第61巻3号

研究論文

被けん引自由転動剛性車輪の法線応力予測モデル

大友功一・岸本 正

キーワード:自由転動車輪,剛性車輪,法線応力,土壌応力,応力モデル

自由転動剛性車輪の法線応力予測モデルを提案し,室内実験でその予測精度を検討した。法線応力の予測にはBekkerの応力式を導入した。この応力に関する速度の影響分はPopeの速度モデルを組み込むことで対応した。スキッドの予測には剛性車輪の実験から得た経験式を用いた。またモデル化していない接線応力は,接線応力と法線応力との比から実験式を求めて予測した。土壌の復元現象による応力は未解析で,このモデルに組み込むに至っていない。広範囲に荷重を変えて実証実験を行ない,計算値と実測値でよい一致が見られた。

田植ロボットの視覚部に関する研究(第4報) ―コンクリート畦畔の検出―

陳 兵旗・東城清秀・渡辺兼五・藍 房和・B.K.Huang

キーワード:田植ロボット、コンクリート畦畔、エッジ検出、ラベリング、クラスタ併合操作、マスク処理、畦の境界線の検出

田植ロボットの走行上不可欠な畦の検出についてコンクリート製畦畔を目標畦、田端畦と側面畦に分類して検討した。改良Kirschオペレータを利用した微分処理によって各画像を2値化した。ラベリング操作と併合(クラスタリング)操作によって畦の境界部分の連結成分だけを抽出した。目標畦の処理では端点を検出した場合には、端点の位置まで連結成分を併合した。田端畦の処理ではラベリング操作の前に畦の境界線の位置を判断し、ノイズを除去した。併合操作の後、既知点を通るハフ変換によって畦の境界線を検出した。目標畦の端点を検出した場合には、端点まで畦の境界線を検出し、端点から田端畦の境界線を引いた。

画像情報によるキャベツセル成型苗個体群の非破壊生育計測(第2報) ニューラルネットワークモデルによる地上部生育計測

鈴木敏征・村瀬治比古・穂波信雄

キーワード:キャベツセル成型苗,個体群,被度,明度標準偏差,

本研究は,画像特徴量と地上部生育量との関係モデルを用いて,セル成型苗個体群の非破壊生育計測技術の開発を行うことを目的としている。本報では,セル成型苗画像の被度及び明度標準偏差を入力としたニューラルネットワークを用いて,キャベツセル成型苗個体群の葉面積及び地上部新鮮重の非破壊計測モデルを構築し,その適合性について検証した。検定用個体群における,葉面積及び地上部新鮮重のニューラルネットワークモデルによる予測値は実測値とよく一致し,キャベツセル成型苗個体群の葉面積及び地上部新鮮重の非破壊計測が可能であった。予測値と実測値間の決定係数は0.94及び0.95と高く,第1報で報告した被度モデルより良好な適合性が得られた。

農業用ロボットのマン・マシン協調システム(第3報) ― 人間を対象とした棚栽培における極座標マニピュレータの制御実験 ―

門田充司・近藤 直

キーワード:安全性,作業効率,ロボット,マニピュレータ制御,センシング

第1報および第2報では,安全かつ効率的なロボットシステムを最終目標に,危険度関数の検討とロボットの制御のシミュレーション,センシングシステムによる人間と背景との識別ならびに人間の検出を行ってきた。本報では,ブドウ管理・収穫用ロボットにセンシングシステムを搭載したロボットシステムを構成し,危険度関数を含む制御アルゴリズムを用いて,圃場でマニピュレータの制御実験を行った。さらに,シミュレーションによって作業効率の検討を行った。その結果,安全かつ効率的に作業が行える本ロボットシステムの有効性が確認できた。

天候の短期予測に基づく農作業スケジューリングに関する研究(第2報) ― サトウキビ収穫スケジューリング問題への応用 ―

イ.ワヤン.アスティカ・笹尾 彰・酒井 憲司・澁澤 栄

キーワード::サトウキビ機械収穫作業、作業スケジューリング、遺伝的アルゴリズム、収穫機 械最適配置、短期天候予測

本報では前報で作成したSFSW スケジューリングアルゴリズムを沖縄県の石 垣島サトウキビ生産システムに応用し、サトウキビ収穫スケジューリングを行っ た。天候予測のリスクから生じるコストは次の二つが考えられる。その一つは貯 蔵ロスに伴う貯蔵コストであり、他の一つは雨天により作業者および工場が遊休 状態になることによるペナルティコストである。スケジューリングは二段階で行った。第一段階は毎日の最適収穫量を決め、第 二段階では収穫するべき畑およびハーベスタの配置を決めた。自己発最適化しないで自分で決めたスケジュールと比べた結果、SFSW によるスケジュールは最良の結果を得た。また、毎日更新したスケジュールと更新しなかったスケジュールを比較し、更新することの有効性を示した。

