第53巻第6号論文要旨

研究論文

トラクタ用速度センサの開発研究

端 俊一・高井宗宏・近江谷和彦

キーワード:tractor speed sensor, true ground speed measurement, ultra-sonic speed sensor, Doppler shift, micro-wave Doppler redar

ほ場作業において実作業速度を実時間・高精度で測定することができれば,作業機の自動制御やトラクタの情報モニタに応用して,作業精度の向上やエネルギ効率の改善を図ることができる。著者らは,我国の実情に合ったトラクタ用速度センサ開発の基礎資料を得るために,現在欧米で各種の作業モニタに使われているマイクロ波ドップラレーダの各種ほ場条件下における速度検出特性を調べ,その検討結果に基づいて,低速度域で精度が高い超音波ドップラ式速度センサを開発した。この速度センサについて基本検出精度,動特性およびほ場条件下,気温,風等による誤差を検討し,実用上十分な性能をもつことを実証した。

 

土壌消毒機に関する基礎研究(第2報)  *砕土粒径の違いがガス封入効果に及ぼす影響

御手洗正文・古池寿夫・坂井 純

キーワード:soil injector, diffusion, chloropicrin, clod size

土壌消毒において作業中の安全性と防除効果の向上をはかるには,薬剤の効能を最大限に発揮させるための土壌環境づくりと薬剤の理化学性に応じた的確な土壌消毒機の研究開発が必要である。本報では砕土粒径の違いが土壌中のクロルピクリンガスの動態に及ぼす影響について考察した。土壌消毒時の砕土粒径と通気係数,ガス拡散係数,濃度分布特性の関係を室内試験により測定した結果,ガス拡散係数は砕土粒径を5~10mm以下にすることによって,大気中の1/7~1/700,10/20mm粒径土壌の約1/10~1/50まで小さくすることができ,ガスの封入効果が大きく向上することが明らかになった。

 

超音波によるほ場面形状の計測に関する研究(第1報)  *計測システムの基礎特性

柏嵜 勝・木谷 収・岡本嗣男・鳥居 徹

キーワード:ultrasonic sensor, field profile, non-contact method, gantry system, three dimensional profile measuring system

農業用ロボット等によるほ場作業の自動化ではほ場の表面形状を正確に把握することが重要な技術の一つとなる。本研究では,ほ場面形状を非接触で計測するデバイスとして超音波距離計を用い,農業用ガントリシステムを模した計測フレームを試作し,これに距離計センサ部を設置して3次元形状計測システムを作成した。本報では,システムの基礎特性把握のため,形状既知の平面,斜面および曲面等の基本となる面を計測した。この結果,平面は傾斜約6゜まで正確な形状が計測された。曲面では測距上能な部分が存在した。更に,ほ場面の形状計測を行った。ほ場面の計測では測距困難となる部分が存在したが,水に噴霧することによって計測可能になった。

 

土の切削におけるせん断抵抗の予測に関する一考察(第1報)  *二次元切削への受動土圧理論の適用

高橋照夫

キーワード:passive earth pressure, two-dimensional cutting, soil shear stress, soil cutting force

本報は,受働土圧理論を準用して導いた簡易予測法について,その考え方および数値計算の方法を述べ,その適用性を検討したものである。本予測法では土のせん断すべり面の微小部分における抵抗成分の総和と,切削刃表面の抵抗成分との力学的平衡関係に基づいて,数値計算法で切削力を算出する。数値計算の入力項目は切削刃の幅,同長さ,切削深さ,切削角,土の粘着力,内部摩擦角,付着力,外部摩擦角及び見かけの密度である。その予測精度について既往の研究結果をもとに比較検討したところ,ロームでの実験結果では切削力の誤差が±20%以内であり,またclay soilで切削角が45゜の場合Hettiaraatchi法による値とほぼ一致した。

 

衝撃載荷時の拘束上飽和土の動的応答(第2報)*衝撃による動的締め固めのメカニズム

アシェナフィ テッセマ アベベ・山崎 稔・笈田 昭・中嶋 洋

キーワード:unsaturated soil compaction, loading velocity, quasi-critical strain energy, compaction strength.

