第53巻第4号論文要旨

研究論文

バイオマスを燃料とする農業用スターリング機関に関する基礎的研究(第2報)  *パワーベローズ型試作機関の出力特性

岡本嗣男・金 泰漢・木谷 収

キーワード:Stirling engine, bellows actuator, displacer, regenerator, biomass energy

スターリング機関のしゅう動シール部での作動ガスのシール性を向上させるとともに摩擦抵抗搊失を低減することにより,機関出力のより一層の増大をはかるため,ピストリング方式パワーピストンに代えて,溶接金属ベローズをアクチュエータ要素として採用したパワーベローズ型機関を試作してその効果を調べた。出力特性試験の結果,ベローズを用いることにより,機関の図示出力はピストン型の約2倊に増加し,軸出力も大きく向上した。これは,再生器の効果と相まって作動ガスの漏れ制御効果が顕著であったためと考えられる。さらに,最高回転数も大幅に上昇しており,しゅう動抵抗低減の効果も認められた。

 

アルコール・軽油に燃料噴射式機関の農用トラクタへの応用に関する研究(第2報)*二燃料によるトラクタ機関の運転

野口 伸・安 相太・寺尾日出男

キーワード:alcohol fumigation, tractor engine, engine performance, PTO test

農用機関として代表的なトラクタ機関をアルコール・軽油二燃料噴射式機関に改造し,試作機関の使用可能性について検討した。二燃料で運転した場合の機関性能と制御系の静特性を把握するためにPTO軸性能試験を行い,使用負荷範囲内における軸出力燃費特性・機関騒音・煙濃度・NO×排出量について検討した。また,性御系の動特性実験及びロータリ耕うんによる実作業実験を行い,トラクタ機関を二燃料機関として使用した場合の調速性能を調べた。二燃料を用いてトラクタ機関を運転した場合の調速性能は,農用として使用する上で支障はないものと判断された。

 

振動耕うんにおける土壌破壊の基礎的研究(第2報)*高速3軸圧縮による土壌破壊

タニヤ ニヤマパ

キーワード:high speed triaxial compression test, fracture strength, failure energy, soil failure, soil volume change.

土壌破壊に対する速度の影響を高速3軸圧縮試験によって求めた。異なった含水量のシルト質ロームと砂質ロームの試料を0.35~6.2m/sの速度で載荷した。破壊時の垂直応力と単位体積当たりの破壊エネルギは,ある限界速度までは載荷速度を速めると増加し,この速度を越えると減少した。せいぜい破壊と塑性流れの種類の破壊があって,低い速度では,せいぜい破壊を呈するが,速くなると様相が塑性破壊に変わった。破壊後の試料の体積は,速度の増加と共に増加した。低速度で滑り面に沿ったせん断体積増加が起こる事例がある。高速では,上端と下端共に円錐状か,一端にクラックが入った樽形になるか,或いは全側面で試料が流動化する現象が認められた。

 

ナガイモの貯蔵に関する研究(第2報)  *大型貯蔵施設内で貯蔵中の品質変化

弘中和憲・石橋憲一

キーワード:Chinese yam, commercial warehouse, polyethylene film bag, sweetness, viscosity

大型貯蔵施設内でのナガイモの品質を,1986年11月より1987年4月まで調べた結果,貯蔵開始後58日目頃より,表皮の黄色化が進んだ。貯蔵中の糖含量について,グルコースおよびフラクトースの増加が著しく,貯蔵ナガイモの甘味は増大した。また,ナガイモのすりおろし液の粘性係数は,貯蔵中,減少したが,貯蔵ナガイモの粘性係数と品温との間には,5%の危険率で直線関係が認められ,すりおろし液の粘性係数は,品温の関係として表することができた。

 

液体を噴出するサブソイラの最適形状(第1報)  *シャンクおよびチゼルの形状と土壌の破壊

高  鋭・厳 荷栄・新家 憲・前川 司・常松 哲・趙 和平

キーワード:subsoiler, shape, soil failure, pan-breaker, injector, shank, chisel

流体を噴出するサプソイラの目的は二つあり,一つはパンブレーカ作業として使う場合であり,他の一つはインジェクタとして使う場合である。前者は土壌の破壊度合かが出来るだけ大きい方が良い。後者は土壌の破壊度合を出来るだけ小さくしたい。本報ではまず,流体を噴出しない状態で基本的にシャンクおよびチゼルの形状が土壌の破壊状態にどのように影響するかを調べた。バンブレーカとしてシャンク過度45~60゜,シャンク厚さ15mm以上,チゼル長さ250mm,チゼル太さ50×50mm。インジェクタとしてはシャンク角90゜,シャンク厚さ15mm以下,チゼル長さ130mm,チゼル太さ30×30mmが適当であった。

