメジ,クリタケ

 

 食用きのこの増収を目的に,電気刺激用パルス電源の開発と,それを用いて増収効果を検証した。木材腐朽菌のシイタケ,ナメコ,クリタケ,ハタケシメジの4種類を実験に用いた。パルス電源は,軽量コンパクト化が可能な誘導性エネルギー蓄積方式で構成した。電源出力は100kV以上,パルス幅は約100nsである。この電源でホダ木や菌床に高電圧を印加し,収量を調べた。電圧印加により,収量は1.3〜2.0倍に増加した。シイタケの4シーズンの累積収量は,電圧50または100kVの1回印加で,160から320gへ増加した。しかし電圧130kVでは240gに減少した。他のきのこも,50〜100kVで増収となった。

トマト低段密植栽培に対応した着果処理ロボットの開発(第1報)
――画像処理による開花部位の認識と噴霧機構の開発──

黒崎秀仁・大森弘美・高市益行・岩崎泰永

キーワード: 開花認識,画像処理,ロボット,着果処理,トマト,低段密植栽培

 

 トマト花房にホルモン剤をスポット散布する着果処理ロボットを開発することを目的に,着果処理実験機を試作し,基礎実験を行った。実験機は3軸のマニピュレータとカメラ,LED照明,噴霧装置,制御用コンピュータで構成し,夜間に動作する設計とした。開花数の判定実験では,花房がカメラ側に露出している条件で検出した花弁の面積に閾値を設け,処理適期の3花開花期の判定成功率は93%であった。着果処理実験では,花房がカメラ側に露出している条件では手作業と同等の着果率であったが,主茎の背後の花房では着果率は低下した。