本報では,まず側方が拘束された上飽和土のサンプルに衝撃荷重を与えるときの瞬間的な土の締め固めのメカニズムを衝撃速度Viと土の初期密度ρ0の関係から解析的に説明した。次に,その時の土の応力や歪み及びそれらと時間との関係がどのようになるかを,応力波と準限界状態理論の概念によって示した。さらに,種々の衝撃載荷速度における土の締め固め度を蓄積あるいは消費されるエネルギを用いて決定する方法を示した。また,動的な載荷を受ける土の締め固めの特性は空隙と応力比の間の関係によって表現されることが明らかになった。

 

8自由度を有する農業用ロボットの研究  *障害物回避のための冗長性の利用

近藤 直・芝野保徳

キーワード:agricultural robot, redundant manipulator, obstacle avoidance, hand-eye system, fruit harvestig, visual feedback

関節型ロボットおよび直動型ロボット両者の特徴を生かせるよう,3自由度の直動型マニピューレータ先端に5自由度の関節型マニピューレータを取り付けた8自由度を有する冗長マニピューレータを試作し,その先端に視覚センサを装着した。本研究ではこの冗長自由度を有するロボットを用い,主に直動型3自由度で位置を,関節型5自由度で姿勢を決定する制御方法を採用し,障害物回避を行って対象物を把握する実験を行った。その結果を基にして複雑な形状の農産物を対象とする農業用ロボットにおける機構および制御法方法等について検討した。

 

自脱コンバインの最適走行制御(第2報)  *回行制御と最短距離制御について

鬼頭孝治・西村 功・川村恒夫

キーワード:optimum running control, head-feeding combine, turning control, shortest path control, angular rate sensor, microcomputer

本報では,第1報で報告した旋回角制御システムを利用して,ほ場端における回行制御を含む一連の刈取り作業を実現するために,コンバインのディバイタに稲株検出のためのセンサ及び籾タンク満杯時の自動停止機能を付加し,実際のほ場にて回行実験を行った。また,通常の稲列に沿って行く単なる操向制御にみならず,この刈取り時の能率向上を目的とした最短距離制御を実現する方法を考案し,その可能性を基礎実験を通して検討した。

 

食パン製造プロセスにおけるエネルギリサイリング(第2報)

松田郁生・森嶋 博・瀬尾康久・相良泰行・芋生憲司・川越義則

キーワード:energy, exergy, bread, baking, cooling, heat balance

スパイラルオーブンの熱収支を計測し,トレイオーブンとの比較を行った。その結果,スパイラルオーブンの方が熱効率が高いため排熱エネルギは少ないが,排熱回収は容易であることが分かった。エネルギリサイクリングの対象となるブレッドクーラの実態調査を行った。一部で外気を用いた通風冷却を行っているため,食パンの冷却は天候に左右されることが判明した。エネルギリサイクリングシステムをオーブンおよびブレットクーラのエネルギフローチャートを用いて提示した。

 

自然循環/直膨ヒートポンプ型集熱システムの開発

芋生憲司・森嶋 博・瀬尾康久・相良泰行・深田浩司

キーワード:energy, solar heat, solar energy, heat pump, heat collection

農産や食品加工のための集熱システム試作し,性能試験を行った。このシステムでは作動流体の気液二相自然循環による太陽熱の集熱と,直膨ヒートポンプによる太陽および外気からの集熱が可能であり,日射量と気温および熱需要によって運転モードを選択する。実験の結果,自然循環による集熱では,日射の50%以上の効率で集熱でき,ヒートポンプによる集熱では,COPが2.5~5程度であった。

 

こめ油精製の必要エネルギ

竹永 博・河又虎好・細川 明・森嶋 博・瀬尾康久

キーワード:rice bran oil, refining, energy analysis, mass balances, unused bio-resources

未利用資源の有効利用を考え,精米加工プロセスで副産物として発生する糠を選び,こめ油の精製に必要なエネルギ評価を行った。エネルギ解析の方法として,こめ油精製工場現場の必要エネルギを聞き取り調査し,この値を目標に実験を行い,かつ実験装置でのエネルギをパーソナルコンピュータを用いて計測し,評価した。実験の結果,原油1トンを精製するのに必要なエネルギは3944MJであった。精製油の回収率は53.66%であったので,精製油1トンを得るのに7350MJのエネルギを必要とした。精製工場現場では原油1トン当りエネルギ消費量は3152MJで,回収率は70%であった。規模の違い,省エネ対策,回収率の違いから考えて妥当な値と思われた。