65巻2号

研究論文

強制変位作用時の麦稈の反力

平井康丸・井上英二・松井正実・森  健・橋口公一

キーワード:たわみ特性,作物稈の力学モデル,強制変位,反力,初期姿勢,摩擦,麦稈

 

本研究では,作物稈のたわみ特性について,強制変位作用時の麦稈反力を実験,理論により明らかにした。まず,単体の麦稈について強制変位作用時の水平・鉛直反力を計測した。水平反力が強制変位の増加に伴い線形的な増加を示す一方,鉛直反力は初期姿勢により異なる傾向を示した。実験結果から,鉛直反力の傾向の差異については,初期姿勢に依存した摩擦方向の変化が主因として考察された。したがって,作物稈の力学モデルに基づき,麦稈の初期姿勢を考慮したたわみに関する微分方程式を導出すると共に,摩擦の影響を考慮し反力を解析した。解析結果は実測値と良い一致を示し,導出した方程式により初期姿勢を考慮した麦稈の反力の解析が可能となった。

 

強制変位作用時の麦稈一株の反力とたわみ姿勢

平井康丸・井上英二・松井正実・森  健・橋口公一

キーワード:麦稈一株,姿勢評価パラメータ,初期姿勢,反力,たわみ

 

本研究では,先に導出した麦稈の初期姿勢を考慮したたわみに関する微分方程式に基づき,強制変位作用時の麦稈一株の反力,たわみ姿勢の解析を行った。まず,麦稈のたわみ特性が,その初期姿勢に依存することから,麦稈一株の姿勢評価パラメータを導入し,初期姿勢の推定を行った。さらに,推定した初期姿勢に基づき,強制変位作用時の麦稈反力の解析を行った。解析結果は,実測値と良い一致を示し,複数本の麦稈について初期姿勢の影響を考慮した反力の算定が可能となった。また,本論文では,強制変位作用時の麦稈のたわみ姿勢についても考察し,複数本の麦稈の解析について検討した。

 

赤外線を利用したコムギおよびダイズの表面殺菌

濱中大介・内野敏剛・胡 文忠・安永円理子・スロウラ M.フセイン

キーワード:赤外線照射,コムギ,ダイズ,一般生菌,生存率,殺菌

 

コムギおよびダイズ表面に付着する一般生菌に対して赤外線を照射し,殺菌効果を検討した結果,短時間の照射で有効な殺菌効果を得た。また,間欠的に照射することにより,試料表層部が長時間高温状態となることを避け,同時にこれらの微生物数を連続照射と同様に減少させ得たことから,間欠照射により,試料の内部成分への赤外線の影響を軽減できる可能性が示唆された。1粒毎に赤外線を照射した場合,コムギとダイズの表層温度に7秒の照射で50℃以上の差が生じたが,微生物の生存率挙動はほぼ同じ傾向を示したことから,両穀物上の微生物に対する赤外線の殺菌効果は試料表面からの伝導加熱ではなく,主に菌体への放射による直接加熱に起因すると考えられた。

 

イチゴの三次元形状判別

片山哲生・芋生憲司・岡本嗣男・海津 裕・塚野航介

キーワード:イチゴ,画像処理,三次元形状,正準判別,変数増減法,ベイズ判別,ニューラルネットワーク

 

イチゴ形状の判別のための三次元形状特徴量について検討した。まず,三次元形状入力機を用いて三次元座標を求める。次にイチゴの中心軸を設定し,それを基に座標を回転させ方向を揃える。そこで得られた座標を元に8つの特徴量を定義した。特徴量1つでは十分な判別精度が得られなかった。そこで変数増減法により複数の特徴量を選択し,その特徴量を用いベイズ判別とニューラルネットワークを試行した。その結果人為による判断との一致率が90%を超えた。

 

低レイノルズ数型k-εモデルを用いた閉鎖空間内の自然対流解析

田中 晃・田中俊一郎・田中史彦

キーワード:冷蔵施設,数値予測,自然対流,低レイノルズ数型k-モデル,対流熱伝達,乱流熱流束

 

冷蔵施設内における食品の品温予測や施設の温熱設計を行う場合,対流熱伝達の評価が重要になる。本研究では,対流熱伝達を正確に予測するために,粘性底層から遷移域,乱流域までを連続的に予測可能な低レイノルズ数型k-εモデルと乱流熱流束の近似方法としてのWETモデルを組み合わせた数値予測モデルの導入を試みた。この数値予測モデルの有効性を検討するために,閉鎖空間内の自然対流を対象に伝熱面近傍の速度場,温度場,乱流エネルギー分布および対流熱伝達を2次元解析した結果は,既往の実験結果とよく一致した。局所ヌッセルト数の予測結果も実験結果をよく再現しており,本数値予測モデルの適用性が高いことが分かった。

 

加工条件がパーボイルドライスの炊飯特性に及ぼす影響

イスラムMd. ラビウル・清水直人・古市信吾・木村俊範

 

