68巻3号

研究論文


米粒への水の吸収と移動に関する基礎的研究(第2報)
――精白米の吸水と洗米におけるデンプン形態の特性――

目崎孝昌・佐竹利子・福森 武・池田善郎

キーワード:精白米,吸水,PB-T,洗米,デンプン粒,濁度

 

 米飯食味の良否はデンプン胚乳の糊化特性が大きく関与し,胚乳内部への吸水ムラが大きく影響すると言われているが,未だ明らかにされていない。このため,水浸漬時の精白米への吸水現象を微細構造的に観察した結果,胚乳部への吸水深さは背面よりも腹面が大きく,疎水性タンパク質(PB-T)の分布特性とよく一致した。背面では,複粒デンプン内の単粒間に吸水されず,胚乳細胞壁沿いでも吸水されない部位が存在した。また,洗米水濁度が高い精白米では,洗米水中に浮遊するデンプン粒の大半が単粒として分離しており,精白米最外面の単粒間によく吸水した。


選別風を受ける藁の飛散範囲シミュレーション

古野裕子・松井正実・井上英二・森  健・岡安崇史

キーワード:藁,飛散範囲,シミュレーション,選別風,脱穀部

 

 コンバイン脱穀部では,唐箕から送り出される風の力によって籾や藁などの夾雑物を搬送し,その飛行軌跡の差を利用して分離する風選別が行われている。従前の研究において,力学的な釣り合いから単一穀粒の飛行に関する運動方程式を立案した。本研究では,選別風を受ける藁の飛行特性を把握するため,上記の運動方程式を藁に適用して,数値解析(有限体積法 : FVM)から得た2次元定常非圧縮粘性流体の風速場における藁の飛行シミュレーションを行った。藁の飛行実験の結果と比較したところ,その飛散範囲は比較的良い一致を示した。


酒造用研削式精米条件が精白米形状に及ぼす影響

坂口栄一郎・水谷 量・本多康太郎・川上昭太郎

キーワード:日本酒醸造,研削式精米,精米条件,粒子形状,空隙比,周速度,摩擦係数,無次元式

 

 横型試験用精米機を用いて,玄米供給量および研削ロールの粒度と回転数を変化させ,2つの品種の玄米について精白率70%まで精米し,精白米の3軸寸法を測定した。その結果得られた2種類の形状指数を用いて,精米条件と精白米形状の関係を統計的に分析した。さらに,精米条件と玄米の3軸方向の研削距離の関係および精米現象の力学的考察により,精米条件と精白米形状の関係を表す無次元式を得た。

 

技術論文


画像処理を用いた害虫の自動計数システム

下田直樹・片岡 崇・岡本博史・寺脇正樹・端 俊一

キーワード:害虫,HSI変換,計数,コナガ,トラップ,フェロモン,防除

 

 減農薬栽培を念頭においた適期防除を実現するため,人力作業を極力省いた害虫発生の予察システムの開発を試みる。目的害虫はアブラナ科植物を食害するコナガとした。本システムでは,人工合成性フェロモン剤を誘引剤に使用し,水盤式トラップで害虫を捕獲する。捕獲された害虫は,コンピュータのタイマー機能によりデジタルカメラで自動撮影される。撮影画像は,無線LANを介してホストコンピュータに転送される。そして,HSI変換によりコナガのみを抽出し,計数する。本システムを用いてコナガを計数した結果,約91%の識別正答率であった。


傾斜草地における広幅施肥作業に向けた履帯車両の自動走行制御技術(第2報)
――走行速度制御の向上――

玉城勝彦・瀬川 敬・澁谷幸憲・飯嶋 渡

キーワード:傾斜草地,速度センサ,PID制御,自動走行,走行速度制御

 

 自動走行機能を有する履帯車両の走行速度制御を向上させるために,車両前後に速度センサを装着することにより車両のピッチ角度の影響を少なくすることができ,11°程度の傾斜草地では誤差±0.2%で検出できた。また,傾斜草地で実作業速度を制御するためには微分動作を加えないデジタルPI制御を用いることでオーバーシュートが少なく,速度超過の少ない制御が可能で,傾斜の上下走行に関わりなく設定速度での走行が可能となった。

 

資  料


低温輸送時の青果物並びに輸送車内の温度変化

内野敏剛・根井大介・酒井菜摘

キーワード:温度,低温輸送,コールドチェーン,ナス,トマト