64巻4号

研究論文

 

グローサシューの最適形状に関する研究(第2報)

――推進力,転がり抵抗及び牽引力の実測値――

王 秀崙・伊藤信孝・鬼頭孝治

キーワード:クローラ,シングルグローサシュー,グローサ高さ,グローサ厚さ,走行性能

 

本研究では,グローサ厚さと高さによるグローサシューの推進力,転がり抵抗および牽引力への影響を調べ,最大牽引力を発揮できるグローサシュー形状を見出すため,グローサシューの推進力と沈下量を測定する実験装置を製作した。モデルグローサシューを用い,そのグローサ厚さと高さを変化させて土壌槽において実験を行った。モデルグローサシューの推進力と沈下量および土壌パラメータを測定し,転がり抵抗と牽引力を算出した。実験結果より,グローサ厚さと高さが推進力の発生に大きく寄与することが分かり,グローサ厚さが薄いほど大きな牽引力を発揮でき,最大牽引力を発生するグローサ高さが存在することが確認された。

 

トラクタ操作の習熟過程に関する人間工学的研究

―歩行型トラクタによるロータリ耕うん作業―

M. ファイズ シュアイブ・森泉昭治・清水 浩

キーワード:トラクタ操作,初心者,操作技能,生理的負担,学習曲線

 

本研究はトラクタ運転者の操作技能に関する基礎的データを求め,歩行型トラクタ操作の習熟過程を人間工学的視点で分析するために実施された。

実験結果では,作業誤差レベルと初心者の生理的負担との間に相関関係があることが注目される。初心者は運転操作実験の初期に作業誤差が大きいが,これは高い精神的緊張と不慣れな動作に起因すると推察される。初心者のトラクタ操作時の生理的負担は,作業誤差の減少と共に軽減した。諸分析結果より,初心者が熟練者の技能レベルと生理的負担に到達するには,正味24時間の運転操作時間が必要であると推定された。また,トラクタ操作の習熟過程は3段階に分け得ることが分かった。

 

特産大豆丹波黒枝豆の選別に関する研究(第1報)

――形状解析による粒数,粒種,湾曲莢の判別――

徳田 勝・山本博昭・川村恒夫・伊藤博通・松山善之助

キーワード:画像処理,枝豆,形状解析,黒大豆,粒数,粒種

 

本報では,丹波黒大豆枝豆の粒数,粒種(未熟粒,欠粒,正常粒),湾曲莢判別を行うための画像処理を用いた形状解析アルゴリズムの開発を目的とする。判別には枝豆上面画像を用いた。果柄部と先端部の2点を結ぶ長軸の検出法として,図心半径と頂角補正による検出法を考案した。さらに,湾曲莢を検出するための特徴量として,図心変位を採用した。粒数を判別する手法として,長軸沿いの短軸距離による曲線の極大値を利用した手法を考案した。736莢を用いて判別実験を行った結果,粒数,粒種判別では98.8%の正答率を,湾曲莢判別では100%の正答率を得た。

 

RTK−GPSとFOGを使用したほ場作業ロボット(第4報)

――最適制御を適用したステアリングコントローラ――

木瀬道夫・野口 伸・石井一暢・寺尾日出男

キーワード:操舵制御,最適レギュレータ,曲線追従,高速走行

 

本報では新しい操舵制御アルゴリズムについて報告する。既報において開発したステアリングコントローラは主に直線経路を追従させることを目的に開発したものであり,曲線追従の精度を保証するものではない。しかし,本システムのロボットトラクタとしての完成度を高めるためには,農道移動や任意経路の走行を可能にする必要があり,曲線追従精度の向上が不可欠である。本報では最適レギュレータを適用した操舵制御アルゴリズムを開発し,実機実験によって従来法であるPI制御器と曲線経路への追従精度の比較を行った。直角経路,正弦波経路,そして前報で考案した前進旋回の経路に対して精度比較を行った結果,すべての経路において従来法よりも精度よく経路に追従できることがわかった。また3.0m/sの高速走行の試験も行った結果,従来法と比較してr.m.s. 誤差で38%精度が向上した。

 

技術論文

 

繋ぎ飼い用搾乳ロボットシステムの開発研究(第3報)

――ティートカップ装着アルゴリズムと開発システムの適応性試験――

八谷 満・平田 晃・桑名 隆・荊木義孝・比佐慶夫

キーワード:ロボット,マニピュレーション,装着プロセス,ティートカップ,位置決め,搾乳牛

 

開発した4自由度多関節型ロボットマニピュレータの冗長性を利用して,ティートカップの装着・解放アルゴリズムを構築した。装着では,乳頭の微妙な傾斜や運動の多様性に対応して,Z軸動作過程でローカルセンサによる検出位置を原点とするXY軸方向にリサージュ波形振動をエンドエフェクタに与えながら,カップ内に真空を適用する方式とした。

開発した搾乳ロボットシステムを用いて,搾乳牛2頭を供試して自動搾乳試験を実施した。牛体位置追従機構は,牛体と相対的な位置関係にある乳頭に接近するための位置情報としてはほぼ十分であった。また,そこで生じた位置偏差に対して,ローカルセンサはカップ中心を乳頭端位置に合致させる機能を果たした。牛体位置追従機構により受動的に牛体を捕捉し,これと連結した自動搾乳ユニットは円滑に乳頭の動きに追従し,60[s]程度ですべてのティートカップの自動装着を達成した。装着時においては,設定圧48[kPa]の真空適用後のカップ内負圧降下は20[kPa]で時間は0.2[s]以内に留まり,装着までの空気流入量をほぼ最小限に抑止することができた。これらの試験結果より,本ロボットシステムは実用的な搾乳システムであることを確認した。

 

青刈りトウモロコシの省力化収穫調製技術の開発(第1報)

――細断型ロールベーラの開発――

志藤博克・山名伸樹

キーワード:青刈りトウモロコシ,省力化,省人化,細断材料,ロールベール,ロールベーラ

 

青刈りトウモロコシの収穫・調製作業の省力化と省人化を図るために,10数mmに細断されたトウモロコシを直径90cmのロールベールに成形でき,ワンマンオペレーションが可能な細断型ロールベーラを開発した。こぼれを生じにくい成形室構造と幅広ネットによる結束により成形が困難な細断材料のロールベール化に成功した。44kWのトラクタと1条刈フォレージハーベスタを用いてトウモロコシの収穫作業に供試した結果,梱包ロスは平均1.6%と少なく,乾物密度が平均208kg/m3の高密度で良好な形状のロールベールの成形が可能であった。試作機はトウモロコシの倒伏がない場合は作業速度1.1m/sでの作業が可能であった。