70巻1号

研究論文

バイオエネルギー資源としてのテンサイの省エネルギー生産に関する研究

張 春峰・柴田洋一・岸本 正・梅津一孝・西崎邦夫・嶋津光辰・荒木宏通

キーワード:テンサイ,バイオエネルギー,エネルギー収支,LCA

 

 環境調和型エネルギー資源の供給体制の確立を図るため,テンサイをバイオエネルギー原料として生産する技術を検討した。その結果,砕土性に優れる北海道十勝の淡色黒ボク土においては,不耕起と直播を組合わせた省エネルギー生産が可能であることが明らかになった。インベントリ分析の結果,不耕起直播方式のエネルギー収益は間接投入も含め2カ年平均で10.5GJ/10aと慣行の耕起移植方式11.1GJ/10aよりやや劣るが,産出・投入比は3.58と耕起移植方式2.96を上回り高効率である。また,不耕起直播方式のCO2排出量は慣行方式の71%であり,環境負荷が少ない。

地理情報システムを利用した小麦穂水分の推定に関する研究

横堀 潤・丹羽勝久・野口 伸

キーワード:小麦,成熟,地理情報システム,GIS,標高,有機物含量

 

 本研究の目的は,衛星画像が撮影されない場合の小麦穂水分地図の作成手法を確立することである。そのため,地理情報システム(GIS)にデータベースとして整理可能な播種月日・標高・土壌の母材・有機物含量に着目し,それらの項目から小麦成熟早晩を相対的に示す小麦穂水分推定モデルを作成し,小麦穂水分地図の作成を試みた。  その結果,標高・有機物含量から,年次に関係なく,小麦穂水分推定モデルの作成が可能となった(R2=0.58〜0.72)。このことから,作成したモデルと標高,有機物含量図から小麦穂水分地図を作成した。作成した地図は小麦穂水分を±1.05%(成熟日 : ±1日以内)で予測しており,刈り遅れによる品質低下を防ぐことが可能と考えられた。

粒子間・粒子‐気流間の相互作用を考慮した風選別メカニズムの解析(第1報)
――籾・藁の分散特性――

古野裕子・松井正実・井上英二・森  健・岡安崇史・深田龍介

キーワード:風選別,風選別精度,籾群,藁群,画像処理,飛散範囲,投影面積

 

 風選別性能の向上のためには,穀粒や夾雑物の空気力学特性を解明することが重要である。本研究では,水稲を対象とし,実験用唐箕を用いて,選別風を受ける籾や藁の分散特性について考察する。  飛散する籾群や藁群を撮影し,開発した画像処理システムを用いて飛散範囲について調べた。さらに,風選別実験を実施し,最適選別精度を満たしたときの各回収口で回収した籾や藁の質量形状分布について考察した。  その結果,境界軌跡領域の粒子座標を求め,最適選別風速を予測することができた。また,風選別への影響は,質量よりも投影面積が大きいことがわかった。

飼料イネ用ロールベーラのためのロールベール運搬装置

元林浩太・湯川智行・小島 誠

キーワード:稲発酵粗飼料,収穫,飼料イネ用ロールベーラ,運搬装置,作業能率

 

 飼料イネ用ロールベーラを基軸とする収穫・調製作業の能率を向上するために,ロールベール運搬装置を開発した。本装置は,飼料イネ用ロールベーラの後部に装着し,刈り取り・梱包作業時でもロールベール1個を運搬することができる。本装置は,特別の動力を要することなく半自動の荷降ろしが可能な簡易な構造を有しており,広く応用が可能である。作業時間シミュレーション及び実圃場での作業時間解析の結果,収穫・梱包・密封までの作業全体の能率は最大35%向上することが示された。

技術論文

自動走行田植機の開発(第2報)
――ロングマット水耕苗を利用した作業――

長坂善禎・齋藤秀文・北川 寿・小林 恭・関 正裕・玉城勝彦・谷脇 憲・宮崎昌宏・建石邦夫

キーワード:田植機,自動作業,ロングマット水耕苗,GPS,コントローラ・エリア・ネットワーク

 

 市販の6条植田植機をベースに,コントローラ・エリア・ネットワークを経由してステアリング,変速機,作業機をコンピュータで自動制御できるように改造した自動走行田植機を開発した。田植機の位置計測にはネットワーク型RTKGPSを,車両の姿勢計測には慣性計測装置を用いた。圃場の四隅の位置座標から目標作業経路を計算し,直進作業および旋回するプログラムを開発し,ロングマット水耕苗を搭載して代かき水田で9往復の移植作業を行った。目標経路に対する横方向の偏差はRMSで0.052mで作業を行うことができた。

大豆収穫における頭部損失低減に関する研究(第4報)
――切断部の試作と頭部損失低減効果の実証――

梅田直円・井上英二・金谷 豊・長坂善禎・国立卓生

キーワード:普通コンバイン,頭部損失,大豆,切断部,刈刃,受刃

 

 切断による茎稈の飛び出し要因と頭部損失との関係を明らかにし,切断部設計寸法および作業条件の最適化を図った。また,試作切断部の頭部損失低減効果を大豆品種,作業条件が異なる農家圃場において実証的に評価した。受刃ピッチ,切断速度比,作業速度を変化させ頭部損失を測定した結果,裂莢損失および落莢損失は非切断面積割合,切断移動角,傾斜角速度と相関が高いことが明らかとなった。切断移動角と傾斜角速度から算出した重心速度より茎稈の飛び出しを低減する条件を求めた結果,受刃ピッチ50mm, 刈刃刃先角20°,切断速度比1.03で頭部損失低減効果が高いことが示唆された。この切断部を狭ピッチ切断部と仮称し頭部損失を標準切断部と比較した結果,狭ピッチ切断部の頭部損失は標準切断部よりも低くく,大豆主茎長が低い条件では標準の約半分に低減された。

資  料

収穫作業を通じた小麦の収量と品質の圃場内変動の調査

帖佐 直・大嶺政朗・渡辺政一郎・荒木 幹・永田淳夫・澁澤 栄

キーワード:品質マップ,収量マップ,モニタリング,自脱コンバイン,GPS,精密農業