71巻3号

研究論文

高温乾式メタン共発酵による生分解性プラスチックの分解特性

肖 冬生・松田從三・劉 宝鋼・近江谷和彦

キーワード: 生分解性プラスチック,有機物分解率,乾式メタン発酵,家庭系ごみ

 

 家庭系ごみと生分解性プラスチック(PLA製)の分解特性を解明することを目的とし,高温乾式メタン共発酵法により試験を行った。バッチ実験では生分解性プラスチックの完全な分解のために7〜8週間が必要とされた。この実験によって,ゴミ袋,青果袋とコップとして使われるPLAの分解率は,それぞれ,およそ37%,80%と52%であった。4発酵槽(R1,R2,R3とR4)での連続実験は,C/N比とPLAの投入量を変えて行った。負荷6.6gVS/kg-sludge・dayではR2とR3の平均PLA分解率は,それぞれ,49%と33%であった。

近赤外分光法による搾乳時乳質の連続測定(第2報)
――搾乳時の乳質の測定精度――

川崎正隆・川村周三・中辻浩喜・夏賀元康

キーワード: 乳脂肪,乳タンパク質,乳糖,オンラインリアルタイム測定,搾乳1回分乳成分

 

 第1報にて,試作した乳質測定装置を用いて静置した状態で生乳の乳成分を高い精度で測定できることがわかった。本報では実際の搾乳時に本装置を用いて,乳質(乳成分 : 乳脂肪,乳タンパク質,乳糖)の測定を行った。その結果,乳脂肪の測定精度は決定係数r2=0.94,標準誤差SEP=0.55%,乳タンパク質の測定精度はr2=0.80,SEP=0.13%,乳糖の測定精度はr2=0.83,SEP=0.09%と,いずれも良好であった。さらに,試作した装置により搾乳時の乳成分をリアルタイムに測定することができた。また,乳質測定装置で測定した乳成分と搾乳時の乳量から搾乳1回分の乳成分を算出したところ,実測値と良く一致した。

NIRとGISを用いたサトウキビの高品質化支援情報システムの開発(第3報)
――GISによる品質情報およびカリウム含量のマッピングとその利用――

平良英三・上野正実・孫 麗亜・川満芳信・小宮康明

キーワード: サトウキビ,GIS, NIR, カリウム含量,高品質化,施肥管理,支援情報システム

 

 高品質なサトウキビ栽培を支援するため,品質取引制度およびNIR分析計で収集した情報をGISとリンクさせ,ほ場一筆の具体的な管理手法を模索した。2000/01,2001/02年期の南大東島全ほ場の各種データについてマッピングを行った。この結果,単位収量,糖度およびカリウム含量などの分布を空間的に把握することが可能となった。また,各製糖期でデータの標準化を施すことによって,収穫期とりわけ気象要因による影響を軽減し,各ほ場の成績を評価することができた。さらに,カリウム含量が増加傾向にあるほ場を視覚的に把握することも可能となり,本システムが具体的な施肥支援のツールとして活用できると判断した。

低水分米の調製が炊飯後のテクスチャーと食味に及ぼす影響

源川拓磨・内野敏剛・田中史彦・濱中大介・冨澤秀生

キーワード: 炊飯米,炊飯崩壊粒,低水分米,テクスチャー,食味

 

 水分の低下に伴って生じる食味低下の原因を明らかにするために,炊飯崩壊粒がテクスチャーと食味に及ぼす影響を検討した。10.3%w.b.の米を炊飯した後,得られた炊飯米を正常粒と3種類の炊飯崩壊粒,すなわち,横割れ粒,縦割れ粒,扁平粒に,形状に基づいて分類した。縦割れ粒と横割れ粒の硬さと粘りは正常粒の半分の値であった。さらに,10.3%w.b.の米を炊飯した場合,これらの割れを生じた粒の割合は全体数の50%以上を占めた。これらの結果から,横割れ粒と縦割れ粒がテクスチャーの低下を招き,さらに,テクスチャーの低下が食味の低下を引き起こしていることが明らかとなった。

技術論文

耕うんロボットの適応性と信頼性の向上(第3報)
――耕うんロボットによる各種無人作業の実行――

松尾陽介・行本 修・山本聡史・野口 伸・原 令幸

キーワード: 無人作業,慣行作業,作業能率,ロータリ耕,播種,代かき,耕うんロボット

 

 実用レベルの無人ロータリ耕を行うことができる耕うんロボットについて,第1にその有効な利用方法として,1人のオペレータがロボットに無人作業を行わせながら従来型トラクタの有人運転作業を行う方法を提案した。第2にロータリ耕以外の作業への適用として,ロータリ耕用の作業ソフトをベースに播種作業と代かきを行う作業ソフトを作成した。第1の利用方法を適用したほ場試験の結果,ロボット作業はトラブルなく行われ,オペレータ1人で有人運転作業の約1.8倍の能率で作業を行うことができた。第2の他作業の適用では,麦の播種作業を省力的にかつ高精度で行うことができ,代かきを慣行の有人運転作業と比べ効率的に行うことができた。

シリーズ型ハイブリッド・履帯式農用運搬車の開発
――走行距離,エネルギ消費,駆動効率について――

ジョエル マツサレム アルカラス・山下 淳・佐藤員暢

キーワード: シリーズ型ハイブリッド・履帯式農用運搬車(HECFT),ガソリンエンジン(ICE),走行距離,エネルギ消費,熱効率,駆動効率,安定性

 

 農用運搬車におけるエネルギ効率の改善,排気ガスの減少,さらに農作業現場での移動電源車としての利用のため,シリーズ型ハイブリッド・履帯式農用運搬車(HECFT)を開発し,その性能について調査した。試作車には,充電用4.4kWのガソリンエンジン(ICE)と走行用2.5kWのDCモータが搭載されている。試作車の安定傾斜角は61°であった。積載量0〜200kg,走行速度1〜2km/hのときの1回の充電で走行可能な距離は,2.4〜3.8kmであった。改良前におけるICE搭載運搬車の駆動効率は24.4%,試作車は43.7%であった。すなわち,試作車の駆動効率はICEの場合に比べて約1.8倍良好であることが分かった。

サトウキビ株出し栽培における欠株状況と補植機の開発

玉城 麿・鹿内健志・赤地 徹・安谷屋賛

キーワード: サトウキビ,株出し栽培,収穫作業,欠株率,補植,補植機,土壌硬度

 

 沖縄のサトウキビ株出し圃場の欠株率は25%以上になる場合もあり,減収を抑制するためには補植が必要であることが示された。機械収穫作業時の株の損傷には茎の倒伏方向が大きく影響する。特に向刈りを実施した場合の損傷率は萌芽数の35%以上,追刈り時の2倍以上になることが示された。補植作業は一般的に人力で行われているが,本研究では省力化を目的に小型トラクタ搭載型の補植機を開発した。本機はジャーガル,島尻マージ土壌の株出し栽培圃場で利用可能であり,作業能率は人力作業に比べて14%向上することが示された。

速  報

透過画像によるエダマメ欠粒莢の評価方法

張 樹槐・片平光彦・大泉隆弘・後藤恒義

キーワード: エダマメ,子実充実度,欠粒莢の評価,透過画像,画像処理