69巻2号

研究論文

オプティカルフローによる移動ベクトルの検出
――ハフ変換を用いたオプティカルフローの高速検出――

芋生憲司・徳田智旨・海津 裕・横山伸也

キーワード:オプティカルフロー,移動ベクトル,カメラ,ハフ変換,ブロックマッチング

 

 本研究の目的は車両に搭載したカメラによって撮影される地面の画像のオプティカルフロー,すなわち速度ベクトルの場から,車両の移動ベクトルを測定することであり,将来的には車両の姿勢変化を検出することも視野に入れている。オプティカルフローは一般に,濃度勾配法や画像の小領域の二次元相関によって検出されるが,計算時間が長くかかるという問題がある。そこで本研究ではハフ変換を用いることで計算時間を短縮した2つのプログラムを作成し,移動ベクトルの測定精度と計算時間を従来の二次元相関法と比較検討した。正確で再現性のある実験を行うため,車両の代わりに二次元アクチュエータを用いた。作成したプログラムの一つが他の二者より優れており,計算時間は約0.3秒,移動距離に対する誤差割合の平均値は約5.5%であった。

高い材料水分が堆肥温度および微生物活性に及ぼす影響

宮竹史仁・岩渕和則・阿部佳之・本田善文

キーワード:堆肥化,高水分,微生物活性,温度,乳牛ふん

 

 高い材料水分が乳牛ふん堆肥化反応に及ぼす影響を明らかにするために,堆肥化が可能な材料水分の上限について検討した。堆肥化の初期過程では,中温性および高温性微生物は37〜74%材料で活性化された。76%以上の高水分材料においても50℃以上まで昇温が可能であった。加えて,堆肥化微生物の比増殖速度は80%以上の高水分材料中でも高く維持され,乳牛ふんにおいては堆肥材料の水分調整を必要としない堆肥化の可能性を示唆した。

操舵トルクを指標としたトラクタ座席―ステアリングハンドル配置適正化の検討

木下 統・御手洗正文

キーワード:乗用トラクタ,座席―ステアリングハンドル配置,操舵トルク,ステアリングハンドル傾斜角,座席―ステアリング距離,ステアリングハンドル高

 

 乗用トラクタの座席とステアリングハンドルの適正な配置に関して,操舵トルクを解析指標として,運転席モデルを用いた実験を行った結果,以下の知見を得た。 1)ステアリングハンドル傾斜角が13.5〜27.5°の間では,その値が小さいほど操舵トルクは大きい値を示す傾向が認められ,ステアリングハンドル傾斜角が13.5°の時,最大値を取った。(ただし,座席―ステアリングハンドル距離675mm,ステアリングハンドル高310mm) 2)座席―ステアリングハンドル距離対身長比が36.7%の時,操舵トルクが最大値を取った。(ただし,ステアリングハンドル傾斜角13.5°,ステアリングハンドル高310mm) 3)ステアリングハンドル高が大きいほど操舵トルクは大きい値を取る傾向が認められ,ステアリングハンドル高対身長比が21.2%の時,操舵トルクが最大値を取った。(ただし,ステアリングハンドル傾斜角13.5°,座席―ステアリングハンドル距離625mm)

マシンビジョンによる内成り栽培用イチゴ収穫ロボットの研究(第2報)
――採果用カメラによる熟度判定,果柄認識及び採果ハンドの試作――

崔 永杰・永田雅輝・郭  峰・日吉健二・木下 統・御手洗正文

キーワード:イチゴ,画像処理,熟度判定,果柄認識,採果ハンド,収穫

 

 本論文は果実に触れずに果柄を把持・切断する内成り栽培用イチゴ収穫ロボットに関する研究である。第2報は,果実の熟度判定および果柄認識に関する画像処理法ならびに採果ハンドの試作について検討した。熟度判定としては収穫適期を判定する着色率,果柄認識としては果柄表示線の切断位置および方向角を用いた画像処理法を提案した。その結果,着色率から収穫適期果実(5・6分着色以上)を判定することができ,果柄表示線の抽出から果柄の切断位置および方向角を与えることが確認できた。この画像処理の情報を受けて採果ハンドは収穫適期果実の果柄を把持・切断して収穫できることが確認できた。

田畑輪換田における水稲窒素吸収量の空間変動解析

池永幸子・後藤 圭・村主勝彦・梅田幹雄・稲村達也

キーワード:空間変動,ジオスタティスティクス,水稲,精密農業,窒素,田畑輪換,リモートセンシング

 

 奈良県桜井市の田畑輪換田(8.6ha)と非田畑輪換田(1.6ha)において,幼穂形成期窒素保有量(Npf)の空間変動解析を行った。Npfは,航空画像から得たGNDVIを用いて算出し,輪換田において860点,非輪換田において160点のNpfを得た。Npfは強い空間依存性を示し,輪換田で40〜55m, 非輪換田で10〜30mの範囲をレンジとして空間依存性を示した。作付体系,栽培管理,土地利用の圃場間における均一性が,これらの空間変動に影響を及ぼしていた。水稲への追肥を行う場合の管理単位は,非輪換田に比較して田畑輪換田で大きくなることが示唆された。

技術論文

北海道十勝地方の畑作・酪農におけるトラクタ運転姿勢

箕浦邦雄・西崎邦夫・岸本 正

キーワード:トラクタ,運転姿勢,後方視,座席,人間工学

 

 本研究は,トラクタの座席および運転環境を改善する目的で行ったトラクタ作業中の運転姿勢に関する調査研究である。各作業中の後方視回数・時間および間隔等を実測・記録した。その結果,運転者は作業中片手でハンドルを保持し,斜め右前方を向いた姿勢で運転していることが分かった。後方視は,播種,移植作業で作業時間の4〜7%,防除,収穫作業では30〜50%であった。このことから,トラクタ座席や操縦装置は,無理なく後方視が可能な機能を装備しなければならないことが分かった。

飼料イネ籾の消化性を向上させる効率的調製技術(第1報)
――画像処理による籾殻剥離・破砕籾の識別――

重田一人・元永佳孝・喜田環樹・松尾守展

キーワード:飼料イネ,消化性,画像処理,色判別,形状解析

 

 イネ発酵粗飼料の籾が消化可能かどうかについて客観的に識別するため,籾殻が剥離又は籾ごと破砕した籾と無傷の籾とを識別するための画像処理プログラムを開発した。色判別プログラムは,籾殻の一部が剥離して玄米表面や胚乳部が露出した試料に有効であり,籾輪郭部のハレーションの影響を除去することによって籾殻が剥離した籾と無傷の籾とを確度90%以上で識別可能となった。形状解析プログラムは表面に籾の内部が露出せず,破砕によって輪郭形状が変化した試料に有効であった。これらを併用することにより,識別確度は98%となった。

速  報

テンサイ肥大計測システムの開発

嶋津光辰・柴田洋一・張 春峰

キーワード:生育情報,テンサイ,根径,非破壊,変位計