72巻2号

研究論文

下側接近を特徴とする定置型イチゴ収穫ロボットの開発(第2報)
――マシンビジョンの構築――

山本聡史・林 茂彦・吉田啓孝・小林 研

キーワード: イチゴ,移動栽培,収穫,ロボット,ステレオ画像法,着色率,分光反射特性

 

 定置型イチゴ収穫ロボットのための果実の個別認識,位置検出及び着色率測定を行うマシンビジョンを構築した。下側から果頂部に向かって果実画像を取得し,個別認識では粒子解析手法を用い,位置検出をステレオ画像法により行った。着色率を測定するため,栽培ベッド側から通路側に向かって横方向から果実を撮影した。イチゴ果実の分光反射特性を考慮し,白色照明に加え,赤色及び緑色の照明を用いて各照明による画像を取得し,画像処理により着色率を算出した。着色率を測定した結果,複数色照明では目視判定で着色率80%未満の果実を着色率80%以上と誤判定する割合が7.1%であり,白色照明だけでは23.8%であった。位置検出と着色率測定における同一果実のマッチング成功率は100%であった。

移動型栽培施設のミニトマト収穫ロボット(第1報)
――ロボットの概要と三次元画像認識――

藤浦建史・和田光生・西浦芳史・池田英男・ 林 挺希・馬場康裕・土肥 誠

キーワード: 収穫,自動化,農業ロボット,三次元画像,ミニトマト

 

 移動型栽培施設を対象としたミニトマト収穫ロボットの実験を行った。本報ではロボットの概要と画像認識について述べる。この施設では,養液栽培のベッドが2本の鉄棒により上部のレールからつり下げられ,モータの力で温室内を循環移動する。ミニトマトはこの鉄棒に誘引され,ベッドとともに移動する。ロボットは,6軸のマニピュレータ,エンドエフェクタ,三次元視覚センサ,パーソナルコンピュータ,簡易な車輪などで構成した。この三次元視覚センサは,近赤外と赤色レーザビームを走査して反射光をPSDで受ける。画像認識を行った結果,視野内にあった247個の赤熟果実のうち,209個が認識された。

移動型栽培施設のミニトマト収穫ロボット(第2報)
――収穫実験――

藤浦建史・和田光生・西浦芳史・池田英男・林 挺希・馬場康裕・土肥 誠

キーワード: 収穫,自動化,農業ロボット,三次元画像,ミニトマト

 

 移動型栽培施設を対象としたミニトマト収穫ロボットの実験を行った。本報では,収穫用エンドエフェクタ,エンドエフェクタの収穫経路を決定するための障害物認識,収穫実験について述べる。果実をがく付きで収穫するため,エンドエフェクタは,U字型金具と小果梗(しょうかこう,以下小果梗)押さえで小果梗を把持し,離層からもぎ取る構造とした。5種類の収穫経路をプログラムし,三次元視覚センサで障害物を認識して,障害物が少ない経路から収穫した。収穫実験の結果,収穫率は81%で,収穫された果実の98%はがく付きであった。

技術論文

メッシュ毎収量計測を利用した収量マッピング(第2報)
――作業効率および収量マップ評価――

建石邦夫・行本 修・佐々木豊・小林 恭・重田一人・齋藤秀文・黎  文・関 正裕

キーワード: 精密農業,収量マップ,作業効率,収量調査

 

 メッシュ毎収量計測に適した作業方法を提案し,作業効率の検討と収量マップ評価を行った。10×10mメッシュの調査には約6〜8分必要であり,コンバインの収穫作業時間と比較して約4倍必要である。同一調査点数の坪刈法による収量調査と比較して,圃場内の作業時間はほぼ同等であるが,収量算出に要する時間を含めると約半分になる。収量調査では坪刈法と比較して平均値に差異は認められないが,メッシュ値および変動は大きく異なるため,本手法は収量分布を評価する手法として有効であった。穀粒サンプラを利用した品質マップと収量マップを合わせて解析することで圃場の地力や土壌水分の影響等を考察できた。

種芋移植機を用いたツクネイモ定植作業の省力化技術(第1報)

片平光彦・上田賢悦・進藤勇人・阿部 浩・小林由喜也

キーワード: ツクネイモ,種芋移植機,負担面積,作業姿勢,省力化,収量

 

 ツクネイモ栽培では,種芋の定植を手作業で行うため,作業能率が低く栽培面積の拡大による収益の増加が困難な現状にある。本報では,種芋を定植する2条の開閉式ホルダ部,平高畝を作成するロータリ,種芋ホッパで構成したツクネイモ用種芋移植機を試作し,定植作業の省力化技術を検討した。  ツクネイモ用種芋移植機は,慣行作業と同等な畝の作成と種芋の定植を同時に行うため,作業能率が2.2h/10aとなり,慣行作業と比較して省力化率が60%であった。種芋は,株間40cm,深さ7cmで定植され,その92%が適正な向きであった。ツクネイモ用種芋移植機は,負担面積が8.8ha,損益分岐点面積が7.8haと算出され,負担面積の範囲内で作業可能である。移植機を用いた定植作業では,背部と下肢部の作業姿勢を改善するため,慣行と比較して作業姿勢の改善が不要と評価される割合が44%増加し,作業負担度を93%減少した。ツクネイモ用種芋移植機の利用は,慣行栽培と比較してツクネイモの成品収量を1.4倍,出荷規格品構成割合を1.2倍に増加した。また,移植機を使用した生産者は,栽培面積を1.2〜2.0倍まで増加する意向を示した。

テンサイ根径計測装置の開発研究

嶋津光辰・柴田洋一・片岡 崇・岡本博史・栗山敦任

キーワード: テンサイ,根径,非破壊,生育情報,変位センサ,収量予測

 

 これまで,テンサイ根部の非破壊連続計測手法を開発してきた。本報ではその装置化について述べる。本装置は,テンサイの株間に設置でき,外部電源なしに長期稼働する。土中における根部肥大の水平方向変位を鉛直方向に変換し地上まで伝達させる機構としたことで,設置に必要なスペースが小さくなり,生産現場での利用が容易となった。圃場試験の結果,誤差も小さく,実用性が確認された。本装置により,テンサイの生育情報が連続的に得られるようになったことで,収量・収穫適期の予測精度向上や,生育調査費用の軽減が期待できる。

自脱コンバイン用エンジン出力軸トルク測定装置の開発

冨田宗樹・川瀬芳順・高橋弘行・清水一史・千葉大基・原野道生・杉浦泰郎・積  栄

キーワード: 自脱コンバイン,エンジン,トルク,測定,収穫作業

 

 燃料消費量および排出ガス成分の評価に要するデータを取得するため,自脱コンバイン用エンジン出力軸トルク測定装置を開発した。本装置は,供試機に不可逆的な改造を施すことなく,動力損失を受けないトルク測定が可能である。本装置による静トルクの測定における誤差は6%未満であり,また,収穫作業中のトルクを測定したところ,既往の知見と整合する結果が得られた。これらから本装置は実用に供しうると判断できた。