66巻4号

研究論文

サイロ内粉粒体層の流動現象に関する弾塑性有限要素解析

岡安崇史・橋口公一・尾崎利行・矢嶋泰基・尾崎伸吾

キーワード:貯蔵施設,サイロ,粉粒体,下負荷面モデル,弾塑性有限要素解析,流動現象,壁面摩擦,壁面圧力,個別要素法

 

 粉粒体貯蔵に使用されるサイロやホッパ等の施設の力学設計には,粉粒体層の流動特性のみならず流動時に施設各部に生じる力学量の詳細な把握が不可欠である。本研究では,非古典塑性論に属する下負荷面モデルを導入した弾塑性有限要素解析プログラムにより,矩形サイロ内における粉粒体層の流動現象を解析するとともに,Masson and Martinez(2000)の個別要素法解析結果との比較・照査を行い,両解析手法の予測特性の違いについて検討した。その結果,粉粒体層の流動現象について両解析結果が良く一致することを示した。一方,サイロ壁面に作用する粉粒体圧力には両者に差異が認められ,特に壁面摩擦有の場合にはその差が大きくなることを明らかにした。

 

温水処理の温度と浸漬時間がミニトマト果実の果皮色変化および品質に及ぼす影響

グェン クォク トアン・中野浩平・前澤重禮

キーワード:温水処理,ミニトマト,果皮色,品質

 

 催色期のミニトマト果実に対し,35−65℃の温度範囲,ならびに10秒−210分の浸漬時間の範囲で温水処理を施した。20℃貯蔵の間,CIELAB表色系におけるa*/b*値によって表面色を評価し,処理した果実の果色進行の遅延は,新たに定義した果色遅延指数によって定量的に表した。果皮色変化を遅延させ,かつ障害が発生しない温水処理条件を明らかにした。その条件は限定された温度および浸漬時間の組み合わせで分布し,有効温水処理領域を形成した。有効温水処理領域内の条件で処理したミニトマト果実の成熟期における糖含量および硬度は,無処理の果実と同等であった。温水処理技術をミニトマト果実の品質管理に応用する際に,本研究で示された温水処理の温度,時間条件は有用である。

 

長期肥培管理試験ほ場における土壌ばらつきの小麦収量への影響

カロリーナ アチェ・澁澤 栄・笹尾 彰

 

 三種の異なる肥培管理を続けるほ場において,土壌及び小麦の生育と収量の空間的ばらつきを観測した。観測された小麦のばらつきが肥培管理によるものか,それとも土壌のばらつきによるものかを解明することが本研究の目的である。さらに収量に影響する土壌パラメータを推定するため相関分析,変数可変型線形回帰分析及び部分最小二乗法解析を行った。その結果,3種類の解析法とも収量に対して電気伝導度は正の効果,C/Nは負の効果を示した。 作物の反応を基準にしたデータ集合は,肥培管理法を基準に作成したデータ集合より,高い土壌作物収量の相関を与えた。従って栽培実験においては実験区間の差の観察のみならず実験区間のばらつき観察が重要である。また,本ほ場における施肥管理の提案をした。

 

極低周波および静磁界の合成磁界曝露がニンジン肥大根の組織片の生長に及ぼす影響

山田龍太郎・谷野 章・谷平栄治・田川彰男・飯本光雄

キーワード:磁界,極低周波,ニンジン,肥大根組織,生長

 

 磁界強度112μTの極低周波(50Hz)と127μTの静磁界の合成磁界をニンジン肥大根組織片に曝露し,生長に及ぼす影響を検討した。その結果,合成磁界を曝露した(曝露区)組織片の生体重は地磁気のみを曝露した(対照区)それを有意に上回った。他方,乾物重では曝露区と対照区との間に有意差は見られず,曝露区の組織片の含水量は対照区のそれを有意に上回った。また,曝露区のK+, Na+含有量は対照区のそれを有意に上回ったが,Mg2+とCa2+の含有量は両区の間に差は見られなかった。これらのことより,極低周波磁界は植物細胞の培養において新しい物理環境要素となり得る可能性が示唆された。

 

水田情報のジオスタスティカル解析とマネージメントへの意義

スワパン クマル ロイ・澁澤 栄・アノアール アドゥル ラヒム・下保敏和

キーワード:ジオスタティスク手法,土壌特性,収量,コクリギング,マネージメントゾーン

 

 西マレーシアの水田において2000年に土壌特性と収量を格子状に取得した。ジオスタティスク解析の結果,土壌特性と収量には強い相関があり,レンジは土壌特性より収量の方が短かかった。代用データ(土壌特性)を用い,収量の空間的ばらつきをコクリギングにより推定したが,このほ場ではそれほど精度を高める効果がなかった。クリギングにより得られた収量マップでは,プロット値の中央部は長辺方向両端に対して低収量(3.5t/ha未満)であった。5t/ha以上の高収量を得るために,低収量領域への特別な処置として,土壌中のN及びP含有量を増加させる必要性が示唆された。

