67巻4号

研究論文


自然背景中の果実検出(第1報)
――果実輪郭検出のための画像解析――

ソムチャイ リムシロラタナ・池田善郎

キーワード:果実,自然背景,パパヤ,輪郭抽出

 

 果実が葉や茎などの背景と同じ緑色の場合,自然背景より果実を検出するのは困難である.本研究では,果樹園で撮影したパパヤ果実(Carica papaya L.)の画像を用いて,その形状情報による検出について検討を行った.形状情報として果実の輪郭を用いた.しかし,輪郭抽出をそのまま行うと,入力画像中のあらゆるエッジを検出してしまうため,果実と無関係なエッジを除くフィルタリングが必要となる.ここでは,エッジと色の情報,及び最大値・最小値フィルタを用いることによって,パパヤ果実の輪郭抽出が可能となった.


事業型生ごみ発生現場におけるコンポスト化前処理装置の意義と効果

姜  虎・笹尾 彰・澁澤 栄・八木 茂・岡山 毅・野田玲治

キーワード:有機性廃棄物,コンポスト,事業シュレッダー紙,前処理装置,循環システム

 

 本研究は都市型有機性廃棄物の内,排出量が集中している事業型生ごみを対象として,生ごみ排出現場での前処理装置に着目し,都市域における有機性廃棄物循環システム構想を提案するとともに,ひとつの事業場における生ごみの発生と処理実態を調査し,事業シュレッダー紙を副資材とした前処理物を検討した。本研究を通じて,事業型生ごみ収集は事業者自身の管理によって異物分離が徹底的に実施できること,前処理装置によって生ごみ発生直後に効率的な処理が実施出来ることで腐敗と悪臭の防止が可能であることが明らかになった。事業型生ごみは前処理装置によって破砕混合と水分調整され,均質なコンポスト化資材になったことが示された。


NIRとGISを用いたサトウキビの高品質化支援情報システムの開発(第1報)
――NIRによる蔗汁カリウム測定の可能性――

平良英三・上野正実・川満芳信・内間亜希子

キーワード:サトウキビ,近赤外分光法(NIR),ミネラル,カリウム含量,ショ糖,MLR(線形重回帰分析),PLSR(PLS回帰分析)

 

 精密な施肥管理によってサトウキビの高品質化を図るために,甘蔗糖度と相関の高いサトウキビ搾汁液中(以下,蔗汁)のカリウム含量について,近赤外分光法(NIR)による迅速な定量分析の可能性を検討した。近赤外域においてミネラルは直接的な吸収を示さないが,蔗汁成分のうち吸収の強いショ糖成分の分析を行うことによって,カリウム測定の検量線に用いる波長の特定を行った。線形重回帰分析(MLR)を用いて検量線への使用波長を検討し,ショ糖の影響を受けない波長(1,820nm)が蔗汁中のカリウム含量と相関が高いことを示した。さらに,PLS回帰分析(PLSR)による検量線はMLRよりも精度が高く,評価用試料に対する標準誤差(SEP)は161.8ppmとなった。いずれの多変量解析法によっても十分な精度でカリウム含量を定量測定が可能であることを示した。


NIRとGISを用いたサトウキビの高品質化支援情報システムの開発(第2報)
――蔗汁のカリウム含量計測システムの実用化に関する研究――

平良英三・上野正実・川満芳信

キーワード:サトウキビ,NIR, カリウム含量,高品質化,施肥管理,支援情報システム

 

 近赤外分光法(以下,NIR)を用いて蔗汁中のカリウム含量を簡便に測定するために,第1報では,ショ糖の影響を受けにくい波長を第1波長とする検量線を作成し,高い測定精度を有することを示した。本報では,サトウキビの高品質化支援情報システム構築をねらいとして,品質取引制度で使用されているNIRと同型の機種を沖縄県南大東島の製糖工場の品質評価室に設置し,カリウム含量測定システムの実用性の検証を行った。平成12/13,13/14および14/15年期の3製糖期にわたって南大東島の全サトウキビ圃場から集まる蔗汁サンプルのNIRスペクトル測定を行った。この結果,品質測定を行いながらカリウム含量を同時に測定することは可能であり,圃場一筆単位でカリウムの施肥量を管理する高品質化支援ツールとして利用できることを実証した。


