71巻6号

研究論文

農業トラクタの動的解析のためのタイヤ特性の測定(第1報)
――静的試験による駆動タイヤの剛性及び減衰の決定――

ナン ヌエン ヴァン・松尾隆明・甲本達也・稲葉繁樹

キーワード: 農業トラクタ,タイヤ,タイヤ剛性,タイヤ減衰,静的試験

 

 非回転の8.3R/24ラジアル駆動タイヤの特性を3段階の空気圧と5段階の垂直荷重とを組み合わせて測定した。縦横方向の剛性及び減衰はケーブルで吊ったプレートをタイヤの外周方向に加圧して得られる圧力〜変位関係より実験的に決定した。得られた結果から,進行方向のバネ定数は垂直荷重が増加するにつれて増加したがタイヤ圧が増加するにつれて減少した。一方左右方向バネ定数はタイヤの垂直圧力には変化はなくタイヤ圧の増加に対して大きく増加した。粘性減衰係数については垂直荷重やタイヤ圧の増加に対して進行方向と左右方向共に一定の傾向は観察されなかった。

農業トラクタの動的解析のためのタイヤ特性の測定(第2報)
――動的試験による駆動タイヤの剛性及び減衰の決定――

ナン ヌエン ヴァン・松尾隆明・甲本達也・稲葉繁樹

キーワード: 農業トラクタ,タイヤ,タイヤ剛性,タイヤ減衰,動的試験

 

 前回(第1報)に続いて,今回(第2報)も非回転の8.3R/24ラジアル駆動タイヤの特性を決定するための動的試験を実施した。縦横方向の剛性及び減衰はケーブルで吊ったプレートをタイヤの外周方向に加圧して振動を加えて実験的に決定した。得られた結果によれば,タイヤの動的バネ常数は静的試験により得られたものと傾向的に似たものであったが,縦方向では4〜20%大きめであり,横方向では1〜18%高めであった。また,動的減衰係数は静的な場合より極端に大きめであった。

下側接近を特徴とする定置型イチゴ収穫ロボットの開発(第1報)
――エンドエフェクタの開発――

山本聡史・林 茂彦・吉田啓孝・小林 研

キーワード: イチゴ,移動栽培,収穫,ロボット,エンドエフェクタ

 

 本研究では,移動栽培されたイチゴ果実に対して下側から接近して収穫する定置型ロボットの開発を目指す。基礎調査として,下側から見た着果状態を調査した。さらに,作業者と同様に離層で果実と果柄を分離させる採果方法を検討するため,果実に対する果柄の傾斜角と分離に必要な最大引張荷重との関係を調査した。これらの調査結果に基づき,アクチュエータ,吸着管,フィンガ,ノズル等から成り,接近時の対象果実の位置変化抑制機能,採果時の他果実に対する誤採果防止機能及び果柄除去機能を備え,果実の下側から接近するエンドエフェクタを設計・開発した。果実位置を予め教示した採果基礎実験の結果,下側に障害物がない着果状態で採果成功率は90%以上であった。一方,誤採果率は隣接果実が通路側にある着果状態で25.0%であり,下側に未熟果等の障害物がある着果状態で採果成功率が低下し,損傷率及び誤採果率が高くなることがわかった。

耕うん時のロータリ耕うんづめの変形(第1報)
――ソフトウェアによる応力・変形解析――

佐藤彩佳・片岡 崇・岡本博史

キーワード: ロータリ耕うん,耕うんづめ,応力・変形解析,設計,3D-CAD,土の動力学,シミュレーション

 

 ロータリ耕うんにおいて,土の投てき性はその性能を評価するため極めて重要であり,耕うんづめの形状と密接な関係にある。土の投てき性を理論的に把握できれば,耕うんづめの設計に非常に有効となる。耕うん時,土からの反力で耕うんづめは変形すると考えられるので,この変形を考慮した土の投てき性の評価が必要である。耕うん時の耕うんづめの変形現象を直接観察することは難しいため,耕うん時に耕うんづめに作用する力を応力・変形解析ソフトウェアによるシミュレーションで検討した。解析結果より,耕うんづめの変形は力の向きによって異なり,耕うんづめのすくい面に垂直な方向から力が作用した場合,耕うんづめ先端で最大約2.9mm変位することが示された。

耕うん時のロータリ耕うんづめの変形(第2報)
――耕うんづめに作用する力――

佐藤彩佳・片岡 崇・岡本博史

キーワード: ロータリ耕うん,耕うんづめ,応力・変形解析,ひずみゲージ,設計,3D-CAD,土の動力学,シミュレーション

 

 前報までに,耕うんづめに力が作用した時の変形現象についてコンピュータソフトウェアにより解析してきた。本報では,耕うん時の耕うんづめの曲げひずみを直接ひずみゲージで測定した。そして,耕うん時に支配的となる力の作用方向と作用位置を特定した。その結果,耕うんづめの変形にはすくい面に垂直に作用する力(側方力)の影響が大きく,含水比が高くなるにつれ土の切削力の影響が大きくなった。耕うん軸回転角度あるいは含水比ごとに耕うんづめを変形させる力を予め考慮することで,ソフトウェア解析から耕うんづめの変形挙動を予測することができる。

イチゴ果実硬度の非破壊測定に関する基礎的研究(第2報)
――果実表面吸光度スペクトルを用いた果実硬度推定モデルの開発――

柏嵜 勝・永末 健・五月女英平・中島教博・大森定夫

キーワード: イチゴ,果実硬度,細胞壁構成物質,ペクチン類,非破壊計測,吸光度スペクトル,重回帰モデル

 

