68巻5号

研究論文


二毛作栽培体系を活用した燃料用バイオマスエタノール生産に関する研究
――栃木県を事例とした分析――

池川直樹・岩渕和則・宮竹史仁・関本 均・柏嵜 勝

キーワード:バイオマスエタノール,石油代替燃料,二毛作,エネルギ作物,エネルギ収支

 

 米麦二毛作栽培体系を用いた燃料用バイオマスエタノール生産の可能性について検討した。米麦二毛作栽培体系は土地生産性が高く,単作と比較してバイオマスエタノール生産量の増加が期待でき,かつ連作障害等の土壌への負荷の無い優れた伝統的農法である。検討対象地域として栃木県を選び,作付け方式,品種および栽培期間について発育指数を指標とした生長予測に基づいてより多くのバイオマスエタノール収量を得る組み合わせを見出した。さらにエネルギ収支分析のため,栽培,バイオマスエタノール製造および原料輸送についてインベントリ分析を行った。その結果,エネルギ収益は県南部で10アールあたり21.7GJ,県北部で18.8GJとなり,エネルギ面から米麦二毛作によるバイオマスエタノール生産は充分可能であることが示された。ただしエタノール製造コストは約145円/Lとなり,さらに発熱量基準で考えると,エタノールはガソリンに比して発熱量が6割程度であるので,さらなるコストダウンが求められる。


コンバイン刈取部の振動特性とモデル化(第1報)
――ウェーブレット解析による時系列の周波数分解――

福島崇志・井上英二・光岡宗司・松井正実・岡安崇史

キーワード:刈刃駆動装置,時系列,離散ウェーブレット変換,非線形振動,位相起動図

 

 コンバイン刈刃駆動部において,振動低減機構として用いられるバランスウェイトの制御パラメータを導出することは,未だ確立されていない設計理論に繋がると共に,機械のコスト減へも寄与する重要な課題である。しかし,刈取部ではバランスウェイト取り付け位置の違いにより非線形振動が発生し,設計理論構築への弊害となっている。そこで,本研究では理論へのフィードバックを前提とした,コンバイン刈取部の振動特性を解明することを目的とする。本報では,機械振動が細分化される要素の集合体であると考え,実測時系列波形の周波数分解を行い,各周波数成分について振動特性の考察を行った。


コンバイン刈取部の振動特性とモデル化(第2報)
――リカレンスプロット及び周波数成分による軌道描画――

福島崇志・井上英二・光岡宗司・松井正実・岡安崇史

キーワード:刈刃駆動装置,時系列,周波数成分,軌道描画,リカレンスプロット

 

 前報において,離散ウェーブレット変換により抽出した周波数成分と実測時系列より,刈取部の振動特性について考察を行った。本報では,刈取部の基本振動が単純な振動の重ねあわせであることから,リカレンスプロットにより,それら周波数成分の相互作用を検討した。その結果,時系列・位相軌道図では明確な周期性が確認されなかったバランスウェイト取付位置225°において,規則性が確認された。さらに,刈取部の振動特性を詳細に検討するため,周波数成分を軸とする2次元プロットを形成し,時系列の振動特性を考察した。その結果,駆動周波数成分外の振動が発生する部位を限定することができた。


コンバイン刈取部の振動特性とモデル化(第3報)
――刈取部の力学モデル――

福島崇志・井上英二・光岡宗司・松井正実・岡安崇史

キーワード:刈刃駆動装置,衝突振動,力学モデル,フォークトモデル,バランスウェイト,慣性力

 

 前報において,コンバイン刈取部の駆動刈刃とリンクアーム端の結合部位でクランク車駆動周期の約3倍の周期振動が発生していることが確認された。そこで,本報では,結合部位のベアリングが弾性変形するものと仮定し,フォークトモデルにより力学的相互作用を表現し,コンバイン刈取部の力学モデルを構築した。本モデルより,水平方向の慣性力をシミュレーションした結果,バランスウェイトを取付けていない状態で,実測およびシミュレーション時系列において良好な結果を得た。よって,本モデルが刈取部の振動特性を表現可能であることが示唆された。


セミクローラ式トラクタの転動抵抗を考慮した振動解析モデルとその評価

福島崇志・岡田 淳・井上英二・光岡宗司・稲葉繁樹・岡安崇史

キーワード:セミクローラ式トラクタ,ゴム履帯,回動式履帯走行装置,転輪配置,力学モデル,転動抵抗

 