糊化特性による長期貯蔵米の品質評価に関する研究

グエン クォク トアン・リ ホアン トゥング・後藤清和

キーワード:米貯蔵,エージング,糊化特性,貯蔵温度,水分

 

 収穫後の籾(ハツシモ)を4段階の水分値(11.1,12.8,14.7,17.6%WB)および3段階の温度(4,20,35℃)において,17ヶ月という長期にわたる貯蔵を行った。その間,貯蔵条件の影響を受けて白米の糊化特性に現れる変化を測定した。4℃の貯蔵においては,最高粘度がごくわずかな上昇傾向が見られた以外は,セットバック粘度,最終粘度および糊化温度のいずれもが貯蔵期間を通じてほぼ一定であった。20℃での貯蔵では最高粘度,セットバック粘度および最終粘度に緩やかな増加傾向が見られた。貯蔵温度が35℃の場合,それら指標値は素早く変化した。籾の水分値も変化率に影響を与えた。高水分であっても貯蔵温度が4℃と20℃の場合は貯蔵期間中に糊化温度の変化は見られなかった。しかし,35℃の場合は低水分の材料でさえその水分値に応じて3〜9ヶ月後から急激な変化を示した。糊化特性値を統計的に分析した結果,長期間貯蔵された米の品質変化は水分値,温度および貯蔵期間の複合的な影響を受けることが明らかとなった。


無洗米の品質特性と貯蔵性(第1報)
――普通精米および調製法の異なる無洗米の品質特性と貯蔵性――

横江未央・川村周三・樋元淳一・伊藤和彦

キーワード:白度,残留糠率,脂肪酸度,一般生菌数,洗米水濁度,洗米水乾固物量,食味,糠,タピオカデンプン

 

 大型精米工場で調製した普通精米および調製法の異なる無洗米の品質特性と貯蔵性を調べた。その結果,貯蔵前の普通精米と無洗米は,多くの品質測定項目において有意差が認められた。また洗米せず炊飯した無洗米の食味は,洗米して炊飯した普通精米の食味と同じであった。無洗米は普通精米より貯蔵中の品質劣化が少なく,貯蔵性が良いことがわかった。また貯蔵後の官能試験では,無洗米であっても洗米した方が食味評価が良くなる傾向が認められた。


無洗米の品質特性と貯蔵性(第2報)
――高歩留無洗米の品質特性と貯蔵性――

横江未央・川村周三・樋元淳一・伊藤和彦

キーワード:白度,残留糠率,脂肪酸度,胚芽残存率,洗米水濁度,洗米水乾固物量,食味,タピオカデンプン

 

 大型精米工場で普通精米と無洗米,および普通精米と同程度の搗精歩留の無洗米(高歩留無洗米)を調製し,その品質特性について調べた。その結果,普通精米と無洗米の品質特性の違いは,一部は主として歩留低下に起因するものであるが,多くは主として米粒表面の研磨と除糠に,または歩留低下および表面研磨と除糠の双方に起因していることが明らかとなった。高歩留無洗米は,白度が高く洗米水の濁度や乾固物量が低いなど無洗米としての品質特性を備えていた。しかし,無洗化処理では胚芽がほとんど除去されないため,高歩留無洗米は普通精米に比べて炊飯米外観が悪く,食味評価が低かった。


直播テンサイ用自動間引き・除草機の開発(第2報)
――動画像を用いたテンサイと雑草の識別――

寺脇正樹・片岡 崇・岡本博史・端 俊一

キーワード:テンサイ,雑草,画像処理,YIQ表色系,間引き,除草

 

 直播テンサイの自動間引き・除草作業に適用させるため,トラクタに取り付けたCCDビデオカメラで撮影した動画像からテンサイと雑草を抽出し,その識別を試みた。直播テンサイ栽培では避けることができない間引き時期のテンサイ個体の大きさのばらつきにより,形状特徴量のみでは高精度な識別が困難と考えられた。そこで,形状特徴量に色情報を組み合わせた識別手法を新たに考案した。その結果,テンサイ及び雑草の識別正答率はそれぞれ89.7%,91.0%となった。識別処理時間を検討した結果,Celeron 400MHzの比較的低性能なCPUでも最大3Hzで処理可能であり,本識別手法は間引き・除草の実作業に十分適用できることが示された。

