64巻6号

研究論文

 

Bacillus subtilis胞子及びAspergillus niger胞子に対する赤外線照射の殺菌効果

濱中大介・内野敏剛・胡 文忠・安永円理子

キーワード:B. subtilis胞子,A. niger胞子,赤外線照射,耐熱性胞子,生存率,直接照射

 

原料穀物表面に付着している代表的な微生物であるB. subtilis胞子,A. niger胞子に対し,生理食塩水に懸濁した状態および乾燥状態で赤外線照射を行い,その殺菌効果を検討した。生理食塩水に懸濁した状態では,B. subtilis胞子では90%の殺菌効果を得るために消費電力1.0kWの赤外線照射で600秒,0.5kWで700〜800秒以上必要としたが,A. niger胞子ではそれぞれ40,130秒の照射で生菌は検出されなかった。乾燥状態での赤外線照射は,B. subitilis胞子,A. niger胞子に対して,ともに高い殺菌効果を示し,90%死滅時間は懸濁状態のそれと比較してそれぞれ1/10,1/3程度まで短縮された。

 

ロータリ耕うんによるスクミリンゴガイ防除に関する基礎的研究

高橋仁康・関 正裕・西田初生

キーワード:スクミリンゴガイ,ジャンボタニシ,ロータリ耕うん,防除,湛水直播,水稲

 

本研究は西南暖地でスクミリンゴガイ〔Pomacea canaliculata(Lamarck)〕が水稲の生育初期に食害を及ぼす問題に対し,ロータリ耕うんによる防除技術を開発することを目的とした。本貝は圃場へ浅く潜土し越冬するが,その8割は深さ6cm以内で,水口周辺,畦畔際,低地部分で生息密度が高い。湛水直播水稲では殻高(貝殻の高さ)5mmの幼貝でも出芽時の芽を食害可能であるため,直播への食害軽減のためには幼貝の防除も必要である。市販のロータリ耕うん機ではピッチを小さく一度に砕土を行った方が殺貝効果が高く,殻高の大きな貝に対する殺貝効果が高い傾向にあった。なお,入水とともに圃場へ流入する貝が多いため,入水初期は水口へ網掛をすることが望ましい。

 

エダマメの呼吸速度予測モデルのMA包装設計への適用

中野浩平・前澤重禮

キーワード:エダマメ,MA包装,呼吸速度,シミュレーション

 

先に報告したエダマメの呼吸速度予測モデルをMA包装内ガス組成変化モデルに組み込み,MA包装設計への適用の可能性について検討した。酸素濃度の計算値は,実測値とよく一致した。一方,二酸化炭素濃度の計算値は,高温となるに従い実測値よりも低い値を示した。これらの結果は,ガス組成の変動に対する酸素吸収速度と二酸化炭素排出速度の応答性の違いに起因していると考えられた。しかし,20℃以下では,定常状態のガス組成の計算値と実測値の差は1%以下であり,本シミュレーションモデルは,エダマメのMA包装設計に有効である。

 

傾斜地におけるトラクタの自律走行(第1報)

−傾斜地用車両モデルの導出と等高線走行のための制御則の設計−

鳥巣 諒・沈  海・武田純一・ムハマド アリ アシュラフ

キーワード:トラクタ自動走行,ニューラルネットワーク,遺伝的アルゴリズム,傾斜地,最適制御

 

傾斜地において等高線に沿ったトラクタの自律走行を実現するため,次の4つのサブ実験を実施した。初めに,ニューラルネットワークを用いて,斜面に於ける車両の入出力を表す車両方程式を導出した。次に,等高線に沿った自律走行を行うため,NNを用いてナビゲーション計画を作成した。更に,最適操舵を決定するために,最適制御理論を適用した。二つの変数 : 横方向変位と姿勢角の2乗和を要素とする2次形式を評価関数とし,これを遺伝的アルゴリズムによって最小化した。最後に,25馬力のトラクタに自動操縦のための操舵装置を装着し,かつ前述のソフトウェアをトラクタ搭載の制御コンピュータに実装した。また,自動追尾式の測距儀を用いて車両ナビゲーション・システムを構成した。最後に,表形式にまとめた最適操作量を用いて,等高線に沿った自動操縦実験を平均斜度14度の牧草地で実施した。自律実験の結果は良好であった。第2報では,斜面上に矩形コースを設定し,それに沿った自律走行について検討する。

