第54巻第2号論文要旨

研究論文

含水エタノール・軽油(WE/O型)乳化燃料を用いた圧縮点火機関の研究

梶谷修一・澤 則弘

キーワード:Diesel engine, emulsified fuel, hydrous ethanol, gas oil, alternative fuel, ignition lag, thermal efficiency, combustion noise

含水エタノール・軽油(WE/O型)乳化燃料を予燃焼室式圧縮点火機関に供給した時の機関性能,燃焼特性および排出ガス特性について実験的に検討した。その結果,WE/O型乳化燃料駆動時の正味熱効果率は燃料噴射開始時期を適当に設定すると軽油駆動時よりも高く,排煙濃度は大幅に低減する。この際,含水エタノール率Re(Re=含水エタノールの質量/乳化燃料質量で定義)が高くなると熱効率最大を与える噴射開始時期は早くなる。Reが増加すると燃焼最大圧力,最大圧力上昇率は増加するので燃焼騒音も増加する。これはReの増加に伴って着火遅れが大きくなるのが主因と考えられる。

 

小形予燃焼室式ディーゼル機関の性能に及ぼす菜種油燃料の影響

林 重信・久保田譲・澤 則弘・梶谷修一

キーワード:Diesel engine, combustion, emission, rapeseed-oil, emulsion-fuel, methanol

近年,代替燃料として椊物油を原動機用燃料とする研究が行われている。とくに菜種油は椊物油の中では発熱量が高く軽油と較べて遜色がない。本研究では,予燃料室式機関に菜種油を使用した場合の機関性能,燃焼特性および排気特性の解明に主眼をおき軽油を燃焼とした場合と比較した。さらに,含水メタノールの乳化燃料を使用した場合についても考察した。その結果について報告する。

 

タイヤと砂土の動的相互作用に関する研究(第3報)  *振動による砂のせん断強度の変化について

楼 黎明・山崎 稔・笈田 昭

キーワード:shear strength, dynamic soil properties, stress-strain behavior, dry sand, dynamic load

本報では,なぜ砂丘地上を実行する車輪の駆動走行性能が車輪の振動により著しく低下するのか,また,特に高周波数振動の影響の原因究明を目的として,振動による砂のせん断強度変化の観点から,乾燥した砂を使用し,加振による三軸繰返し圧縮実験を行い,その周波数と繰返し数による砂のせん断強度特性の変化について調べた。その結果,乾燥砂のせん断強度は荷重の繰返し数の増加につれて非常に弱くなること,変形が小さい時には周波数の影響を顕著に受け,周波数が高くなるにつれて弱くなることが明らかとなった。

 

超音波センサによるブームスプレーヤの噴射高さ制御(第1報)  *超音波による噴射高さの検出特性

佐藤禎稔・宮本啓二・松田清明

キーワード:土壌消毒機,分配機,土壌消毒用粒剤

ブームスプレーヤの噴霧高さ自動制御装置の開発を目的として,噴霧高さを検出するために周波数40kHzの超音波センサを供試し,作物別の検出特性について検討を行った。作物の葉の反射率は0.82~0.96であり,検出距離に対し葉面直径の割合が0.05以上であればその距離を検出する。また噴霧高さの検出特性はバレイショ,菜豆,テンサイのように比較的葉面積が広い作物は,センサ高さを偏り誤差6㎝以内で検出した。一方,小麦のように細く尖った葉先などは超音波の反射特性上,その部分での反射波を受けることが難しく,高さを正しく検出することができない。しかし,作物の種類や生育時期別に検出高さを補正することにより噴霧高さ制御装置に利用が可能である。

 

自動脱穀機の脱粒機構の解析(第2報)  *穀粒の受けるリ力積と脱粒の関係

梅田幹雄

キーワード:threshing mechanism, head feeding thresher, grain distribution test, impulse, impact, tensile test

本研究は,自動脱穀機における稲の脱粒機構の解析を行ったものである。脱粒機構の解析には,稲の運動と,衝突時に穀粒の受ける力積と脱粒の関係,及びこれらの生じる確率を明らかにする必要があり,前報にて稲の運動を解析した。本報では,こぎ歯と穀粒の衝突を2球の衝突とみなして,衝突時に穀粒の受ける力積を求め,引張試験により測定した穀粒力及び枝梗の等価ばね定数を用いて,力積と脱粒の関係を解析し,実機での脱粒分布実験結果と比較した。この結果,自動脱穀機での脱粒の仕方には2種類あり,チャフの多少により補正の必要があるが,本解析法は品種による脱粒性の難易の判定や,こぎ歯の必要速度の予測に有効であることを実証した。