 本研究は,セミクローラ式トラクタの振動低減に関する合理的設計指針を得るため,路面走行時の振動特性を表現し得る力学モデルの構築を目指している。そこで,路面走行時のトラクタの振動加速度値を測定し,モデルに基づいたシミュレーションとの比較により,本モデルの妥当性を検証した。本モデルでは,履帯走行装置における内部抵抗の主要因である転動抵抗を考慮し,シミュレーションの定量的改善を行った。その結果,路面走行時の機体重心位置における振動加速度値の定量的な改善が見られたものの,履帯走行装置の回動部に関しては,振動加速度値の傾向を把握できず,今後,精密な計測システムの構築が課題として残された。


研削式精米機の抵抗爪が精米状態におよぼす影響の離散要素解析

鈴木基勝・坂口栄一郎・川上昭太郎・福森 武・松島秀昭・新畑茂基

キーワード:研削式精米,抵抗爪,シミュレーション,離散要素法,粒子運動,せん断力,接触回数

 

 研削式精米初期を対象とした2次元離散要素シミュレーションモデルを用いて,精白室構成要素の一つである抵抗爪が精米状態におよぼす影響について考察した。試験用横型研削式精米機を用いて,抵抗爪の有無による精米中の米粒運動の特徴と玄米質量減少率の変化を測定した。シミュレーション結果はそれらの実験結果を再現し,モデルの妥当性が認められた。精米シミュレーションの情報によって粒子の微視的力学挙動が解析された。その結果,抵抗爪通過直前で粒子の局所的滞留が生じることで,ロールとの接触数とせん断力が増加して精米効果を高めることが分かった。

 

技術論文


中国産インディカ米米飯の食味評価法に関する研究(第1報)
――官能検査法の確立――

呂 慶云・李 再貴・三上隆司・河野元信

キーワード:中国産インディカ米,食味評価,四点試験法

 

 中国産インディカ米試料90点を,日本で広く用いられている四点試験法による官能検査で評価し,この評価法がインディカ米の食味評価法として適するかどうかを検討した。その結果,四点試験法による官能検査は中国産インディカ米米飯の食味評価に利用できることが明らかになった。
 先ず,60点の米飯試料を対象に外観,香り,味,粘りによって食味の総合評価の官能予測値を回帰計算し,相関係数R=0.98の高い値を得た。次いで,残りの30点の米飯試料により回帰式の予測値と官能検査の総合評価値との相関を検証し,これについてもR=0.98の高い相関を得た。しかし,光沢と硬さについては,食味総合評価値と明確な相関が得られなかった。


中国産インディカ米米飯の食味評価法に関する研究(第2報)
――可視光/近赤外光による食味の測定――

呂 慶云・李 再貴・三上隆司・河野元信

キーワード:可視光/近赤外光,炊飯型食味計,中国産インディカ米,食味評価

 

 中国産インディカ米米飯に,炊飯型食味計の可視光/近赤外光を照射し,その反射光と透過光の吸光度を4種類の固定フィルターを通して測定し,コンピュータにその吸光度データを集めた。これら米飯について食味の官能検査を同時に行い,外観,香り,味,粘り,総合評価の値を得た。官能検査の各評価項目を目的変数に,吸光度を説明変数にして,食味の各項目に関する重回帰式を作成した。検証の結果,作成したインディカ米米飯の総合評価値の検量線による予測値と,パネルによる官能検査の総合評価値の間に相関係数R=0.84と高い相関性のあることが明らかになった。また,その妥当性の確認のため,中国の4地点(広州,長紗,杭州,ハルビン)で基準米を含めた4種類の試料の官能検査による食味評価を行い,作成した検量線による官能予測値と4都市8カ所で行った食味試験結果との間に一部の試料で有意差が認められ,一部の試料で有意差が認められなかった。今後さらに詳細な研究が必要である。

 

速  報


自律トラクタによる作業機の自動装着

瀧川具弘・トファエル アハメド・張  強・パユンサック ジュンユセン・小池正之・松本安広

キーワード:作業機装着,位置決め,レーザーレンジファインダ,反射板,クイックカプラ