技術論文

西洋ナシの食べ頃判定技術の開発(第2報)
――積算温度表示ラベルによる食べ頃判定――

大森定夫・藤岡 修・宮浦友宏・野口協一

キーワード:西洋ナシ,ラ・フランス,追熟,食べ頃,積算温度,ラベル

 

 ラ・フランス果実の追熟程度を店頭や消費者の手元にて簡便に評価するため,温度と時間の積算が増加するにしたがって表示色が変化する「食べ頃判定ラベル」の開発を行った。開発したラベルは,染料層を支持するシートと染料が浸透して発色する染料浸透層からなり,染料が浸透層に浸透して中央部分の色が積算温度の増加と共に濃くなる。ラベルの色変化と果実の追熟程度を調査した結果,追熟程度をラベルの色による評価が可能であった。また,ラベルの色彩変化に対してエチレンガス,炭酸ガス,湿度の影響は見られなかった。しかし,普及にはラベルの低価格化が課題として残された。

 

高速耕うんロータリの開発(第2報)
――開発機の概要と作業能率――

後藤隆志・堀尾光広・市川友彦・小林智夫・仁尾征夫・須藤孝明

キーワード:ロータリ,作業速度,高速耕うん,なたづめ,つめ配列,固定刃,リヤカバー

 

 基礎試験の結果を踏まえ,開発機を試作した。開発機は,ロータリづめわん曲部の曲率半径と切削角を大きくしたこと,ロータリづめの横方向取付け間隔を広げたこと,カバー内後方のスペースを広くするとともにリヤカバーをロータリ本体に対してローリング可能な構造とし,その先端にレーキを付けたこと,ロータリ前方へ固定刃を取付けたことなどを特徴とする。開発機と市販対照機を供試して3箇所の水田で試験した結果,開発機は対照機より1段高速で作業できるため,対照機に比べ耕起時の作業能率が20〜30%高く,耕うん体積当たりの比燃料消費量が約10〜20%少なかった。

 

高速耕うんロータリの開発(第3報)
――中型開発機の作業性能――

後藤隆志・堀尾光広・市川友彦・小林智夫・仁尾征夫・須藤孝明

キーワード:ロータリ,高速耕うん,なたづめ,砕土,反転,所要動力,所要エネルギ,性能試験

 

 試作した中型開発機を供試し,つめ軸1回転当たり1回切削を行う市販機を対照機として,所要動力,作業精度等を1〜7箇所の水田で調査した。対照機は高速作業を行うと耕うんピッチの増大により,耕盤の均平に問題があったため,PTO速度段を開発機より1〜2段高速にして比較した。その結果,作業可能な最大作業速度は開発機が対照機より40%程度高いこと,開発機は対照機に比べ,平均でPTO比動力が5〜10%少なく,比推進力が35〜55%小さいこと,中粗粒質の水田で対照機を高速回転すると過剰砕土となるが,開発機ではそれを改善できること,高速域における開発機の反転性能や均平性能は良好で,1段低速の対照機と同程度以上であることなどがわかった。

 

高速耕うんロータリの開発(第4報)
――大型開発機の作業性能――

後藤隆志・堀尾光広・市川友彦・小林智夫・仁尾征夫・須藤孝明

キーワード:ロータリ,高速耕うん,なたづめ,砕土,反転,所要動力,所要エネルギ,性能試験

 

 試作した大型開発機を供試し,つめ軸1回転当たり2回切削を行う市販機を対照機として所要動力,作業精度等を2〜5箇所の水田で調査した。その結果,作業可能な最大作業速度は,開発機が対照機より15〜40%程度高いこと,開発機は対照機に比べ,平均でPTO比動力が約10%少なく,比推進力が20〜50%小さいこと,トラクタ座席の振動レベルが1〜3dB低いことがわかった。開発機の砕土性能は湿潤な細粒質水田では対照機と同程度であったが,その他の水田では対照機より良好であった。開発機の反転性能や均平性能は良好で,1段低速の対照機と同程度であった。

 

農業機械導入利用計画支援プログラムの開発

澤田恭彦

キーワード:作業能率,導入利用計画,設備投資,経済性分析,意思決定,コンピュータプログラム

 

 設備投資の意思決定をバックアップする農業機械導入利用支援プログラムを開発した。設計に当たり,データ入力時に参考値や解説を表示させるなど簡易で実践的に使えることを尊重した。これをインターネット上に公開して農業者らの利用に供したところ,機械化体系の構築,設備投資の経済性分析に適用でき,生産現場での諸問題解決に役立つことが分かった。