第57巻第5号論文要旨

研究論文

せん断リング試験法における付属突起部の土壌定数への影響

    高橋照夫・福地 博

キーワード:せん断リング,突起部,垂直応力,粘着力,内部摩擦角

本報は,せん断リング試験法の利用向上を図るため,付属突起物の形状寸法が土壌のせん断定数に及ぼす影響を明らかにし,せん断定数の適切な算出法を見出すために行ったものである。実験の結果,突起部の寸法の影響は突起部内外周とリング底面の両面積モーメントの非に比例して粘着力の値に現れた。一方内部摩擦角への影響は小さかったが,これは土壌内のせん断における垂直応力の分散による効果と思われる。それらの点を考慮して,突起部内外周面の面積及び面積モーメントを用いたせん断応力式によるせん断定数の算出方法を示した。

 

傾斜地における装軌車の斜面横行特性

    渡辺啓二・北野昌則・柿野忠嗣・片平辰義

キーワード:装軌車,傾斜地,横行特性,懸架装置,数学モデル

独立懸架装置を有する装軌車の運動性能をより正確に考察するために, 懸架特性を考慮した運動方程式を導出するために,傾斜地において車両が斜面横行する場合の走行特性について,模型実験と数値解析の両面より比較検討を行った。その結果,理論モデルの妥当性が確かめられるとともに,傾斜横行特性に及ぼす傾斜角や重心位置,履帯と路面間の摩擦係数,荷重分布特性の影響が明らかになった。

 

履帯式車両の旋回性の評価について(第4報)  *各種旋回方式とコンバインの作業能率

    白  捷・伊藤信孝・鬼頭孝治・王 秀崙

キーワード:収穫作業パターン,中割り方式,信地旋回,ピボット旋回,上部旋回,超信地旋回,緩旋回

コンバイン収穫作業においては作物の作付け条列端で行う旋回時には,収穫作業は行われず,専ら方向転換のための機体移動のみが行われる。したがって旋回時には収穫作業は中断した状態にあるため,旋回動作回数の削減,旋回時間の短縮は作業効率の向上に大きく寄与する。本報では信地旋回を基準に,超信地旋回,上部旋回,ピボット旋回,緩旋回の各旋回方式について,一定形状比を有する短形圃場を対象に,収穫作業パターン,所要総作業時間,所要総走行距離を計算比較し,優位性に検討を加えた。

 

その場反転プラウに関する研究(第3報)  *れき土の運動解析及び加速度の測定

    王 世学・上出順一

キーワード:プラウ,反転,その場,れき土の運動,軌跡,速度,加速度,移動座標,固定座標

本報ではプラウの反転性能にかかわるれき土の運動を解析する目的で,土を剛体としてあつかい,れき土の運動軌跡,速度及び加速度の解析を行なった。また,れき土に埋設した加速度計よってれき土の加速度を測定し,加速度変換式を用いて,固定座標x,y,z軸方向加速度及びその合成加速度を求めた。さらに,加速度からの数値積分により求めたれき土の変位を設計理論値と比較し,れき土の運動を運動学的に検討した。

 

ゲル被覆種子の実用化に関する研究(第2報)  *自動型被覆加工装置と被覆種子の物性

    河野靖司・川村恒夫・小堀 乃・西村 功

キーワード:ゲル被覆種子,流体ゲル,精密播種,吸引式種子供給装置,圧縮破断特性

第1報で報告したゲル被覆種子の連続製作のため,負圧による吸引式種子供給機構を装備した自動型被覆加工装置を試作し,適正な構成を明らかにした。また,本装置により製造されるゲル被覆種子を実用に供する場合に,種子の発芽や播種機に対する適応性が問題となるため,先ずゲル被覆種子の圧縮破断特性等の物性的性質を明かにした。この結果から,製造されるゲル被覆種子の直径は,ピストンのストロークと加工ノズル口径の組合せで制御できること,また,ゲル被覆層の強度は硬化剤に浸す時間を変えることにより制御可能であることが分かった。

 

農産物の音響的体積測定法(第1報)  *ヘルムホルツ共鳴による体積測定の推定精度

    西津貴久・池田善郎

キーワード:農産物体積,音響的体積測定法,ヘルムホルツ共鳴,共鳴周波数,打撃法,消音法

本研究は,ヘルムホルツ共鳴現象を用いた農産物の体積推定システムの実用化を目的としている。本報では,音響的体積測定システムの体積推定精度について報告する。測定システムを試作し蒸留水を用いて体積計測した結果,本方式による推定値と真値との間の相関は決定係数r2が0.99以上となり,高精度に体積推定できることがわかった。このとき共鳴器容積に占める試料体積の割合が増加するほど推定精度が高くなることを明らかにした。また試料のセットと汎用性を考慮してさらに容積の大きな共鳴器を試料しブドウ及びリンゴの体積を推定したところ, その決定係数r2は0.968と若干減じた。しかし精度的な観点から農産物の体積測定への本方式の応用は十分実用的であることがわかった。

 

真空下における精白米の吸湿についての研究 [英文]

    K.S.P.アマラトゥンガ・村田 敏・田中史彦・堀 善昭

キーワード:吸湿,真空,米,水分,胴割れ,

乾燥や吸湿の際の水分移動の駆動力は,概念的に雰囲気の蒸気圧の操作によって増すことができる。真空下で農産物の吸湿を行えば,空隙間に存在する空気による吸湿な抵抗は低減し,吸湿は速やかに行われる。そこで,本研究ではこの概念にもとづき,真空吸湿装置の設計・利用のために必要な真空下における精白米の吸湿・乾燥特性を測定した。その結果,薄層吸湿試験では低圧において極めて水分むらの少ない吸湿が達成されることが分かった。また,単層の吸湿試験の結果,吸湿が減率乾燥第一段式により説明されることが分かり,種々の温度,圧力における吸湿速度定数kが求められた。さらに,低圧による胴割れについても検討を行った。

 

技術論文

Landsat-5/TMデ*タによる森林被災地域抽出の可能性  *台風9119号による日田市周辺部の被害について

    石黒悦爾・岩崎浩一・守田和夫

キーワード:リモートセンシング,画像処理,台風,被災地域,Landsat*5TM

衛星データを用いて台風9119号により風倒木等の搊傷を受けた日田市周辺部の森林被災地域の抽出を試みた。先ず,台風前の衛星データを用いて森林を日向部と日陰部について抽出した。これらの地域を解析対象として,台風通過後のデータに適用し,RVI,NDVI等の処理を行うと,風倒木被災地域の抽出が可能となった。本方法は,現在行われているメッシュ分割地域の人手による調査方法に比較して,ほぼ同程度の精度となった。したがって,リモートセンシングデータを用いた本解析方法は,広い地域に対して同一時刻のデータを提供し,空間的・時間的に測定困難な地点のデータを得るのに有効であることが示された。