72巻4号

研究論文

長ネギの内部品質評価方法とその変動

飯野 師・澁澤 栄・岡山 毅・梅田大樹・小島陽一郎・小平正和

キーワード: 長ネギ,内部品質,Brix値,ブランド化,べき乗関数

 

 本研究では長ネギの内部品質指標として可溶性固形分濃度(Brix値)を用いて,個体内,個体間および産地間のバラツキを調査するとともに,それぞれの産地においてBrix値が栽培時期によってどのように変動するのかを調査した。その結果,個体内では葉鞘部におけるBrix値は根部に近い部分が最も高く,葉身部に近づくにつれて減少する傾向があった。この個体内のBrix値のバラツキは根元からの距離を変数とするべき乗関数で精度良く近似可能であることがわかった。また,この関数の係数は産地によって大きく異なり,また収穫時期によっても大きく変動することがわかった。よって,この係数はブランド化のための内部品質管理に利用できると思われる。

Web診断のための画像特徴を利用したイネ病気の判別・分類に関する研究
――色及び形状特徴を用いたパターン判別分析法の精度――

マハルジャン ガウリ・高橋照夫・張 樹槐

キーワード: 画像特徴,イネ病気,分類,Web診断,パターン判別

 

 本研究は,Web上でイネ病気の種類の自動判別を行う早期診断支援システムの開発を目的とし,外観特徴からその病状の判別・分類を行う方法を確立するために,葉いもち(2病状区),紋枯病(1病状区),ごま葉枯病(1病状区)の3種類4病状区を対象に,色及び形状特徴と6種類の判別分析法(サポートベクターマシン(SVM),ニューラルネットワーク,集団学習,樹木モデル,線形判別分析,及び2次関数判別分析)の性能との関係を調べた。円形度などの変数7個を用いた場合,4病状区の正判別率の平均は,それぞれ86%,80%,81%,76%,78%,及び81%となった。さらに,SVMの精度は2病状区ずつの組み合わせで94%と高かったことから,SVMは供試条件下でイネ病気の判別に優れていることが分かった。

技術論文

紫外線励起蛍光画像法を用いた米の鮮度評価技術(第1報)
――米鮮度評価システムの試作とその適応性――

八谷 満・浅野目謙之・後藤恒義・中村 透・野田崇啓

キーワード: 非破壊検査,米,品質評価,紫外線励起,鮮度,蛍光,ルミネッセンス

 

 非破壊の米品質評価技術の確立に向けて,紫外線励起蛍光画像法を用いた米鮮度評価システムを試作した。本システムは小さな暗室内に組み込んだ励起光源(落射・透過),試料ホルダ,蛍光画像取得の冷却CCDカメラ,排気ファン及び操作・解析用パソコンから構成される。紫外域光の励起により米から発光される蛍光の強度を米品質劣化の指標とする非破壊かつ簡便迅速な米鮮度評価方法である。貯蔵試験を通じて,米から発光される蛍光をもとにその蛍光強度を測定し,併せてグアヤコール反応など米品質を示す従来の理化学指標との相関性等をもとに本システムの適応性を検証した。その結果,蛍光強度は貯蔵温度や貯蔵期間に連動して変化する傾向を示し,理化学指標と有意に高い相関を有することが明らかとなった。本システムによって貯蔵履歴にともなう米の品質変化を推測可能であると考えられた。

旋回流の揺動噴射によるリンゴ果実に付着するハダニ類の除去

齋藤秀文・宮崎昌宏・中村ゆり・小林 恭・建石邦夫・山根 俊・高辻豊二

キーワード: 洗浄,物理的除去,リンゴ,ハダニ,旋回流,気流,検疫

 

 リンゴに付着するハダニ成虫の効率的な物理的除去法を開発するため,微少な水滴を含んだ旋回気流を揺動噴射する果実洗浄装置を開発した。開発した洗浄装置は,ノズルに供給する空気圧力を高め噴射時間を長くするほど,ナミハダニ成虫の除去率は高くなった。ノズルに供給する空気圧力0.8MPa, ノズルと洗浄面との距離5mmの場合,洗浄面における噴流の平均衝突圧力は52kPaであった。3.6Hzの揺動機構により衝突圧力1kPa以上の洗浄面積が4600mm2となった。ノズルに供給する空気圧力が0.8MPa, 噴射時間2s以上ではリンゴのていあ部のハダニ成虫の除去率は100%になった。

トラクタ用省エネ運転指示装置に関する基礎試験と試作装置の概要

後藤隆志・手島 司・杉浦泰郎・高橋弘行・清水一史・積  栄

キーワード: トラクタ,機関回転速度,走行速度段,PTO速度段,燃料消費量,排出ガス温度

 

 農用トラクタによる作業において,燃料消費量が少ない運転条件を運転者に指示する装置を開発した。本報では,基礎試験の結果および試作した装置の概要について報告する。基礎試験では,回転センサと熱電対でトラクタの機関回転速度と排出ガス温度を検出し,機関回転速度と排出ガス温度の測定値から作業動力を推定できることを明らかにした。試作装置では,作業時の機関回転速度と作業動力に応じて5段階の領域を設定し,燃料消費量が少なく,排気煙濃度が低い領域で作業するように運転条件(走行速度段,PTO速度段,機関回転速度)の変更指示を出すようにした。また,指示前後で作業精度が変わらないようにするため,指示前と指示後の作業速度とPTO回転速度が同程度となるような指示を出すようにした。

グローブ型装置による収穫前果実の可視近赤外分光計測(第1報)
――圃場での作業効率に特化した近赤外分光装置の開発――

青木宏道・太田万理・大塚周二・鈴木鐵也

キーワード: 樹上果実,NIR, 簡易計測,日本梨,クロロフィル,熟度,栽培管理,屋外計測

 

 本報は果樹生産者の要望を実現に近づける装置の開発試作について報告ものである。すなわちそれは収穫することなく樹上にある果実の成熟度合いを正確に評価することを可能とすることである。クロロフィル含有量に基づいて光学的に果実の成熟度合いを定量化する技術は近赤外線(NIR)による反射計測によってすでに確立されている。しかし,従来の装置は栽培園地において収穫前の果物の成熟評価に利用することが難しい。ここに記述する装置は厳しい条件の下でも葉緑素含有量を測ることにより2,3秒以内に樹上果実の成熟度合いの評価を行うことを可能とする。屋外で取得されたデータは研究室の理想的な状況の下で取得されたそれらと合致するものであった。

自脱コンバインの修理費の推計

大西正洋

キーワード: 自脱コンバイン,整備,事故,修理費,試算

 

 より実態に近い自脱コンバインの利用経費を試算するための基礎資料を得ることを目的に,修理費(点検整備費と事故修理費)に関する実態調査を行った。その結果,機械本体価格に対する点検整備費の割合は刈取条数が小さくなるに従って,また,累積稼働時間が長くなるに従ってそれぞれ大きくなることを明らかにした。また,調査結果を用いて機械本体価格に対する年間修理費の割合を線形重回帰モデルで近似的に表し,機械本体価格に対する年間修理費の割合は,刈取条数によって1条あたり0.6%程度,累積稼働時間によって100時間あたり0.2%程度変わることを示した。

速  報

吸引通気式堆肥化システムで回収される液体肥料,発酵排熱,未利用酸素を利用した成分調整型堆肥の製造

宮竹史仁・阿部佳之・本田善文

キーワード: 成分調整型堆肥,アンモニア,排熱,酸素,二次発酵,吸引通気式堆肥化システム