 イチゴ表面の紫外-可視-近赤外域の吸光度の2次微分スペクトルからイチゴ果実硬度を推定する重回帰モデルを作成した。先ず,統計的手法で波長を選択し,波長320,512,712,1872nmを得た。また,ペクチンの吸光度スペクトルには紫外域290〜330nm付近に特徴的な吸収ピークが存在した。次に,これらの波長の近傍で果実硬度との相関が高く,化学的帰属を考慮した波長292,520,684,1872nmを選択してモデルを作成し,R=0.906,SEC=0.477N,SEP=0.486N,Bias=−0.0006Nであった。この果実硬度推定モデルは,果実の着色状態のほか,デンプンやペクチンなど細胞壁構成物質に関連する波長に基づいたものである。

技術論文

近赤外分光法によるエダマメの品質測定(第1報)
――剥きマメによる食味関連成分の測定――

須江芳恵・夏賀元康・江頭宏昌・池田剛士・千田智哉・堀之内名那子・赤澤經也

キーワード: 近赤外分光法,エダマメ,ダダチャマメ,品質,スクロース,呈色性窒素化合物(NRQ)

 

 山形県鶴岡市周辺の特産品であるダダチャマメは,普通のエダマメに比べて,食味に最も関与するといわれるスクロース含量と呈色性窒素化合物(ニンヒドリン反応量で定義され,全遊離アミノ酸量と高い正の相関がある・以下,NRQ(ninhydrine reaction quantity)と略称)が多いことが知られている。本研究では市販近赤外分析計Infratec1241によりこれら2成分がどの程度の精度で測定できるか,まず莢を取り除いた剥きマメを用いて,精度の検討を行った。その結果,常温試料で作成したキャリブレーションでは,NRQがR2=0.79,SECV=0.16%,スクロースが R2=0.65,SECV=0.46%の精度が得られた。また,4℃の冷却試料を加えて作成したキャリブレーションの精度はNRQがR2=0.80,SECV=0.16%,スクロースがR2=0.68,SECV=0.44%であり,これらは実用的な精度であると判断した。

イチゴ促成栽培における収穫ロボットの周年利用に関する研究

重松健太・林 茂彦・山本聡史・小林 研・河野 靖・鎌田順三・栗田充隆

キーワード: イチゴ,収穫ロボット,促成栽培,周年利用,高設栽培

 

 本研究は,高設栽培用イチゴ収穫ロボットの周年利用における技術課題及び改善点を把握することを目的として,これまで開発した収穫ロボットを供して促成栽培の作型において通年の収穫試験を行った。その結果,収穫ロボットの周年の採果成功率は41.3%であり,収穫時期及び果序が進むにつれて採果成功率が向上する傾向がみられた。また,収穫時期別の採果成功率は,収穫開始直後の12月末や果房の入れ替わり時期には10〜30%,2月以降の果房の入れ替わり時期以外には30〜50%,果房の入れ替わりの直前の時期には50%以上であった。採果成功率の向上には,採果難易度の低い果実を確実に採果することが重要であり,画像処理により採果難易度を推定するアルゴリズムの開発の必要性が認められた。

ダイズの吸水障害回避に関する研究(第1報)
――吸水障害の発生条件の検討――

国立卓生・堀金明美・吉田 充・島田信二

キーワード: ダイズ,吸水障害,種子内水分,調湿種子

 

 ダイズ播種時の出芽不良の大きな要因である吸水障害は,急激な吸水による子葉とその維管束の断裂に起因することがMRIでの観察で示された。この吸水障害は可塑性に乏しい過度に乾燥した種子ほど顕著であり,その回避には種子全体の水分を15%w.b.前後に保つだけでなく,種子表面と内部の水分差を2%w.b.以内とすることが不可欠であった。そのためには,調湿方法に依らず,種子全体を15%w.b.前後に調湿した後,さらに種子水分均一化のために調湿処置期間を含めて計3〜4日経る必要があった。また通常の梅雨期の土壌水分に乾燥種子を播種すると吸水障害が多発したので,調湿種子の利用が吸水障害の回避に有効と考えられる。

ダイズの吸水障害回避に関する研究(第2報)
――循環式乾燥機を利用したダイズ調湿種子製造技術の開発――

国立卓生・池田 智・藤原逸平・島田信二

キーワード: ダイズ,吸水障害,循環式乾燥機,調湿種子,出芽安定

 

 ダイズの吸水障害回避に有効な調湿種子を大量,且つ効率的に製造する方法として,米麦用の循環式乾燥機と湿潤空気が循環できる加湿機構を組み合わせたダイズ調湿種子製造装置(調湿装置)を開発した。また被害粒の発生による出芽への悪影響を減らすため,バケットエレベータと下部スクリュの回転数を,各々,米麦乾燥標準使用時の5割と7割に落とし,下部スクリュをコーティング処理した。その結果,水分吸収速度0.3%/hの時,種子水分15.2%w.b.に調湿でき,その時の標準偏差は0.2%程度であった。また調湿処理における被害粒の発生は出芽へ悪影響の少ない2%以内に抑えることができた。

速  報

飼料用米破砕装置の開発

重田一人・青木仁弥・平林 哲・松尾守展・喜田環樹

キーワード: 飼料用米,籾殻剥離・籾破砕,消化性,未消化子実排泄率