深耕アップカットロータリ耕うんの土壌かく拌性(第2報) ―耕うん実験との比較による土壌かく拌シミュレーションモデルの検証―

小野寺一宏・片岡 崇・太田義信・広間達夫・渋沢 栄

キーワード: ロータリ,耕うん,土壌かく拌性,モデル,耕うん実験,ロータリカバー

耕うん後の土壌かく拌性は作物生育と関連が深く,その評価は極めて重要な事項といえる。本報では,第1報で示したロータリ耕うんの土壌かく拌シミュレーションモデルについて,耕うん実験との比較から検証を行った。耕うん実験は,畑地圃場,水田圃場それぞれについて行った。その結果,計算モデルは上層及び中層の土壌かく拌性について,よく表現できることがわかった。また,この計算モデルにより,耕うんづめによる投てき性を十分に活かしたロータリカバー形状について提案を行った。

生シイタケの呼吸特性

胡 文忠・安永円理子・秋元浩一・内野敏剛・中野浩平

キーワード: 生シイタケ,呼吸速度,呼吸商,動的ガス環境,鮮度保持

生シイタケの動的ガス環境下における呼吸特性を5℃,15℃,20℃,30℃の温度下で検討した。嫌気呼吸を誘発する条件は,キュウリ果実のようにガス濃度の変化速度ではなく,酸素濃度レベルに支配され,しかも,その限界酸素濃度には温度依存性があることを明らかにした。また呼吸速度にも温度と正の直線関係を見出した。

太陽熱を利用する夜間冷房システムの開発

芋生憲司・小牧隆志・竹永博・柏嵜勝・岡本嗣男・鳥居徹

キーワード:太陽熱,太陽エネルギー,夜間冷房,吸収冷凍,間欠吸収冷凍機

温室の夜間冷房を行うために大量の電力が消費されている。本研究では太陽熱エネルギーを利用する夜間冷房システムを開発した。これは間欠吸収冷凍システムの一種であり,太陽熱は溶液の濃度差のかたちで昼間蓄積され,そのエネルギーで夜間の冷房が行われる。システムは再生・放熱器,溶液槽,蒸発・凝縮器の主要な3要素から構成される。再生・放熱器は昼問,太陽熱集熱器としてはたらき,夜間には吸収熱の放射を行う。このユニットには平板型集熱器を改造して用いた。実験結果より,開発したシステムの基本的な動作を確認した。


技術論文

黄色種タバコ用収穫機に関する研究(第2報) −収穫作業試験と品質への影響−

春園輝夫

キーワード:タバコ収穫機,葉たばこ,黄色種タバコ,こき落し機構,乾燥用吊り具

試作した試験機T型を用い,各作業装置の作業精度を調査した。収穫対象葉に対するこき落とし作用を受けた割合(葉もぎ率)は 78.1〜93.3%であり,葉もぎされた葉の中で収容袋まで搬送された割合(搬送葉率)は 79.2〜93.7%であった。乾燥に対応できない重傷葉の発生割合は 0.4〜2.4%と少なかった。作業速度を 1.6,2.0,2.4km/hの3区に分けて作業精度を調査し比較したが,区間に大差はなかった。現在栽培されている黄色種タバコの5品種を供試して,収穫作業精度を調査したいずれの品種にも適用可能であり,葉もぎ率と搬送葉率および収穫率(葉もぎ率×搬送葉率)の区間差は僅かであった。試験機T型を用いた収穫作業時間を計測し,労働時間を算出した結果 10a当たり 12.9hとなった。この値を全国的な生産費調査結果の同時間と比較したところ,65.6% 省力の可能性が得られた。試験機T型1台で処理可能な収穫面積は,約 6.4haであることが分かった。機械収穫葉について,葉たばこの品質を手収穫葉と比較したところ,収穫時に葉が濡れていない場合は差が少なかったものの,収穫時に葉が濡れている場合は機械収穫葉の価格はやや低かった。