第53巻第5号論文要旨

研究論文

汎・農業用二サイクル機関における性能システム解析

   佐藤運男・中野正光

キーワード:software, system, two-stroke cycle engine, exhaust gas concentration, engine performance

本報は汎・農業用二サイクル機関の性能にかかわる計算ソフトを作成し,これによる計算結果と機関性能に関する諸量の実測による実験結果を比較した。計算ソフトの構成は主として,給気比や掃気効率に関する掃気特性,図示および正味の平均有効圧,図示および正味の燃料消費率などである。また,計測装置は流入空気量用計測器,燃料消費量用計測器,動力計,排気ガス分析器およびエンジンなどが系統的に接続され,空燃比や排気ガス濃度などの諸量が自動的に計測されるようになっている。

 

はつ土板プラウり体の応力ひずみに関する数値解析*NISA Ⅱの適用

スミニストラド,D.C.・小池正之・小中俊雄

キーワード:FEM, moldboard plow bottom, strain and stress analysis, thin shell analysis, von-Mises stress

はん用有限要素解析プログラムパッケージNISAⅡを用いて耕速の異なる条件下でのはつ土板プラウり体に発生する応力ひずみ分布を解析した。分割要素は四辺形薄肉シェル要素とし,はつ土板曲面部と刃先部の等高線データから三次元解析モデルを構築した。4種類の耕速において分割したれき条の通過曲面へ作用する垂直力と接線力は,数学的モデルから求めた。この数学的モデルの適用妥当性は,実験結果との対比により検証した。モデルから導出した解析解はNISAⅡの入力データとして用いている。線形静的解析により,はつ土板プラウり体の構成材料内部における応力ひずみ挙動も,定性的かつ定量的観点から検討できた。応力集中及び大きな変形の発生が,刃先部で観察された。はつ土板外縁部の変形は,耕速の増加につれて増大する傾向がうかがえた。

 

タイヤと砂土の動的相互作用に関する研究(第1報)  *上下振動が車輪の走行性能に及ぼす影響について

楼 黎明・山崎 稔・笈田 昭・田野信博

キーワード:running performance, off-road vehicle, soil-machine dynamic interaction, vibration, mobillity

本研究はタイヤと砂との動的相互作用についての研究を通じて,砂漠のような砂丘地におけるオフロード車両の走行性能の向上を目的とするものである。本報では,一定車軸荷重,タイヤ空気圧,けん引負荷のもとで,車輪の上下振動が走行性能に及ぼす影響について室内土壌槽での実験を行い,車輪に上下方向の振動を与える時と与えない時の走行性能を検討し,さらに加振力の振幅並びに周波数の各々の影響について考察した。その結果,車輪の上下振動が車輪滑り率と車軸トルクの値への影響が顕著に見られた。また,タイヤを含む振動系の固有特性の影響が大きいことが分かった。

 

流体を噴出するサブソイラの最適形状(第2報)  *流体噴出による土壌の破壊

高  鋭・厳 荷栄・新家 憲・前川 司・常松 哲・趙 和平

キーワード:subsoiler, shape, fluid, injection, soil failure, pan-breaker, injector

流体を噴出するサブソイラの目的は2つであり,一つはパンブレーカ作業として使う場合であり,他の一つはインジェクタとして使う場合である。前者は土壌の破壊度合が出来るだけ大きい方が良い。後者は土壌の破壊度合を出来るだけ小さくしたい。本報では,前報で決定した流体を噴出しないサブソイラの形状を基本にして,チゼル先端部分のノズル口から高圧空気(タンク圧で約1.2MPa)を噴出し,牽引抵抗力が減少する最適なブレーカおよびインジェクタの形状を決定した。ブレーカとしてはシャンク角45~60゜,シャンク厚さ15mm以上,チゼル長さ450mm,チゼル太さ50×50mm,ヒール位置100mm,インジェクタとしてはシャンク角90゜,シャンク厚さ15mm以下,チゼル長さ250mm,チゼル太さ30×30mm,ヒール位置100mmが適当である。

 

振動耕うんにおける土壌破壊の基礎的研究(第3報)  *振動切削と土壌破壊

タニヤ ニヤマハ

キーワード:brittle failure, soil fragment, velocity ratio, contact ratio

土壌槽を使用して,砂質ロームを対象に振動耕うん実験を行い,土壌破壊の様相を調査した。振動数は4.5~19.6Hz,振幅は9~26mm,土壌槽の速度は0.05~0.224m/sである。三日月破壊領域での土壌断片は振動周波数が増加すると共に増加した。土壌の乱れについて,深い領域と表層とで異なった様相を示した。深い層での乱された土壌乾燥見掛け密度は速度比の増加によって減少した。土壌断片の大きさも速度比の増加によって減少した。水平方向の抵抗の動的様相は土壌破壊の特性と関連付けることができた。