 

傾斜地におけるトラクタの自律走行(第2報)

―斜面上の矩形経路に沿った自律走行―

ムハマド アリ アシュラフ・武田純一・鳥巣 諒

キーワード:トラクタ自動走行,軌道生成,矩形走行路,傾斜地,フィードバック制御,フィードフォーワード制御

 

傾斜地において長辺が等高線に平行な矩形路を希望進路として与え,この閉じた矩形コースに沿って走る自律走行トラクタを検討した。これを実現するため次の4つの手順を実行した。1)矩形軌道のトラクタの任意状態を表現するために座標変換則を構成した。2)等高線方向と斜面を垂直に昇降する方向には1報で設計した等高線に沿ったフィードバック制御則を援用した。他方,矩形コースのコーナリング : 4分の1回転にはフィードフォーワード制御を適用した。3)次に,閉じた矩形コースに沿った自律走行を行うために,フィードバックとフィードフォーワード制御を組み合わせて総合的に制御した。4)最後に,この複合制御システムを実装したトラクタを用いて斜面牧草地で実機実験を実施し,良好な結果を得た。

 

画像処理による運搬車両の自律走行(第3報)

――交差点検出・進入・旋回手法――

森本英嗣・村主勝彦・梅田幹雄

キーワード:画像処理,自律運搬車両,HSI変換,座標変換,デッドレコニング

 

本報では画像処理による交差点マーカの検出およびデッドレコニングによる交差点への進入・旋回手法を提案する。画像情報にはHSI表色系を適用し,各要素に対して2値化,Hough変換を用いて交差点マーカの検出を行った。さらに画像座標系と車両座標系との座標変換を行い,車両から交差点までの距離を推定した。交差点進入・旋回手法にはデッドレコニングを適用し,位置姿勢検出センサとして左右履帯のスプロケットに装着したロータリエンコーダを採用した。供試農道における自律走行試験の結果,開発したマーカ検出法は処理速度8.64Hz,最大検出誤差0.45mで交差点を検出した。また交差点進入における進行横方向誤差は最大0.33m, rms 0.063m,進行方向誤差は最大0.54m, rms 0.096mであった。

 

NMG染色米の光学画像によるとう精度の数値化と精米品質

劉 洪津・渡辺兼五・東城清秀

キーワード:NMG染色法,画像解析,とう精度,品質指標値

 

本研究では,米のとう精歩留りを5段階に設定して精米を行い,NMG染色法に従って染色した試料をデジタルカメラで撮影し,その画像から胚乳,糊粉層,皮層の投影面積を計算し,その比率によってとう精度を数値化する手法について検討した。また,数値化されたとう精度指標値と米の近赤外分析測定値,外観性状,米飯物性の測定値及び精米粉糊化特性値との相関を調べた。その結果,とう精度指標値ととう精歩留りの間に高い相関が得られた。また,とう精度指標値は米の食味推定値,白度上昇と相関があることを明らかにした。

 

技術論文

下方移送縦型回転米選機の選別特性

モンドル,R・赤瀬 章

[キーワード] 縦型米選機,下方移送型,玄米,シリンダ回転数制御

 

下方移送型の縦型回転米選機の選別特性を調べ,上方移送型と比較した。主な結果は次のとおりである。

 シリンダとらせん筒の回転数がそれぞれ−44,−320rpmである時,材料の供給速度が30kg/分以下ではそれが高いほど選別性能が高くなる。下方移送型ではシリンダの回転方向がらせん筒と同じ時,選別性能が高い。上方移送型では反対の時高い。供給速度が高くなると,最大選別性能を与えるシリンダ回転数は低くなる。このことを利用して,供給速度に応じてシリンダ回転数を制御する基礎試験を行った結果,供給速度が変動してもほぼ一定で高い選別性能が得られた。