小規模パーボイルドライス製造装置を試作し,低い蒸煮温度条件(80, 90, 100℃)や試料重量条件(75, 120, 200, 400g)が炊飯特性に及ぼす影響を測定した。パーボイルドライスの炊飯特性試験における加熱吸水率,溶出固形物量そして炊飯時間を調査した。炊飯特性試験における加熱吸水率の値が2.5に対応する時間をパーボイルドライス炊飯時間と定めた。蒸煮時間とともに加熱吸水率や溶出固形物量が減少し,パーボイリングプロセスにおける熱負荷によって炊飯時間が長くなった。この炊飯時間と示差走査熱量測定計(differential scanning calorimetry : DSC)による熱測定値(ピーク温度)との間に良好な相関性を見出した。20から24minの炊飯時間が90℃−30minと100℃−10minの蒸煮温度一時間で製造されたパーボイルドライスで得られた。パーボイルドライスの溶出固形物量が本研究における手法に基づく炊飯時斤で6−7%になることを見出した。

 

照明変化にロバストな斑紋表現方法を用いた乳牛の個体識別

森尾吉成・池田善郎・堀部和雄

キーワード:コンピュータビジョン,乳牛,斑紋,個体識別,照明変化,符号化,固有空間

 

照明変化にロバストな斑紋表現方法として,モノクロ画像の近傍ブロックにおける濃淡値変化を符号化する方法について有効性を検討した。KL展開により作成した固有空間においてEuclid距離,余弦および正規化相関を用いて識別を行った結果,濃淡値により斑紋を表現する方法は照明変化の影響を受けたのに対して,符号による表現方法は安定した識別を行え,符号による表現方法の照明変化に対する有効性を示すことができた。しかし,識別に使用する斑紋領域の位置決めに誤差が発生した場合,符号による表現方法の識別率は,濃淡値による表現方法よりも低い値を示すことから,照明変化だけでなく牛の姿勢および体格の変化に対しても安定な斑紋表現方法を検討する必要があった。

 

牛ふん堆肥化反応に関わる微生物群の活性化温度

――比増殖速度の温度依存性――

宮竹史仁・岩渕和則・木村俊範

キーワード:堆肥化,牛ふん,微生物,活性化温度,比増殖速度

 

堆肥化微生物群が最も活性化される温度を見い出すために微生物の比増殖速度を計算し,この温度依存性を検討した。コンポスト化反応槽には1リットル容積の断熱型リアクタを用い,供試材料は大学付属農場より採取した新鮮牛ふんを風乾によって含水率60%w.b. に乾燥したものを堆肥化した。この堆肥化反応における酸素消費速度より比増殖速度を計算した。この結果,微生物増殖は約54℃で最大になることが見いだされた。一般に60℃で観測される反応速度の最大値は,増殖に最も適した54℃で飛躍的に増加した菌数の効果によるものである。

 

い草挿し苗装置の開発(第1報)

――苗の物性の測定および機械化の検討――

門田充司・陶山 純

キーワード:い草,苗生産,挿し苗作業,機械化,物性

 

い草栽培において,セルトレイを用いた苗生産が注目されているが,親株から主茎が2〜3本と新芽が付いた苗を採取してトレイに植え付ける挿し苗作業には多大な労力と時間を要しており,機械化が望まれる作業の一つである。そこで本研究は,い草の挿し苗作業の機械化を目的とし,本報では装置設計のための基礎データを得るために,苗の物性の測定を行った。さらに,その結果を基に装置の仕様,構造を検討した。

 

い草挿し苗装置の開発(第2報)

――装置の試作と性能試験――

門田充司・陶山 純

キーワード:い草,苗生産,機械化,挿し苗装置

 

い草の挿し苗作業を機械化する目的で,第1報ではい草苗の物性の測定と機械化の検討を行った。本報ではその検討結果を基に挿し苗装置を試作し,性能試験を行った。装置は投入された苗を把持し,上下移動してトレイに苗を植え付ける機構と,トレイを移動させる機構および制御部などから構成される。試験の結果,約90%の成功率で苗をトレイに植え付けることができた。

 

技術論文

噴射圧力の違いが植物油の噴霧粒径に及ぼす影響

富樫千之・松森一浩

キーワード:ディーゼル機関,代替燃料,植物油,噴霧粒径,ノズルタイプ,噴射圧力

 

ディーゼル噴射ノズルから噴射される噴霧液滴の大小は,機関性能に影響を及ぼす。一方,ディーゼル機関の噴射ノズルとしてピントルタイプのほか,スロットルタイプやホールタイプがディーゼル機関の燃焼室の形態に合わせて使用されている。そこで,代替燃料として検討している植物油を供試して各種噴射ノズルによる噴射圧力と噴霧粒径の関係を実測した。

その結果,全て供試ノズルの各噴射圧力において,平均噴霧粒径は高動粘度になるにつれて大きくなるが,動粘度20〜40mm2/sから漸増傾向となる曲線で整理できた。また,噴射圧力を高くすると平均噴霧粒径は小さくなるが,スロットルノズルでは14MPa,2種のホールノズルでは20MPaが噴霧微粒化の限界値と考えられた。