第61巻5号

研究論文

画像処理によるイチゴ形状の判別(第1報) ――果実方向の測定手法――

木下 統・永田雅輝

キーワード:画像処理,イチゴ,形状,判別,果実,方向,特徴量

画像処理を用いてイチゴ形状の判別を自動化する際に,果実の方向をどのようにして測定するのかについて検討した。ここでは,一般的な画像処理ソフトウェアで演算可能な特徴量を用いた三つの手法について,それらを比較・検討して,より有効な一つの手法の選択を試みた。その結果,提案した三つの手法のうち,「重心法」がもっともすぐれていることがわかった。この手法で実際に測定した果実の方向と,人間が判断した果実の方向との差は,10°程度だった。さらに,この手法を用いることで,果実がどのような方向で供試されても,果実形状の特徴量を測定できると考えた。

切り花の呼吸速度および水収支の計測

松嶋卯月・大下誠一・瀬尾康久・川越義則・中村謙治

キーワード:カーネーション,切り花,呼吸速度,蒸散速度,吸水速度,計測システム

切り花の老化過程を呼吸代謝および水収支から総合的に理解することを目的として、温湿度一定条件下で、切り花の呼吸速度、蒸散速度および吸水速度を連続および非破壊で計測するシステムを構築した。本計測システムを用いて老化の過程が異なる2種類のカーネーションの呼吸速度および水収支を計測した結果、両者の相互関係から生理的状態変化を説明することが可能となった。また、呼吸がクライマクテリック型のカーネーションでは、マクロな観察結果から細胞レベルの生理的状態変化を推測し、それを基に萎凋現象を理解することが可能となった。

水田における移植水稲苗の検出 ―反射光の影響を受けない画像処理法―

陳 兵旗・東城清秀・渡辺兼五・藍 房和・B.K.Huang

キーワード:画像処理、微分処理、ライン濃度解析、ライン色解析、反射光のノイズ

水田を認識しながら走行する田植ロボットでは、水田に移植した水稲苗を検出することが必要である。水田では水面反射光があるため、水稲苗を検出する際に反射光の影響を避ける必要がある。水面反射光があっても限定された領域では苗と水面との相対色や濃淡関係は変わらないと考えられる。本研究では水田画像の各ラインを上記の限定領域と仮定して濃淡画像においてライン上の画素の濃淡関係に着目したライン濃度解析法とカラー画像において各RGB値の大小関係に着目したライン色解析法および濃淡画像において画素の8近傍領域の濃淡関係に着目した微分処理法によって苗の検出を検討した。その結果、3種の検出法とも苗を的確に検出し、反射光や泥などによるノイズを抑えることができた。

土壌マッピングにおけるグリッド内サンプリングサイズの検討

李 民贊・笹尾 彰・澁澤 栄・酒井憲司

キーワード: 土壌マッピング, グリッドサンプリング, 硝酸態窒素, サンプリングサイズ, 標本平均, 母集合平均, 中心極限定理

グリッド内代表値を推定するため, トウモロコシ生育中の畑地における硝酸態窒素NO3-N(非正規分布, 試験区画:4.2×4.2F, 分割セルサイズ:0.6×0.6F)の分布,及び水稲収穫後の乾土水田におけるNO3-N(正規分布, 試験区画:10×10F, 分割セルサイズ:1×1F)の分布を取り上げ, 任意抽出による標本平均の推定誤差とグリッド内サンプリングサイズの関係を解析した。その結果, 畑地におけるNO3-Nの標本平均の精度は正規分布を仮定して推定可能であった。さらに, 同一のサンプリングサイズにおいては, 畑地の標本平均推定誤差は水田の誤差より大きかった。また, 地中深度とともに畑地では顕著な差が現れたが, 水田では大差なかった。本実験における畑地では標本平均推定誤差を20%以下に押さえるために, 1グリッド内で少なくとも10のサンプリングサイズが必要であった。

