69巻4号

技術論文

牛ふんのコンポスト化における有機物分解に及ぼす通気と切り返しの影響

ジョコ ヌグロホ ワヒユ カルヤデイ・原野道生・清水直人・瀧川具弘・木村俊範

キーワード:通気,牛ふんコンポスト化,充填床反応層,切り返しパターン

 

 容量18.8Lの反応槽を使用して,牛ふんのコンポスト化を3つの通気量(0.05,0.15,0.50L/min.kgdm)と3つの切り返し(層の位置の入れ替えによる切り返し,全体の切り返し,切り返しなし)の条件で行った。最高温度は通気量0.05L/min.kgdmで64.3℃,0.15L/min.kgdmで73.2℃,そして0.50L/min.kgdmで70.8℃であった。通気量0.50L/min.kgdmで,効果的にコンポスト化初期過程における分解が促進された。切り返しをしない場合に比べ,切返しをする場合は有機物の分解が促進されることが明らかになった。通気量0.50L/min.kgdmによる15日後の分解率は,切り返しなしの場合で24.7%,全体の切り返しをした場合で30.1%,そして層の位置を入れ替えた切返しでは29.3%であった。通気量の増加によってコンポスト化材料の総重量減は増加した。

収量モニタリング機能付きコンバインの開発(第1報)
――システムの基本設計および質量と水分の連続測定――

牧野英二・杉山隆夫・市川友彦・浜田健二・川中道夫

キーワード:コンバイン,収量モニタリング機能,収量,水分,マップ,精密農業

 

 収量,水分などの収穫情報を収穫作業と同時工程で測定・表示・記録し,収穫後に収量マップの作成が可能なコンバインを開発した。開発機は,質量測定部,水分測定部,位置情報測定部,制御・表示部を有する自脱コンバインである。質量測定部は,ロードセルと傾斜センサを利用して穀粒タンク内の穀粒質量を測定する方式とし,水分測定部は,電気抵抗式(複粒式)とした。試作したコンバインは,質量および水分ともにリアルタイムの連続測定および表示が可能であった。

自走式細断型ロールベーラの開発とシリンダ型 カッタヘッドの改良に関する研究

高橋仁康・志藤博克・澁谷幸憲・山名伸樹

キーワード:牧草,フォレージハーベスタ,シリンダ型カッタヘッド,細断,消費動力

 

 筆者らは,生産調整水田等への飼料基盤拡大と生産コスト低減を目的に,1台でトウモロコシや牧草,飼料稲を収穫・細断・ロール成形できる自走式収穫機を開発している。これら飼料作物のうち,予乾牧草は切断抵抗が大きく,水分・草量が不均一であり収穫時に草詰まりが発生し易く,他の作物に比べ作業能率が低下する。そのため,収穫部のシリンダ型カッタヘッドを改良し,切断抵抗と送風能力の抑制による消費動力の低減化,および回転の安定化を図った。その結果,消費動力の低減効果は認められなかったが,カッタヘッドの慣性モーメントを大きくすることで作業の安定性が向上し,作業性が改善されることを確認した。

大豆収穫における頭部損失低減技術の開発(第1報)
――頭部損失発生要因の解明――

梅田直円・金谷 豊・長坂善禎・井上英二

キーワード:普通コンバイン,頭部損失,大豆,切断部,リール

 

 高速度ビデオカメラを用いてヘッダの構成要素が大豆におよぼす影響を観察した。その結果,リールの掻込み作用が無く茎稈が切断され前方に飛び出した場合に,茎稈のプラットフォームからの落下や裂莢が観察された。次に,リールタインの軌跡と大豆主茎長,株間データに基づく収穫シミュレータを構築し,リールの大豆に対する作用を解析した。その結果から,コンバインの一般的作業条件ではリールが大豆を掻き込む割合は42%以下,大豆を前方に押し倒そうとする割合は18%以下であることが明らかとなった。リールの掻込み作用がない場合に茎稈の飛び出しは発生しており,頭部損失低減にはリールの掻込みが最適に作用する作業条件をあきらかにするとともに,茎稈の飛び出し低減が重要であることが示唆された。

大豆収穫における頭部損失低減技術の開発(第2報)
――頭部損失発生要因の幾何学的解析――

梅田直円・井上英二・金谷 豊・長坂善禎

キーワード:普通コンバイン,頭部損失,大豆,切断部,刈刃,受刃

 

 刈取り工程を刈刃が茎稈におよぼす作用によって,移動工程,変位工程,切断工程に分類し,それぞれの工程で切断速度比や受刃ピッチ等の作業条件,設計寸法などをパラメータとして茎稈の飛び出しの要因について幾何学的に解析した。移動工程では刈刃の能動的作用を表す非有効面,変位工程では茎稈の変位の方向および速度を表す切断移動角および傾斜角速度,切断工程では茎稈のすべりと関係の深い終端切断角を定義した。その結果,作業速度は低く,刈高さは高く,刃先角は小さい方が有利であったが,切断速度比および受刃ピッチは各工程で有利となる条件が異なるため,茎稈の飛び出しを抑制するための最適な条件を実験的に明らかにする必要があることが示唆された。

大豆収穫における頭部損失低減技術の開発(第3報)
――茎切断試験による茎稈飛び出し要因の解析――

梅田直円・井上英二・金谷 豊・長坂善禎

キーワード:普通コンバイン,頭部損失,大豆,切断部,刈刃,受刃

 

 切断部による茎稈の飛び出し要因を明らかにするために実機を使った茎切断モデル試験を実施した。茎稈の切断による飛び出し速度を重心速度と定義した。茎を剛体と仮定して重心速度を算出した結果,測定値より高い傾向を示した。そこで,刈刃が茎に衝突したときの運動エネルギがすべてたわみエネルギに変換されると仮定し重心速度を補正した結果,補正前と比較して乖離が改善された。補正後の重心速度と設計パラメータとの関係を調べた結果,受刃ピッチが狭いほど重心速度が低いことが示された。次に,切断工程における茎の刃縁上のすべりと重心速度との関係は,すべりが大きい程重心速度は高い傾向を示した。すべりは終端切断角が0°付近で低くなる傾向を示し,標準刃では切断速度比1.03,細刃では1.91で小さくなることが示された。以上より,茎を前方に飛ばさないための切断部を設計するためには,受刃ピッチを狭くし終端切断角が0°となる刃先角と切断速度比を組み合わせる必要があることが示された。