72巻5号

研究論文

トラクタの突起物乗越し時の動特性(第1報)
――突起物乗越しモデルの改良とばね定数の測定――

武田純一・嶌田 優・菊池 豊・中野 丹・岡田俊輔・広間達夫・鳥巣 諒

キーワード: 農用トラクタ,動的挙動,車両振動,トラクタダイナミクス,過渡応答,タイヤバネ定数

 

 本研究は,正弦波状の突起物を左右の車輪が同時に乗越す場合の農用トラクタの動的挙動について,より実際の現象に近い状態を表すことができるよう,タイヤの有効半径を考慮したモデルを構築した。また,トラクタの動的挙動に大きな影響を与えるタイヤのばね定数について3つの方法で測定し比較検討した。

トラクタの突起物乗越し時の動特性(第2報)
――突起物乗越しモデルの妥当性の検討――

武田純一・嶌田 優・菊池 豊・中野 丹・岡田俊輔・広間達夫・鳥巣 諒

キーワード: 農用トラクタ,動的挙動,車両振動,トラクタダイナミクス,過渡応答,タイヤバネ定数

 

 本報では,第1報で提案したタイヤ半径を考慮したモデルを用いて,突起物乗越し時のトラクタの動的挙動をシミュレートし,実車実験との比較を行いその妥当性を検討した。この結果,シミュレーション結果による加速度波形は,トラクタ単体での実車実験の結果と良く一致し,モデルの妥当性が確認できた。また,作業機を装着したトラクタ・作業機系の実車実験の結果とも良く一致し,提案したモデルが汎用性を持つことも明らかになった。

大豆群落の葉色測定における葉位の影響と透過光を用いる利点

奥野林太郎

キーワード: 葉色,大豆,リモートセンシング,分光透過特性,分光反射特性,葉部窒素含有率,葉位,マシンビジョン

 

 本研究では大豆群落の構造や光源の方向による大豆葉色測定の誤差要因を調査した。異なる葉位の大豆葉のSPAD葉緑素計値を測定した結果,下位葉と上位葉では葉色は大きく異なり,上位3葉の葉色値の平均が群落を代表する葉色値として利用できることが分かった。また,大豆葉において多様な方向からの反射光と透過光の分光特性を調べた結果,葉の透過光の測定は反射光の測定に比べ,光の入射角に基づく測定誤差を低減することが分かった。

下側接近を特徴とする定置型イチゴ収穫ロボットの開発(第3報)
――移動栽培と組み合わせた収穫性能試験――

山本聡史・林 茂彦・吉田啓孝・小林 研

キーワード: イチゴ,移動栽培,収穫,ロボット

 

 第1報で報告したエンドエフェクタ及び多関節型7軸マニピュレータと第2報で報告したマシンビジョンを組み合わせた定置型イチゴ収穫ロボットを開発した。さらに,ロボット正面に栽培ベッドの横移送装置を設置し,収穫性能試験を行うための収穫試験システムを構築した。‘紅ほっぺ’10株を千鳥状に定植した長さ1mの栽培ベッドを50台供試し,性能試験を行った。その結果,収穫試験システムにおける収穫適期果実の収穫成功率は67.1%であった。収穫適期果実の位置検出率は89.0%,着色率測定結果に基づく収穫適期判定率は83.4%,採果率は90.3%であった。果実の損傷率は12.5%,誤採果率は13.9%であった。長さ1mの栽培ベッド(収穫適期の平均果実数 : 2.3個)1台当たりの平均処理時間は126.7sであった。

技術論文

近赤外分光法を用いた生食用プルーン果実の糖度推定

小島陽一郎・澁澤 栄・小平正和・梅田大樹・金澤香穂里

キーワード: プルーン,近赤外分光法,糖度,収穫後日数,収穫場所

 

 情報付きプルーン生産を目指し,近赤外分光法を用いて生食用プルーン果実の糖度推定法の開発を試みた。供試機器には波長間隔1nmの近赤外分光式内部品質センサを用い,710−949nmの波長の吸収スクトルを取得した。吸収スペクトルは平滑化及び二次微分処理を行い波長域ごとの検量線を作成した。その結果,プルーン果実の糖度を非破壊で推定可能であった。750−939nmにおける検量線の決定係数(R2)は0.91,SECVは0.61 Brix%だった。

トラクタ用省エネ運転指示装置の効果(第1報)
――室内試験,ロータリ耕および弾丸暗きょ施工試験――

後藤隆志・手島 司・杉浦泰郎・高橋弘行・清水一史・積  栄

キーワード: トラクタ,機関回転速度,走行速度段,PTO速度段,燃料消費量,ロータリ耕,弾丸暗きょ

 

 燃料消費量が少ない運転条件を運転者に指示する試作装置を24kWの農用トラクタに搭載し,動力計を用いた室内試験,ロータリ耕試験と弾丸暗きょ施工試験を行った。その結果,試作装置の指示に合わせて運転条件(走行速度段,PTO速度段,機関回転速度)を変更することにより,調速レバー全開で運転していた時には,負荷率(PTO最大出力に対する作業時の動力の比)55〜65%の場合で約15%,負荷率35〜40%の場合で25〜30%,負荷率20%程度の場合で35〜45%燃料消費量を低減できた。また,調速レバー開度2/4程度で作業していた時には,負荷率10〜25%程度の場合で10〜20%燃料消費量を低減できた。

トラクタ用省エネ運転指示装置の効果(第2報)
――施肥・中耕試験と体系利用時における効果の試算――

後藤隆志・手島 司

キーワード: トラクタ,機関回転速度,走行速度段,PTO速度段,燃料消費量,施肥,中耕,作業体系

 

 燃料消費量が少ない運転条件を運転者に指示する試作装置を24kWの農用トラクタに搭載し,施肥試験と中耕試験を行った。その結果,試作装置の指示に合わせて運転条件(走行速度段,PTO速度段,機関回転速度)を変更することにより,調速レバーを全開にして負荷率(PTO最大出力に対する作業時の動力の比)20%程度で作業していた場合には約45%,調速レバー開度を2/4程度にして負荷率25〜30%程度で作業していた場合には約10%燃料消費量を低減できた。また,水稲12ha, 大豆・麦二毛作8haの経営において15種類の作業に試作装置を利用した場合の効果を試算した。その結果,節減される燃料は174L/年,節減される燃料費は15,000円/年(軽油価格85円/Lの場合)であった。