GA-PLS-ANN回帰モデルによる茶のアミノ酸同時予測 −近赤外域吸光度へのケモメトリックスの適用−

後藤正・村瀬治比古・池田善郎

キーワード:茶,近赤外分光分析,アミノ酸,ケモメトリックス,遺伝的アルゴリズム,部分最小自乗回帰,人工ニューラルネットワーク

茶生葉の乾燥・粉体試料から得られた近赤外域吸光度に遺伝的アルゴリズム(GA),部分最小自乗(PLS)回帰法およびニューラルネットワーク(ANN)を組み合わせたケモメトリックスの手法を適用し,個別アミノ酸のグルタミン,アルギニン,テアニンおよびこれらを含む7種のアミノ酸の合計含有量を同時に予測する検量モデルを構築した。検証試料において実測値とモデルによる予測値との間のグルタミン,アルギニン,テアニンおよび総アミノ酸についての相関係数は,それぞれ0.952, 0.874, 0.965および0.991を示し,高い予測精度が得られた。この融合モデルGA-PLS-ANNは,少数の最適な変数から得られた潜在変数を利用することで,従来の重回帰(MLR)モデルと比較してモデルの頑健性が向上するとともに,非線形関係に適合した。

キャベツ収穫ロボットの開発(第1報) −ロボットの作業速度−

村上 則幸・大塚 寛治・井上 慶一・杉本 光穂

キーワード:収穫,キャベツ,ロボット,マニピュレータ,油圧, 画像処理

キャベツ選択収穫作業の省力化を目的として,キャベツ収穫ロボットを開発した。ロボットはCCDカメラ,軽量な油圧駆動4自由度極座標形マニピュレータ,収穫ハンド及び画像処理や制御のための並列処理コンピュータを搭載し,結球部の球径から判定した収穫適期のキャベツを,収穫ハンドによって選択収穫する。ロボットの収穫作業速度を,マニピュレータの動作速度を計算と実験によって調べて,推定した。その結果,ロボットは,キャベツ1個あたり,平均にして,最高22sの速度で収穫することができる。

キャベツ収穫ロボットの開発(第2報) -ハンドによる収穫実験−

村上 則幸・大塚 寛治・井上 慶一・杉本 光穂

キーワード:収穫,キャベツ,ロボット,ハンド,油圧,画像

キャベツの選択収穫の省力化を目的として,キャベツ収穫ロボットを開発した。ロボットは,4自由度極座標形油圧マニピュレータに取り付けた収穫ハンドによってキャベツを選択収穫する。開発したハンドは,キャベツの把持指と,茎葉の切断指を持つ4指の油圧駆動グリッパである。収穫実験の結果,収穫適期球の収穫率は40?71%であった。そのうち,適切な位置で茎葉を切断して収穫したものは60?71%である。ロボットの作業所要時間は,初期化と画像処理に平均6.5s,収穫が,キャベツ1個あたり平均32.1sであった。

ロボットによる結球野菜の選択収穫の研究(第3報) −ロボットの構成とレタスの物理性−

丁碩舷・藤浦建史・土肥誠・北村豊・月谷香織・上田弘二

キーワード:ロボット,結球野菜,レタス,選択収穫

収穫適期の結球レタスを選択的に収穫するロボットの技術開発を目的として,ロボットを試作するとともに,収穫に関連するレタスの物理性を検討した。試作したロボットは,畝をまたいで走行する車両に,直角座標マニピュレータ,レタスを認識するための三次元視覚センサ,収穫ハンド,搬送部,32ビットパソコンを搭載したものである。物理性については,茎部の切断力,茎部を横に引いたときの根の保持力,ハンドを外葉の上に降下させたときの地面反力を測定した。その結果、このロボットに用いた収穫方法は有効であると考えられた。また,ハンドを降下させたときの地面反力から地面の高さを求めることが可能であった。

キクの挿し木ロボットのための挿し穂分離・供給システムの開発

近藤直・八木洋介・門田充司

キーワード:挿し木,キク,視覚センサ,ロボットシステム,近赤外画像,画像認識

本研究では,キクの挿し木作業の自動化を目的として,水揚げ後の穂束を自動的に分離し,挿し木ロボットヘ穂を一本ずつ供給可能な分離・供給システムの開発を行った。本システムは主として5自由度マニピュレータ,水槽,モノクロTVカメラで構成される。まず,穂束を水槽内に投入後,ソレノイドとスプリングの作用によって水面に波をおこし,穂を分離した。その後,TVカメラで個々の穂の形状,方向,寸法等を認識し,孤立度の高い穂から順に,長いフィンガを装着したマニピュレータで一本ずつ把持および搬送を行った。その結果,約90%の成功率で穂に損傷を与えることなく分離・供給が可能であった。