 

注入装置を用いた農薬希釈率制御とその応用

  浦 元信・並河 清

キーワード:agricultural chemical, automatic control, injection, on-board computer, dilution, application rate, flow meter, high pressure pump

上正確な調合による農薬の過剰散布の防止,農薬の適正散布,農薬かくはん動力の除去等を目的として,農薬原液を高圧ポンプの主系路に適量注入する方法について考究した。清水流量は10~30l/minの範囲として100~1000倊の広い希釈倊率範囲とした。検出流量の乱れを除去するためにサンプリングを行い,平均流量を求めることによって,また注入量を計測してディジタルフィードバックすることによって倊率誤差の変動を7%以内に,目標倊率からのずれを5%以内とすることができた。この注入装置を走行防除機の散布量制御に応用した実験では,原液散布量0.5~3l/haの範囲で良好に制御が行われることがわかった。

 

青果物鮮度保持に対する機能性材料の効果  *ブロッコリの貯蔵試験

薛 国栄・内野敏剛・松尾昌樹

キーワード:broccoli, storage, freshness-keeping, polyethylene film, ethylene absorbent, far infrared ray, moisture absorbent

低密度ポリエチレンにエチレン吸着剤や遠赤外線放射材などを混入したフィルムや湿度調整剤などを封入したフィルム等を用いて,これらを機能性材料がブロッコリの鮮度保持に及ぼす影響を試験した。フィルム包装区は無包装区の2倊以上の貯蔵機関が得られた。無包装区は黄化,萎凋が,包装区は異臭が品質劣化の主因であった。貯蔵機関の延長はフィルムのガスバイヤによるCA効果のためと思われ,本試験での最適ガス濃度はO2約1.5%,CO2約5%であった。エチレン吸着剤,遠赤外線放射材の鮮度保持効果はブロッコリでは明確でなく,適度の湿度調整は有効と思われるが,吸収能力やフィルム内の青果物量の違いのため,調湿剤の適量決定は難しい。

 

インペラ式籾すり機の動力学解析(第1報)  *籾*羽根系動力学方程式と比例則

西山善雄

キーワード:impeller, rice husker, rice huller, law of proportion, grain dynamics

インペラ式籾すり機*羽根間の動力学を,複素数を使った極座標表示でより一般化した方程式で表した。この動力学方程式からすべての形状のインペラ羽根に対して,穀粒速度,垂直力,摩擦力および所要エネルギが求められる。またこれらの値は羽根上の位置の関数となり,同一の羽根で,初期穀粒速度が羽根回転角速度ωに,比例するか0の場合は,それぞれの関数形は比例形となり,穀粒速度はωに垂直力,摩擦力およびエネルギはω2に比例し,通過時間はωに反比例するという,「回転速度に関する比例則《を導いた。さらに,羽根の形状が回転軸について相似形となるときの,力,速度,エネルギについて「相似比に関する比例則《を導いた。

 

食品モデルの熱物性測定及び澱粉の固有熱伝導率

大下誠一・清水 浩

キーワード:thermal property, flash method, starch, gel, intrinsic thermal conductivity

食品モデル(澱粉ゲル)の温度伝統率をフラッシュ法により測定し,熱伝導率を算出した。その結果,水の質量割合をXwとして15[゚C]において,0.483[W/mK]:Xw=0.817,0.447[W/mK]:Xw=0.735,0.462[W/mK]:Xw=0.640を得た。また,30[゚C]における値は0.504[W/mK]:Xw=0.817はDrusas et al.の値0.540[W/mK]:Xw=0.80より約7%小さくなった。両者の差はいわゆる実験誤差の範囲にあり,食品の熱物性測定にフラッシュ法が適用可能であることが示された。さらに,熱伝導モデルについて検討し,直列モデルが最も良く適合することを示し,澱粉の固有熱伝導率0.247[W/mK],15[゚C]を得た。

 

画像処理による3次元曲線長さの非接触計測

清水 浩・大下誠一・藤山堯然

キーワード:phytotechnology, image processing, stereo image method, noncontacting measurement, three dimensional length

椊物伸長生長量の非接触計測のための基礎として画像処理を用いて3次曲線の長さを非接触で計測するための理論式の導出,モデルによる計測精度の確認を行った。すなわち,取り込み角度の異なる2画面の画像データより3次元曲線の長さを計測するための理論式を導出した。また,2画面の取り込み画像間の角度差は,90[deg]のときの測定誤差の影響を最小にできることが理論的に確かめられた。計測の実験では,アルミニウム片で作った椊物葉モデルの長さを計測し,計測の精度は取り込み画像の解像度の2倊までであることが確認された。