69巻3号

研究論文

隔測によるイネの窒素保有量推定モデルの作成及び比較

柳 讚錫・村主勝彦・梅田幹雄

キーワード:マルチ及びハイパースペクトルリモートセンシング,重回帰,PLS,窒素保有量推定モデル

 

 基肥と穂肥を多段階に施用した40区画と,基肥を多段階に穂肥をイネの窒素保有量に基づき可変施用した40区画を対象とし,マルチ及びハイパースペクトルリモートセンシングによる幼穂分化期(40区画)と出穂期(22区画)のイネの窒素保有量推定モデルの作成と出穂期の推定モデルの検証(18区画)を行った。マルチスペクトル画像分析では,両時期ともにGreenNDVIによって窒素保有量の推定(0.908,0.775)が可能であった。ハイパースペクトルの幼穂分化期の画像では,重回帰(r=0.958)とPLS分析のLeverage方法(r=0.912)及びFull-Cross方法(r=0.895)の結果は同様であった。出穂期では, 主成分が多いPLS分析のLeverage方法(r=0.999)とFull-Cross方法(r=0.909)が,GreenNDVIと重回帰分析(r=0.805)より良好であった。各生育時期のモデルを比較すると,幼穂分化期のモデルではGreenNDVI(RMSEC=0.610),重回帰(RMSEC=0.718)及びPLS(RMSEC=0.430,RMSEC=0.470)ともに同様であった。しかし,出穂期のモデルではGreenNDVI(RMSEC=1.808,RMSEP=1.468)と重回帰(RMSEC=1.697,RMSEP=2.208)の結果は同様であったが,PLS分析のLeverage方法(RMSEC=0.083,RMSEP=4.344)及びFull-Cross方法(RMSEC=0.706,RMSEP=2.494)はGreenNDVI及び重回帰モデルのRMSEPと最大誤差より大きかった。

ロボット車両を利用した草地空間の情報化に関する研究(第1報)
――牧草収穫時の作業特性と情報化――

姜 太煥・白水宏和・石井一暢・野口 伸

キーワード:ロボットトラクタ,地形情報,GIS,RTK-GPS,改良山成工

 

 本研究は牧草地の基盤整備造成に対する新技術及び整備基準,造成工法を確立するためのシステム開発を目指した。草地整備改良において表土扱いしない低コストの改良山成工法をRTK-GPS/GISの活用によって提案することが最終目的である。ロボットトラクタによる地形測量や牧草収穫時の作業特性を解析することで改良山成工の工法基準を検討した。改良山成工の基準を求めるために車体加速度の合成ベクトルと傾斜角度を用いて判別分析を行なった結果,作業性に問題がある領域と問題がない領域の判別が可能であった。

 

技術論文

直播てんさいの出芽率向上に関する研究(第3報)
――粗砕土および仕上げ砕土時の中層鎮圧法――

稲野一郎・大波正寿・鈴木 剛

キーワード:てんさい,出芽率,中層鎮圧,コーン指数,ハローパッカ

 

 直播てんさいの出芽率を確保するために,播種前工程における鎮圧法を明らかにした。低地土においてはハローパッカによる中層鎮圧に加え,ロータリハロー付属のローラによる鎮圧を施すことで,深さ10〜20cmのコーン指数を1.0MPaに高め,目標出芽率85%を確保できた。ハローパッカは,ディスクハローに比べ,その作業後のロータリハローのPTO軸所要動力が1.5kW増加する。一方,多湿黒ボク土でハローパッカを2回施工したところでは,作土下層部に不透水層ができ出芽率が低下した。低地土における出芽率85%を確保するための土塊径4.75mm以下の割合と深さ10〜20cmのコーン指数の組み合わせは,土塊径4.75mm以下の割合58%で1.0MPa以上,60%で0.9〜1.0MPa,65%で0.9MPa未満であった。

イチゴの品質保持技術に関する研究(第1報)
――果実の硬さ特性と荷重が品質に及ぼす影響――

紺屋朋子・大森定夫・林 茂彦

キーワード:イチゴ,硬さ,色,荷重,品質

 

 イチゴ果実に損傷が生じにくいハンドリングや包装技術の開発に資することを目的として,果実の硬さ特性,果実へ作用する荷重と品質低下の関係を明らかにした。2005年12月から翌年5月のイチゴの収穫時期に渡り,品種‘とちおとめ’を供試して,果実の硬さを着色度,部位ごとに測定した結果,8分着色,完全着色の果実では,果頂部と赤道部の硬さはほぼ同程度であった。荷重と品質低下の関係では,果頂部においては,荷重で生じた変位量がわずか0.2mm程度であっても,果実の色変化に影響を与えることが明らかになった。また,作用する荷重が大きくなるに従い,果実の色変化も大きくなる傾向が見られた。さらに,一時的に作用する荷重であっても,その後の果実の品質変化に影響を与えることを確認した。

枝肉自動洗浄機開発のためのノズル選定とその洗浄特性

佐藤禎稔・関川三男・松田清明・日高 智・島田謙一郎・福島道広

キーワード:食の安全,噴霧ノズル,ペンキ残存率,脳組織,乳酸水溶液

 

 本研究は,食の安全を確保するため,枝肉加工時の洗浄作業を効率的に行う枝肉自動洗浄機の開発を目的とした。本報は,その基礎資料を得るために噴霧ノズルを供試し,水道水および乳酸水溶液を利用した肉片の洗浄実験を行った。ペンキ塗布肉片の洗浄ではノズル番号8002(吐出量1.4L/min)の場合,散布圧力0.98MPa以上でかつ散布距離70cm以内では洗浄機の目標とする30秒以内での洗浄が十分に可能であった。また,反芻動物(エゾシカ)の脳組織(脳懸濁液)を塗布した肉片の洗浄では,ELISA法で分析した結果,前述の実験とほぼ同様の洗浄特性が得られ,乳酸水溶液を用いることでさらにその効果が高まることを確認した。

農業用トラクタ作業機の油圧バルブ制御方式
――比例ソレノイドの電流補正制御――

堤 俊雄・谷野昌洋・山北次郎

キーワード:農業用トラクタ作業機,電流補正制御,比例ソレノイド,電磁比例バルブ,PWM駆動

 

 農業用トラクタ作業機に用いられる油圧電磁比例バルブの比例ソレノイドをPWM駆動した場合,油温と供給電圧によって同じデューティに対する吸引力特性が変化する。これは任意の操作信号に対し条件により異なったバルブ出力が行われ,作業性を阻害することを意味する。この特性変化を抑えるため,PWM駆動デューティを変化させ,任意の操作信号に対してソレノイドへの平均供給電流が比例するように電流の補正を行った。頻繁に操作信号が変化する農業用トラクタ作業機に適する電流補正制御の方法ならびに重み係数の選定方法について報告する。