 

果菜類の画像認識に関する研究(第1報)  *2値画像における果菜類の特徴量の抽出

近藤 直・芝野保徳

キーワード:image processing, image recognition, feature extraction, visual sensor, complexity, fractal dimension, ferrets diameter ratio, moment, thinning processing

立毛中の果菜類を対象として,パソコンクラスの計算機で比較的簡便に形状の認識を行える方法を確立するため,本報ではまず2値画像において複雑度,フラクタル次元,フェレ長比,モーメントという対象物の複雑性や方向等に関わる特徴量及び細線化処理画像から得られえる特徴量を用いて記述し,形状認識の可能性を検討した。その結果,これらの特徴量は,椊物体が複雑性及び多様性を有することにより,かなりばらつきがあるものの,椊物体を種々の観点から表現できた。そこで画像認識を行う際にはこれらの特徴量を単独ではなく,適宜組み合わせて使用することが適当と考えられた。

 

ダイコン収穫作業システムの引き抜き機構の構造

小堀 乃・古谷 正・大塚寛治・細川 寿

キーワード:Japanese radish, mechanized harvesting system, dual trailer, implement carrier, pick-up mechanism

ダイコンの収穫労働を機械化して軽減する手段は,既にいくつか提案されているが,筆者達も,ダイコン収穫のための新しい機械化収穫システムを開発中である。このシステムは,2枚の平行な円盤によりダイコンンを引き抜く機構,2台の1輪車を並列に連結したデュアルトレーラ及び筆者達が別に報告した高床ミドマウント型のインプルメントキャリアの3者を組み合わせた新しいシステムである。本研究では,本システムの中枢に当たる引き抜き機構の構造の概念と改良の経過について取纏めた。

 

ナガイモの貯蔵に関する研究(第3報)  *圃場越冬ナガイモの品質変化

弘中和憲・石橋憲一

キーワード:Chinese yam, field storage, soil air, soil-temperature, viscosity

十勝地区の圃場越冬ナガイモの品質変化を,越冬前の1986年11月より越冬後1987年4月にかけて研究した。ナガイモ根圏の土壌中空気のガス組成は,大気と比較して2~4倊CO2に富んだ。しかし,土壌中空気のCO2およびO2濃度の地中深さによる差異は,地表面下20cmから80cmまで認められなかった。すりおろし液の粘性は越冬中,低下した。しかし,弾性の減少はみられず,曵糸の長さは増加した。ナガイモの胴部の存在する地表面化60cmにおける地温,土壌中空気のCO2濃度およびO2濃度のすりおろし液の粘性係数におよぼす影響について,重回帰分析を用いて検討した結果,1%の危険率でCO2およびO2濃度は小さく,地温の影響の大きいことが分かった。従って,越冬中のすりおろし液の粘性係数は,地表面下60cmの地温の関数として表すことができた。

 

施設園芸無人運搬車の試作とその実用性能

山下 淳・佐藤員暢・疋田慶夫・井本 武・安部武美

キーワード:automatic transport vehicle, greenhouse, mechanical steering system, microcomputer, geared motor, row spacing traveling.

園芸ハウス内での苛酷な運搬労働を軽減するため,無軌道式の無人運搬車を試作し,その実用性について検討した.試作機は,畝間走行時の姿勢制御に一対のボールジョイント機構を使っていること,畝間端でその場旋回できること,搭乗したマイコンにより,ハウス内を自在に自律走行させられることを特徴とする後輪独立駆動の4輪車である。左右後輪はそれぞれ12V,150Wの直流ギヤードモータにより駆動され,最大80kgを積載して40cm/sの速度で走行できる。ハウス内の指定された場所へ移動されるための現在位置の認識は,車体に装着した光センサとハウス内に設置した標識とによって行う。畝間走行実験の結果,のり面乗り上げ後の完全復元距離は約1.8m,旋回半径は440mm,最大積載時における消費電力は87.6Wで,標準的運搬で約5時間使用が可能ことなど,実作業に供試できることを確かめた。

 

バイオテクノロジー作業の自動化に関する研究(第3報)  *形状記憶合金アクチュエータを用いたソフトハンドリング・ハンドのファジィ制御

岡本嗣男・木谷 収・鳥居 徹

キーワード:robotics, hand, shape memory alloy, fuzzy control, tissue culture

椊物組織のような傷つきやすい生物体を扱うロボットにとっては,ソフトハンドリングハンドが上可欠である。本研究では,機械部品を必要とせず,小型軽量化が可能でなめらかな動きをする形状記憶合金アクチュエータを利用した。ピンセット状2本指ハンドを開発した。非線形な応答特性を示す形状記憶合金アクチュエータの制御にファジィ制御法を適用し,ロボットハンド指先の変位制御ならびに把持力制御を精度よく行うことができた。