 

技術論文


田植機の植付苗量制御技術の研究(第3報)
――検出技術と自動制御――

土屋史紀・小西達也・窪田 潤

キーワード:田植機,苗量制御,マット苗,欠株,株間,GPS, 光学センサ,レーザセンサ

 

 本研究はマット苗を用いた田植作業における省力化・軽労化のために,安定した細植えを行いながら所定の面積を設定苗枚数で過不足なく植え付けることを目的とする。そのために,GPSセンサを用いた株間の検出技術や光学センサを用いた苗使用量の検出技術などを新たに構築し,作業中にそれら植付状況を把握しながら植付苗量の自動制御を行う田植機を開発した。ほ場試験にて設定苗枚数に合わせた植付けが可能となったことを確認した。


搾乳ユニット自動搬送システムの開発(第3報)
――1,2号機の試作と模擬搾乳試験――

平田 晃・後藤 裕・荊木義孝・涌井明男・岡谷利幸・大日向好治・細井研一・松岡 巧・竹前昭宏

キーワード:搾乳ユニット,自動搬送装置,配管接続,2頭同時搾乳

 

 第2報に示した開発方針に従って,本システムの1号機を試作した。実験室での3,000回を超える連続搬送試験において駆動軸の折損,モータの焼付き,分岐ポイント切換え不良が生じた。2号機の試作に当たって,これらを改良するとともに,ミルクタップ接続を1動作で完了する機構に変更した。また,接続動作の完了確認と再接続機能,搾乳ユニットの自動離脱確認機能を付与した。模擬搾乳試験は,本システムで想定される搾乳作業パターンで実施した。2連ミルクタップ接続による2頭同時搾乳時のミルク配管内の真空度低下は,ISO5707で推奨される2kPa以内を保持できることを確認した。


搾乳ユニット自動搬送システムの開発(第4報)
――民間牧場での評価試験――

平田 晃・後藤 裕・荊木義孝・涌井明男・岡谷利幸・大日向好治・細井研一・松岡 巧・竹前昭宏

キーワード:搾乳ユニット,自動搬送装置,配管接続,搾乳作業,作業能率

 

 試作2号機を搾乳牛50頭規模の民間牧場の対尻式牛舎に設置し,作業能率と搾乳作業上の問題点を調査した。第1報で推定したとおり,1人で8台の搾乳ユニット(自動搬送装置4台)を用い,1時間当たり50頭の能率で搾乳作業が可能であった。さらに,改良した3号機を搾乳牛34〜60頭規模の牧場4箇所に追加導入した。調査した5牧場においては,乳牛と作業者は,本システム導入後10日〜4週間で馴れた。作業時間や作業負担は削減され,作業者の評価は高かった。


国産水稲うるち米の品質(第1報)
――1994年から1999年までの6年間の米の食味と品質分布――

牧野英二・杉山隆夫・市川友彦・積  栄

キーワード:米,品質,食味,官能検査,理化学分析値

 

 高品質米生産のための機器開発研究に資するため,米の食味に関する品質を明らかにした。1994年から1999年までの6年間で,合計657点の水稲うるち米を収集し,官能検査による食味評価を実施するとともに,玄米および精白米の内部品質,外観品質,物理特性等を分析し,その分布を示した。食味評価値は,どのサンプルも基準米の日本晴に対して,わずかな差であった。また,食味評価値や分析値は,同一品種内でも広い幅を持って分布していた。


国産水稲うるち米の品質(第2報)
――食味に関連する米品質――

牧野英二・杉山隆夫・市川友彦・積  栄

キーワード:米,品質,食味,官能検査,理化学分析値

 

 高品質米生産のための機器開発研究に資するため,米の食味に関する品質を明らかにした。本報では,1994年から1999年までの全国657点の米について,食味評価値と分析値との関係を解析した。また,食味評価値とタンパク質含量,アミロース含量および外観品質との関連を示すことにより,高品質米生産のための諸要因を明らかにした。