 

太陽光発電エネルギで動作するビニルハウス側窓開閉装置のモデル実験

杉浦浩文・谷野 章・土屋 和・飯本光雄*4・田川彰男

キーワード:太陽光発電,電気エネルギ,ビニルハウス,側窓開閉装置,太陽電池容量,蓄電池容量

 

太陽光発電によって得られた電気エネルギで動作するビニルハウス側窓開閉システムのモデル実験装置を製作し,動作を確認した。2000年9月18日(9/18と略記)から10/16および同年11/5から12/3の2試験期間において,モデルシステムは太陽光発電エネルギのみで支障なく動作した。1日あたりの消費電力量のうち,待機電力量がそのほとんどを占めた。特に,側窓を開いて上限待機する時間帯では,側窓を閉じて下限待機する時間帯のおよそ2倍の電力を消費した。また,本試験期間の気象条件に限定し,側窓開閉装置が安定動作するために必要な太陽電池容量は9/18−10/16では18.6W, 11/5−12/3では17.2W,蓄電池容量は9/18−10/16では15.6Ah, 11/5−12/3では11.4Ahと算定された。

 

粘弾性評価方法による豆腐のテクスチャ評価

程 永強・清水直人・木村俊範

キーワード:大豆カード,豆腐,硬い豆腐,粘弾性試験,テクスチャ,マクスウェル模型

 

豆腐のテクスチャを評価するために,応力―ひずみおよび応力緩和試験を行った。異なる豆乳濃度および凝固剤(グルコノデルタラクトン(GDL)と硫酸カルシウム)で実験室において豆腐を製造した。同じ豆乳濃度の場合,GDLで凝固した豆腐の破断応力は硫酸カルシウムのより高かった。二つのマクスウェル模型を含む4−要素模型は応力緩和曲線に合うことが分かった。豆乳濃度の増加に従って,四要素模型の弾性パラメータが顕著に変わらなかったの対して,粘性パラメータが増加した。豆腐の粘弾性挙動は豆乳の増加に伴う豆腐構造の増強を示した。弾性より粘性パラメータが豆腐の応力−ひずみ挙動に大いに寄与したと思われる。これらの結果は豆腐テクスチャ評価に粘弾性評価方法が有効であることを示した。この方法を用いて,中国の市販豆腐のテクスチャ評価を試みた。中国市場において非常に硬い豆腐が流通していることが分かり,硫酸カルシウムを凝固剤とする場合,絹ごし豆腐の製造方法で中国の市販豆腐に近いテクスチャの豆腐を製造できることを示した。

 

自脱コンバイン用収量計測システムに関する研究(第1報)

―光学式センサと重量式センサの収量モニタへの適用―

帖佐 直・小林 恭・大黒正道・柴田洋一・大嶺政朗

キーワード:自脱コンバイン,収量モニタ,光学式センサ,重量式センサ,併用,精密農業

 

本研究は,自脱コンバインのための収量モニタリング技術を確立することを目的とする。穀粒流量の計測方式として光学式センサを,穀粒質量の計測方式として重量式センサを対象に,その有効性を検討した。

 光学式センサの出力電圧変化と連続的に回収した籾質量から算出される穀粒流量との間には,正の相関が認められ,連続的な計測を行う穀粒流量センサとして有効であった。旋回時や停止時など穀粒タンク内への籾流入がない条件下におけるタンク内の重量式センサからの出力電圧と籾質量との間には正の相関が認められ,タンク内の籾質量を間欠的に計測するセンサとして有効であった。さらに,両者を併用する収量の計測方法を考案し,これにより計測精度が改善した。試算の結果では,約80%の割合で10%以下の誤差範囲に収まった。

 

速報

バイオガス利用燃料電池に関する研究

西崎邦夫・梅津一孝・高橋潤一・安達淳治・小林 晋

キーワード:ふん尿処理,バイオガスプラント,燃料電池