 

空気強制対流下における氷球充填層の融解

田中俊一郎・堅田 郁・田原迫昭爾・守田和夫・堤 直信

キーワード:ice melting, ice bunker, precooling, packed bed, heat and mass transfer

氷による青果物予冷用空気の冷却に対する実用的展開を考え,空気強制対流下で氷球充填層の融解実験を行った。その結果,氷球充填層中での氷球まわりのヌッセルト数およびシャーウッド数は,隣地する氷球の存在の影響を空隙率の導入によって比較的簡単にまとめることができることを見出し,実験式を提出し,多段充填方式が優れていることを示した。これらの値は単一球の場合より大きく,また既住の充填層伝熱の結果として妥当な結果であった。

 

玄米調質に関する研究(第3報)  *交互通風方式による厚い層の調質実験

伊藤和彦・川村周三

キーワード:rice conditioning, moisture content difference, alternative two-way airflow rice milling, water absorption rate, cracking, broken kernel rate

厚い層の玄米調質を同一方向の通風によって行うと,層内に比較的大きな水分差が生じる。これらを回避するために交互通風方式による玄米の調質実験を行った。その結果,調質終了時の層内最大水分差は0.3~1.1%に留まった。しかし,同一通風条件下で両方式の吸水速度を比較すると,交互通風方式による吸水速度は同一方向通風方式による値の55~75%まで低下した。交互通風方式で調質を行った玄米を搗精した時の異物・砕粒率は同一方向通風方式に比較して大きな変化は認められなかった。交互通風方式の調質条件として,通風温度20゚C,相対湿度85~90%,風量比0.1~0.2m3/s・t,通風方向反転間隔4時間程度が適している。

 

籾および玄米の比熱とその推算

大下誠一・清水 浩・亀岡孝治

キーワード:specific heat, prediction equation, rice, enthalpy, adsorption

4品種の米(籾および玄米)の比熱を混合法を用いて測定し,既住の多くの報告と同様に,水分の一次関数で表される実験式を得た。実験式における水分意味を説明するために,米粒中の水の比熱を微分吸着熱を考慮して定義し,米の見かけの比熱の推定を行った。推算値は実験値によく対応しており,推算式が妥当であることが示された。また,このことにより,米粒中の水の主要なエネルギが飽和水のエンタルピと吸着のエンタルピとの差で表されること,および,米粒中の水の平均の比熱が飽和水の比熱より大ききことが,定量的に示された。

 

食パンのレオロジに関する基礎的研究(第2報)  *かたさおよび製パン条件の影響

王 益平・森嶋 博・瀬尾康久・相良泰行・芋生憲司

キーワード:white bread, rheology, uniaxial compression, firmness, baking condition, storage temperature

食パンのテクスチャに関係する品質評価の指標として最も重要と考えられているクラムのかたさについて,圧縮力*変形率曲線に基づき,かたさとその経時変化を測定し,製パン条件及び保存条件がかたさに及ぼす影響について検討した。その結果,保存中のクラムのかたさは焼成後の経時時間に比例し,焼成後の経過時間に比例し,焼成後12時間までに急激に硬化することが判明した。また,ローフの縦方向にはかたさの分布が存在し,この分布は生地の成形方法によって異なり,ローフ比容積,焼成温度および焼減率により影響を受けた。5~20゚Cでは保存温度が低ければ低いほど食パンの硬化が速まることが明らかになった。

 

一次元イメージ・センサを使用した作物列センサ(第2報)   *試作作物列センサの定置検出特性

 端 俊一・高井宗宏・酒井憲司

キーワード:crop-row detector, optical sensing, real sensing, CCD image sensor, automatic guidance, detecting accuracy

第1報で開発・検討した作物列検出法にもとづき,作物列センサを試作した。このセンサの作物列検出所要時間は約41msであり,実用上十分な検出速度を有する。実際のほ場において定置検出実験を行い,検出可能範囲と検出精度について検討した結果,検出可能範囲はシミュレーションで得られた範囲より狭くなるが,作物列に対するセンサのオフセットが±10cm,方向角±6゚Cまでは実用的精度で検出でき,2波長領域で検出を行い,適応条件の範囲を広げるなどの若干の改良で実用可能と判断された。ただし作物が成長して大きくなると,検出したオフセット値の標準偏差が2cm以上になるので,場合によっては,平均化などの処理が必要となる。