71巻5号

研究論文

稲わら由来バイオエタノール生産におけるエタノール変換効率の違いがコスト,CO2排出およびエネルギ収支に及ぼす影響

折笠貴寛・徳安 健・井上貴至・小島浩司・ロイ ポリトッシュ・中村宣貴・椎名武夫

キーワード: バイオエタノール,稲わら,バイオエタノール変換効率,CO2排出,エネルギ収支

 

 本研究では,濃硫酸加水分解法による稲わらからのバイオエタノール生産プロセスにおけるコスト,CO2排出量およびエネルギ収支について調査し,エネルギ資源としての利用可能性について検討した。その結果,バイオエタノール変換効率は,コスト,CO2排出量およびエネルギ投入量に大きな影響を及ぼすことがわかった。また,リグニンをボイラで燃焼させ,エネルギを熱回収するシステムを取り入れることがCO2削減効果およびエネルギ収支を向上させるために必要不可欠であることが示された。今後,バイオエタノール生産におけるトータルコストを低減させるためには,高効率なバイオエタノール変換技術の開発だけでなく,バイオマスの高効率収集システムの開発が必要であることが示唆された。

有限要素法によるタイヤと土の相互作用の解析(第2報)
――タイヤ接地面の形状変形――

広間達夫・砂金 優

キーワード: 有限要素法,タイヤ,異方弾性車輪モデル,接地面形状,曲率半径

 

 静荷重時及び走行時のタイヤ接地面の変形形状を調べるために,タイヤの異方弾性車輪モデルを用いて有限要素解析を行うと共に,静荷重実験及び走行試験を行った。走行時のタイヤ形状はリムに取り付けたレーザ変位計によって測定した。その結果,静荷重時は接地面が車輪中心鉛直軸に対称な円弧状になるが,走行時には静荷重時より曲率半径が長くなるが,タイヤ空気圧や進行低下率の影響をあまり受けずほぼ一定値を示した。走行時の有限要素解析結果は実験結果と良く一致し,異方弾性車輪モデルは走行時のタイヤ接地面の変形形状の解析に有効であることが示された。

衛星測位システムと地理情報システムを用いた牧草地の空間情報化と利用(第1報)
――周波数解析による基盤整備法――

速水敦郎・美 太煥・海津 裕・野口 伸

キーワード: 草地整備,RTK-GPS,GIS,DEM(ディジタル標高モデル),2次元離散フーリエ変換,フィルタリング

 

 本報の目的は牧草地の基盤整備設計を支援するシステムを開発することである。熟練技術者による起伏修正の設計法を数理工学的手法に基づいて解析し,空間フィルタによる新しい設計法を考案した。工事による地形変化は,トラクタにRTK-GPSと慣性航法装置(IMU)を搭載して取得し,周波数解析により空間周波数の変化としてとらえた。その結果,工事によって大きく起伏が緩和された周波数は0.04[m-1],波長25mであることがわかった。そこで周波数0.04[m-1]を中心に減衰させる帯域遮断フィルタを作成し,工事前の地形に適用したところ,工事後の地形に近いなだらかな地表面が得られた。また,切盛深さを比較しても高い相関性が得られ,空間周波数分析による方法が工事計画に適用できる可能性が示された。

技術論文

農用トラクタの運転条件が燃料消費量に及ぼす影響(第1報)
――室内試験――

後藤隆志・手島 司・杉浦泰郎・高橋弘行・清水一史・積 栄

キーワード: トラクタ,機関回転速度,PTO動力,燃料消費量,動力計,負荷

 

 農用トラクタの運転条件(走行速度段,PTO速度段,機関回転速度)が燃料消費量に及ぼす影響を調査した。本報では,動力計でPTO軸に負荷をかけて行った室内試験の結果を報告する。動力及び機関回転速度が高くなるほど燃料消費量は増加した。動力が低い時ほど機関回転速度の増加に伴う燃料消費量の増加割合が大きくなる傾向があり,無負荷時には,機関回転速度が最大の時の毎時燃料消費量は同回転速度が最小の3.7倍となった。動力当たり毎時燃料消費量は300〜1,200mL/kW・hとなり,各機関回転速度における最大動力の約70%以上の負荷時に最も低い値となった。動力当たり正味毎時燃料消費量(負荷時の燃料消費量から無負荷時の燃料消費量を引いた値)は210〜260mL/kW・hとなり,運転条件による差は少なかった。

農用トラクタの運転条件が燃料消費量に及ぼす影響(第2報)
――ロータリ耕試験――

後藤隆志・手島 司

キーワード: トラクタ,機関回転速度,走行速度段,PTO速度段,燃料消費量,ロータリ耕,耕うんロータリ

 

 ロータリ耕において,トラクタの運転条件(走行速度段,PTO速度段,機関回転速度)が燃料消費量に及ぼす影響を調査した。耕うんピッチを一定にし,運転条件を3〜4段階に変えて試験した結果,走行速度段とPTO速度段を高め,機関回転速度を下げて運転することにより,燃料消費量を節減できた。作業速度一定の条件で比較すると,調速レバー全開時に比べたそれらの運転条件での節減割合は,最大PTO出力の約55%のPTO動力で作業した場合(作業速度約0.5m/s)には15〜30%程度,約30%のPTO動力で作業した場合(作業速度約0.2m/s)には30〜40%程度であった。

異なる副資材を用いた乳牛ふん堆肥化早期のアンモニア揮散

前田武己・小藤田久義・立石貴浩・築城幹典

キーワード: 堆肥化,副資材,アンモニア揮散,微生物増殖,成分溶出,C/N比

 

 副資材として籾殻,おが粉,廃紙を,乳牛ふんにそれぞれ乾燥質量比で全体の15%と30%となるように混合し,堆肥化時のアンモニア揮散を検討した。容積1Lの密閉反応槽により,副資材混合時も乳牛ふんのみの場合と同様に材料温度が変化するように制御して堆肥化を行った。乳牛ふんへの副資材混合は揮散アンモニアの質量を減少させたが,乳牛ふん由来の全窒素を基準とする相対揮散では,おが粉と廃紙を混合したときには乳牛ふんのみの堆肥化と変わらず,逆に籾殻混合では乳牛ふんのみのときよりも大きくなった。以上の結果から,本実験で設定した副資材混合率では,副資材混合により乳牛ふん堆肥化時のアンモニア揮散を抑制できないとみられる。

ナタネを原料としたバイオディーゼル燃料の小型ディーゼル機関への適用

西野邦彦・宮田雄介・澁谷幸憲・野口 伸

キーワード: バイオマス,バイオディーゼル燃料,燃料性状,機関性能,排気ガス性状

 

 近年,地球温暖化対策としてバイオマスの利用が注目されている。なかでも,ナタネ油等の植物油や廃食用油を原料として製造したバイオディーゼル燃料(biodiesel fuel, BDF)は軽油代替燃料として欧米や国内の一部で既に実用化されている。本研究では,国内で生産されたナタネを原料としてBDFを製造し,燃料性状と機関性能,排出ガス特性について明らかにした。その結果,BDFの燃料性状は軽油と異なるものの,出力性能は十分に発揮でき,高負荷域で正味熱効率が向上することが明らかになった。ISO計測標準8178-4に則して排気ガス特性を検討した結果,BDF運転時はCO2,NOx排出量の増加,CO排出量の減少が認められた。