68巻4号

研究論文


航空マルチスペクトルイメージングによるコナラ収量推定モデルの安定性の検討

秋田鉄也・酒井憲司・岩渕祐子・星野義延・叶 旭君

キーワード:コナラ,豊凶現象,リモートセンシング,マルチスペクトルイメージ,クロスバリデーション,里山再生,生物多様性保全

 

 近赤外と可視領域の計4バンドからなる2年分の航空マルチスペクトルイメージを用いて,線形回帰モデリングによるコナラ22個体の収量推定を行った。コナラ個体樹冠から得られた反射輝度値および胸高断面積合計値・樹高・樹冠面積を説明変数とし,地上計測によって得られたコナラ殻斗個数の常用対数値を目的変数として重回帰分析を行った。得られたモデルに対してleave-one-out cross validationを適用してモデルの安定性を検証した結果,2003年度6月5日と2004年度5月26日の航空画像データが,それぞれの年の収量推定に有効であることが示され,推定精度はそれぞれR2=0.49とR2=0.56であった。


堆肥物混合が砂壌土の締固め挙動に及ぼす影響

ワンラット アブドゥラカシム・小池正之・瀧川具弘・長谷川英夫・本間 毅・バンチョー バハラヨーディン・プラティアン ウサボリスット

キーワード:土壌締固め,堆肥,貫入抵抗,応力状態,垂直ひずみ

 

 堆肥物と黒ボク砂壌土を混合して,土壌の締固め特性を貫入抵抗,応力状態,垂直ひずみとの関連から検討するため,土壌槽を用いた室内実験を行った。堆肥物は家畜ふん尿とおが屑を混合調整して作成し,その混合割合は0,79,132g/kgの3水準,土壌水分含量は58%と67%に設定した。その結果,低水分含量域の場合,貫入抵抗は堆肥物含有量の増加とともに減少する傾向を示したが,高水分含量域では水分含量の増加につれて供試土のコンシステンシが変化するため,逆の傾向が発生することが分かった。同様に,低水分含量域における応力ピーク値は,堆肥物含有量の増加につれて大幅に減少したが,高水分含量域ではその減少割合は顕著に減少した。堆肥物の混合により垂直ひずみは大幅に増加したが,これは応力伝達により,大きな変形を許容する状況が現われたためと考えられた。


アフリカ地域・小規模農家への対象農業機械開発に関する研究(第2報)
――トルコ製スレッシャの改良と試作開発について――

辻本壽之・櫻井文海

キーワード:北アフリカ,小規模農家,麦用スレッシャ,スクリュ型こぎ胴,麦わら,穀粒損失率

 

 モロッコの小規模農家が耕作している地域では,近年トルコ製スレッシャの普及が見られる。モロッコの農家では10cm以上の長さのわらが飼料として好まれるが,トルコ製スレッシャの脱穀作業では飼料用として,適切な長さのわらが得られない問題がある。トルコ製スレッシャへ搬入口と排出口を新たに設け,改良スクリュ型こぎ胴によって適正な長さのわらを確保し,飼料としての価値を得ることを目的として改良・試作開発を行った。
 トルコ製スレッシャの性能試験の結果,90%以上のわらが細断されて飼料としての価値がない状況であった。改良スクリュ型こぎ胴では,わら損失率(脱穀された全重量のわらに対して10cm以下に細断されたわらの割合)は,小麦品種メルチュウチ(Merchouch)では9.0%,大麦品種ベルデイ(Beldi)の場合は,10.3%であった。改良スクリュ型こぎ胴によって,わら細断は,飼料として適正な長さに保つことが出来ることが判明した。

 

技術論文


長ネギの貯留供給装置の開発

紺屋朋子・大森定夫・清水秀夫・中根幸一

キーワード:長ネギ調製装置,貯留,自動供給,省スペース,効率的利用

 

 不要な葉を取り除いた長ネギを貯留しながら,1連式の長ネギ調製装置に同期して,1本ずつ自動供給できる貯留供給装置を開発した。限られたスペースに多くの長ネギを貯留するために,長ネギを鉛直方向に3本保持したまま搬送し,かつ,1本ずつ順番に供給できる可動3段カセットを考案し,本装置の省スペース化を図った。
 本装置には,長ネギを最大51本貯留することができる。それらの長ネギが調製装置へ自動供給されている約5分間,作業者は,調製装置の運転を止めることなく,長ネギの運搬や残さ処理等の作業を行うことができ,効率的な調製作業が可能である。

 

速  報


水熱反応処理による牛糞由来生成物に関する油分の留分分析

河合秀樹・美濃輪智朗・澁澤 栄

キーワード:バイオマス,牛糞,廃棄物,代替エネルギー,変換,熱分解,液化,液体燃料,油,NPグラム

 

文献紹介


精密農業(澁澤 栄 編著)
ISBN 4-254-40015-2 C3061, 朝倉書店

片岡 崇