72巻1号

研究論文

バンドパスフィルタによる分光と作業抵抗による土壌含水比推定

下保敏和・澁澤 栄・梅田大樹・平子進一

キーワード: 土壌センサ,土壌含水比,共相関,PLS解析

 

 土壌センサにバンドパスフィルタを用いた分光装置,ロードセルを用いた作業抵抗計測装置,レーザ変位計を用いた土壌面粗さ計測装置を装備し,PLS解析を用いて土壌含水比の予測を行なった。また各センサ出力の振幅スペクトルを求め,出力信号の特性を明らかにした。ひとつのほ場で日を変えて実験を行ないデータの収集をした結果,すべてのセンサ情報を用いた土壌含水比の予測誤差は2.0%w.b. であった。個々のセンサで予測するよりも0.5%w.b. の予測精度向上がみられた。炉乾燥法による土壌含水比計測に比べて,この装置による予測誤差は4.8倍であった。

ハイパースペクトルセンシングによるチャの収量と品質判定

柳 讚錫・村主勝彦・梅田幹雄

キーワード: ハイパースペクトルリモートセンシング,チャ,PLS回帰分析,収量,品質

 

 グランドベースハイパースペクトルリモートセンシングを用いて,一番茶期と二番茶期の地上部データをPLS回帰分析によって推定し,各モデルの回帰係数の比較と分析を行った。チャは成長とともに収量に関係する芽数,乾物重,百芽重と,窒素保有量が増加し,品質に関係する窒素濃度が減少した。地上部データのうち変動幅が大きい芽数,乾物重,百芽重,窒素保有量は,一番茶と二番茶を別々としたモデルの精度が良かった。地上部データのうち変動幅が狭い窒素濃度は,一番茶と二番茶のデータを合わせることによって,推定モデルの精度(R=0.759,RMSEP=0.270%)が良くなり窒素保有量への影響も大きくなった。

技術論文

低濃度多量散布の静電散布装置に関する研究
――キャベツに対する付着特性と害虫防除効果――

山根 俊・宮崎昌宏・大村和宏

キーワード: 静電散布,低濃度多量散布,キャベツ,被覆面積率,防除効果

 

 開発した低濃度多量散布のブームスプレーヤ形静電散布機を供試し,キャベツに対する噴霧液滴の付着特性と,害虫防除効果を明らかにした。室内実験の結果,キャベツの模擬作物体に貼付した感水紙に対する静電散布の付着特性は,微粒子の付着が増加し,噴霧量140L/10aにおける模擬作物体結球側面の感水紙被覆面積率は,無荷電散布の30.5%に対し,静電散布では50.4%に増加した。また静電散布では被覆面積率の変動係数が小さく,付着の均一性が向上した。露地キャベツ栽培圃場における実証試験の結果,散布量140L/10aの静電散布の害虫密度は,散布量200L/10aの慣行散布と差が認められず,静電散布が防除効果に与える影響は明らかでなかった。収穫物の収量・品質は同等であった。

農用トラクタの運転条件が燃料消費量に及ぼす影響(第3報)
――代かき試験及び弾丸暗きょ施工試験――

手島 司・後藤隆志

キーワード: トラクタ,機関回転速度,走行速度段,PTO速度段,燃料消費量,代かき,代かきロータリ,弾丸暗きょ,振動サブソイラ

 

 代かき及び弾丸暗きょ施工作業において,トラクタの運転条件(走行速度段,PTO速度段,機関回転速度)が燃料消費量に及ぼす影響を調査した。代かき作業ではつめの作業ピッチを,弾丸暗きょ施工作業では振動サブソイラの振動数を一定にして試験した結果,両作業とも,走行速度段とPTO速度段を高め,機関回転速度を下げて運転することにより,燃料消費量を節減できた。走行速度一定の条件で比較すると,調速レバー全開時に比べたそれらの運転条件での節減割合は,最大PTO出力の約20%のPTO動力で作業した代かき作業(作業速度約0.5m/s)では25〜40%程度,約15〜20%の動力で作業した弾丸暗きょ施工作業(作業速度約0.5m/s)では30〜40%程度であった。

農用トラクタの運転条件が燃料消費量に及ぼす影響(第4報)
――施肥試験,中耕試験及び路上走行試験――

後藤隆志・手島 司

キーワード: トラクタ,機関回転速度,走行速度段,PTO速度段,燃料消費量,施肥,ブロードキャスタ,中耕,ロータリ式中耕機,路上走行

 

 施肥作業,中耕作業及び路上走行において,トラクタの運転条件(走行速度段,PTO速度段,機関回転速度)が燃料消費量に及ぼす影響を調査した結果,施肥,中耕,路上走行ともに,走行速度段とPTO速度段(路上走行を除く)を高め,機関回転速度を下げて運転することにより,燃料消費量を節減できた。走行速度一定の条件で比較すると,調速レバー全開時に比べたそれらの運転条件での節減割合は,最大PTO出力の約20%の動力で作業した施肥作業(作業速度約1.6m/s)では30〜45%程度,約15%の動力で作業した中耕作業(作業速度約0.5m/s)では40〜50%程度,10km/hの路上走行では30〜50%程度,15km/hの路上走行では20〜35%程度であった。

イチゴの包装装置の開発(第1報)
――果柄把持トレイを対象とした選別・トレイ詰め試験装置――

紺屋朋子・大森定夫

キーワード: イチゴ,果柄把持,トレイ詰め,選別,品質

 

 イチゴの選別や包装作業を省力化する装置の開発に資することを目的として,果柄を把持して固定する包装形態である果柄把持トレイを対象とした,選別・トレイ詰め試験装置を試作した。試作した装置は,イチゴの果柄を把持して取り扱い,小型CCDカメラにより3階級の選別を行う。その後,対象の階級の果柄把持トレイに順番に詰める。装置の選別精度は,適正に判定した割合が約91%,±1gの誤差を生じた割合が約4%であり,トレイ詰め成功率は約95%であった。なお,1果を詰めるのに要する時間は,中央に配置したトレイの中央の配置部に詰める場合で約4.5sであった。

機械除草と除草剤の部分散布を組み合わせたハイブリッド除草機

西脇健太郎・大谷隆二・中山壮一・天羽弘一・澁谷幸憲

キーワード: 水田,機械除草,減農薬,ハイブリッド除草,条間,株間

 

 水稲作での除草剤使用量を削減する新しい除草機を開発した。除草機は,乗用田植機を台車として使い,条間部分の雑草を除草刃とかご形ロータで,条部分の雑草をロータリホーと除草剤によって防除する。40a圃場において,速度0.6m/sで作業を行ったところ,圃場作業量は0.2ha/h,圃場作業効率は50%,燃料消費量は6.1L/ha,除草剤散布量は全面散布(慣行)の38%であった。深水管理した圃場で,移植後3週目と6週目に作業を行ったところ,田面に発生したすべての雑草種を,無除草区対比10%以内に抑えることができた。本除草機は,慣行の除草剤全面施用を代替可能な除草能力を有する。

速  報

ひび割れ米混入が炊飯米評価に与える影響

小出章二

キーワード: 飯米,精白米,ひび割れ米,テクスチュロメーター,食味試験