技術論文

スクリュ形脱穀機構の脱穀作用について(第1報) −脱穀部負荷計測装置の開発−

高橋弘行・市川友彦・杉山隆夫

キーワード:普通コンバイン,スクリュ形脱穀機構,脱穀負荷,所要動力,こぎ胴仕様,負荷計測装置

スクリュ形脱穀機構を有する軸流形の普通コンバインについては、直流形のものに比べてこぎ室内での作物の滞留時間が長いため、大きな動力消費が避けられない。近年、このタイプのコンバインの傾向の一つとして搭載機関の高出力化が図られているが、こぎ胴の仕様を見直すことで所要動力を低減させることも必要である。本研究は、スクリュ形脱穀機構において、所要動力の低減を目的に実施した。第1報では、こぎ胴の構成要素に作用する力を測定するための計測装置を開発し、この装置をコンバインに搭載して機能を確認するとともに、こぎ室内での負荷の変動について報告する。

スクリュ形脱穀機構の脱穀作用について(第2報) −こぎ胴構成要素に作用する力とトルク・脱穀性能の関係

高橋弘行・市川友彦・杉山隆夫・宮原佳彦

キーワード:コンバイン,スクリュ形脱穀機構,脱穀負荷,所要動力,こぎ胴仕様,負荷計測装置,脱穀性能,穀粒損失

スクリュ形脱穀機構の脱穀時の所要動力の低減には、こぎ歯やスクリュに作用する力を測定し、それらがこぎ胴軸トルクと脱穀率等の脱穀性能にどれだけ寄与しているかを考察することが必要である。本報では、先に報告した計測装置を用いて測定したこぎ歯回転方向の力およびスクリュ円周端部接線方向の力からトルクを推定し、こぎ胴トルク全体に対して負担している割合を考察した。また、脱穀して受網から漏下した穀粒の分布状態を調査した。次に、こぎ歯やスクリュの仕様を変えることができるこぎ胴を搭載した室内脱穀装置を試作し、こぎ胴の仕様を変えてこぎ歯に作用する力や脱穀性能を測定した。これによるこぎ胴の所要動力低減法を提案する。

バーレー種タバコ用ミシン葉編み機の開発(第1報) − 連縄縫い付け機の試作 −

服部信義・前川良明浅井甲子男・長村一男 ・三宅康彦

キーワード:タバコ,タバコ葉,葉編み機,縫合,ミシン葉編み機,連縄

バーレー種タバコの葉編み作業を省力化する目的で,新たなミシン葉編み機の試作研究を行った。試作機はコンベヤと編み込み部から構成される。コンベヤは30mmずつの間欠駆動となっており,コンベヤ上に所定ピッチ上で並べた葉と,懸吊する連縄とを縫合することで連を形成する。葉編み作業は2名または3名で行い,処理能力1.3〜2.1分/連で,従来の連編み機の56〜73%の時間短縮が見込まれた。その他,乾燥管理や葉抜き作業において,ミシン葉編みの特徴が効果として現れた。

自動テスト精米機の開発(第1報) −開発機の概要−

牧野英二・杉山隆夫・市川友彦・野口俊輔・石井 勇

キーワード: 米、品質、精米、自動

正確な米品質測定を行うための前処理として高精度な精米ができる自動テスト精米機を開発した。この自動テスト精米機は米の精米特性を測定し、精米工場等での精米作業に有用な情報を得ることもできる。開発機は、縦形摩擦式の精米機であり、少量のサンプルを高精度に自動的に精米できる。開発機は、米品質測定サンプル精米を行うため精米目標歩留りと初期精米抵抗値を設定すれば目標精米歩留りまで高精度に自動的に精米する精米歩留りモードと、米の精米特性を測定するため設定の精米抵抗値で設定回数だけの精米工程を繰り返し、自動的に精米する精米回数モードの2つの方法で精米できる。